田舎の風景を堪能しながら目的地を目指す

†††††††


 二人は、外を歩き始めた。

 周辺は明るいとは言えないが、何とか先が見える。自宅から歩き始める。


 周辺は田舎であったが、悪い人はいない。定期的に風が吹くのもあり、暑くはない。また、初めは気が付いていなかったが、せせらぎの音も聞こえている。


「…ここら辺は俺の…中学生までいたところだな」

「へぇ…思っている以上にいいところじゃない」

「そうか?そうなら、出来たらこのような暗い別世界じゃなくて、現実世界で紹介したかったな」

「まあ…周りに何もないと言われたら、確かにそうだけど、それを除けばいいところだと思いました。交通の便が良ければこういうところに住みたいですね」


†††††††


 ある程度歩き続けたら、瑠璃が少し疲れてきた。あまり身体が強いわけではない。

「あの…そろそろ、休めるところがありませんか?」

「そうだな。休めるところというと…ゴルフ場か?この世界には人が居ないみたいだから、休むことはできるはずだ」


 そういいつつ、翠夢はゴルフ場まで着いた。いろいろな荷物をリュックに詰めており、瑠璃が休んでいる間にそれらを整理していた。


 あるのは単純な着替えが主になる。でも、それでも女の子に持たせるわけにはいかなかった。一応、男女は分けているので、混ざることはないはずだ。

 それら以外には、瑠璃の眼鏡ケース。この世界でも視力は良くならず、瑠璃は眼鏡をかけているが、それを守るために使うかもしれないと、持ってきている。瑠璃の知的な雰囲気と、清楚な雰囲気はこの眼鏡があるのも一因と言える。

 眼鏡に関しては、良い思い出がそれほど多くなかったものの、翠夢に褒められて眼鏡のままの方が良いと瑠璃は考えている。


「ふぅ…ありがとうございます。休めたので、行きましょう」

「そうだな。一応、この世界は別の世界とは言え、俺の頭の中のはずだ。一番近い、俺たちの学園の場所を目指そう。それでいいよな?」

「よくわからないから、それで行きましょう。それでは、手を…」


 翠夢と瑠璃は手を繋ぎ、離れないようにした。好きな人、瑠璃を巻き込んでしまった以上、失うわけにはいかないようだ。他の女の子よりも線が細いのも、そうさせたのだろう。


†††††††



 ある程度移動したら、雰囲気が変化してきた。本来の世界ではまだ田舎だったはずだが、学園が置かれている都市にもうたどり着いてしまった。

 本来は、ここから電車を利用して乗り継がないとたどり着かないはず。不自然さを感じて、学園がある場所に進むことにするのだが…


 そこには、翠夢の通っていた中学校が存在した。

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