Talk linear -年末-
☆彡
年末となった。残念ながら、瑠璃が寮から自宅に戻ってしまうので、少しの間だけ会えなくなってしまうのだ。そのためにも、直接会わなくても話せる状態を作り、それで話す練習をすることとなった。そのために、LINEARと呼ばれるアプリを利用することとなるが、いろいろな設定が必要で扱いにくい物だった。
また、設定が出来たとしても文章で話すため、ちょっと難しい所も多い。何とか練習しなければならない。名前は2人で相談して、宝石の名前を意識したものにしたようだ。
ジェイド:「瑠璃…聞こえているか?いや…この文章が見えているか?」
ラピス:「聞こえ…見えてます。」
ジェイド:「良かった。よろしくお願いします。問題なく話せるはずだ。」
ラピス:「こちらも。翠夢さん、よろしくお願いします。」
翠夢は表情を読むのは苦手だというが、実際にはそんなことない、と瑠璃に言われている。どうしてかわからない。
ジェイド:「先に言っておきたいことがある。もう一度。」
ラピス:「何ですか?」
ジェイド:「瑠璃の事が好きだ。忘れないでほしい。」
既にこのことは知っているはずだが、それでも瑠璃は慌てていた。感情が安定するまでに、かなりの時間がかかってしまったが、何とか落ち着いた。
ラピス:「ありがとう。本当に私…」
ジェイド:「忘れないでほしい。瑠璃には仲間が多いはずだ。あきらめなくていい」
ラピス:「そういう翠夢さんもいると思いますけど…」
☆彡
瑠璃には思っているよりも仲間が多い。眼鏡を掛けている女の子だから、イメージで暗かったり、仲間が少ない、所謂陰のイメージを持つ人は多い。しかしそこまで陰ではなく、クラスの女子とは誰とでも話せる。ただ、他の女の子よりは落ち着いていると言い切れる。
ジェイド:「多いのか…?少なくとも地元にはいなかったが」
ラピス:「クラスの人からの印象は悪くないって、委員長が言っていた」
そんな情報がどこから来たのかはわからないものの、言われてみれば悪い扱いではなかった。翠夢は中学校までの記憶で、そんなことに気が付くことすら難しくなっていた。
ラピス:「あれ?反応が無い?寝てる?」
ジェイド:「寝てないぞ。ちょっと、今のクラスの立ち位置を考えていてな」
ジェイド:「それと、この学園に入る前にあったことを考えていた」
ラピス:「それって、つらいの?つらかったの?」
ジェイド:「過去の話だ。今はつらくないよ」
ラピス:「そうじゃなくて、中学の時の話」
☆彡
ジェイド:「ごめん。その話は…あまりするつもりはない。俺の問題もある」
ラピス:「聞きたい。でも難しいのかな」
ジェイド:「できるなら、2人で同時に話がしたい。いつになるかはわからない」
ラピス:「それなら」
2人の深い所を探るのは、後になる。
ジェイド:「もう寝る時間だ。これなら寮から家に戻ってもできる。ありがとう」
ラピス:「お休み…」
☆彡
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