最後の試練を待つものは…

†††††††††††††††


 今まで、この世界で行ってきたことは非常に厳しいことばかりであったが、その厳しい試練はまだ終わっていない。現在いる建物からは怪しい光が出ていた。その建物から出ている光源に行くと、屋上へ続く階段があった。屋上に出た後、最後の試練が待ち構えているようだ。この建物は大きい。


 そこに待っているのは何か。翠夢は既に感づいているようだった。


「今までありがとう。ここからは巻き込むわけには行かない。行ってく…」

「だめ…私も行かせてほしい」

「なぜだ。ここから最後の試練になるぞ。そうなれば君を守れる保証はないぞ。だから、1人で…ん!?」

 翠夢は、1人で行こうとし、階段を上ろうとしたが、見えない壁に阻まれる。


「これは…」

「何かに阻まれたようだけど…私にはそれが無さそう。もしかしたら、2人で来てほしいのかな」

「そうか…結局瑠璃を連れて行かないといけないのか。この後はすごい危ないと思うから、俺の言うことを聞いてほしい」

「はい。今までも危ないことが多かったので、聞きますね」


 この後に待ち構えているものは何か。それはおそらく、翠夢自身であること、恐らくそれを乗り越えないといけないこと。

 さらに、瑠璃が居ないといけないと言うことは、瑠璃にも何か起きることは間違いないこと。それが何かはわからないけど、性的なものである可能性を否定できないこと。


 これらの話を、先に瑠璃にしていた。これからどうなるかはわからないが、次起きる事、それに対応できればもう終わらせられる。

 それに、あちらこちらに見えていたツリーが消えていた。死を想像させる雰囲気ではあったのだが、それが消えている。空の色こそまだ赤いままだが、ツリーが無くなった世界は統一感があった。それほどに、ツリーは異物だった。


「よし。先に進もう。このてっぺんに、待ち構えているはずだ」

「はい。怖いですが、何とか生き残れるようにします。諦めないで進めます。この世界に入ってきたときのように」

「そうだ。それでいい。次に居る相手は…最期になるかもしれないな」




 一番上にたどり着いた。そこには…


『やっとたどり着いたか』

「想像の通りだな。瑠璃、離れていろ」

『今まで逃げ続けた男が、女を突き放すだと?』

「危ないからな。なぜここにいるのかはわからないが、お前を倒すのは難しくはないはずだ」


†††††††††††††††


 一番上、最終試練に出てきた人物は、翠夢の夢の中に出てきていた、城将ルークだった。

 こいつの正体は不明だが、この世界に出てきたと言うことは、翠夢は城将ルークにも、乗り越えなければならないものがある。それが何かはわからないのだが…


 城将ルークは、見ることが出来ないほどの速度で、翠夢をすり抜けるように移動し、瑠璃の近くに移動した。そして……


『ははっ…』

 瑠璃は、城将ルークに押し倒されてしまった。

「おい!その子に手を出すな!」

『なぜ?!こいつは必要ないだろう!必要ないなら何もするなよ卑怯者!…ああ…なんで殴りつけるんだ』


 翠夢は怒りを覚え、横から殴りつけることで城将ルークをどかした。


『そうか…ならば…お前の身体を乗っ取ってやる…』


 その後、城将ルークの姿が消え、翠夢の身体の中に入り込んできた…抵抗は一切できなかった。倒れ込んでしまう。

 倒れ込んだ身体は、何事もなかったかのように起き上がった。


 翠夢の身体は、乗っ取られてしまった。


†††††††††††††††

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る