優しいけど、激しく、欲望を感じるちゅー

 ☆彡


 2月14日。

 本日の図書室はもう閉室する。図書室を暗くしたあと、鍵を閉めるのだが、瑠璃は翠夢を待っていた。


「お疲れ様、瑠璃」

「翠夢さん、待ってくれてありがとう」


 2人は暗くした後、図書室の奥へ。カップルでしかしないことは、他の人に見られてはならない。その認識を持っていた。


 ☆彡


 そこで2人は抱き締めあった。ある程度仲良くなってからは図書室でしている。

 しかし、今日の翠夢は違和感があった。瑠璃は、そんな翠夢が少しだけ怖くなる。普通よりも力が強いような気がする。

 いつもは、流れでそのまま少しだけキスをして、そのまま2人で帰るが、いつものではないため、聞いてみることにした。


「どうしたの。少し息苦しいの?」

「次に進みたいな。キスはいっぱいしてるけど、もっと深くしたい。怖いと思うから、少しずつ慣れればいい…」


 瑠璃は少し不安になり、一度翠夢の口を自分の口で塞いだ。

「(これ以上進む…普通のキスで耐えて…)」

「(……舐めたい)」


 ☆彡


 瑠璃はすぐに唇を離したが、翠夢は満足していなかった。前にキスしていたときは手を背中に回していたが、今度は瑠璃の後頭部に回し、唇を重ねた。


「あっ……(何だか、リアルな感触が……)」

 翠夢は舌を出して瑠璃の唇を舐め始めた。

「ちゅぽちゅぽっ」

「んっんっ」


 瑠璃は今までにない感覚に襲われている。好きな人、相手の男に舐められていること。そして唇をなぞられていること。


 ☆彡


 これ以上のことに耐えるため、一旦ハグをやめ、手を後ろで組んだ。

 翠夢は相手のことを考え、唇を離して息継ぎをする。


 手を後ろで組む瑠璃の仕草を見た後、翠夢は問題ないと考えたのか、キスしている最中、舌で口を割ってきた。


 ちゅっ、ちゅぽっ

「んんっ、んんっ」

「(瑠璃の反応が可愛い。受け入れてくれてありがとう)」

 2人の舌は重なり合い、水音を立てている。

 翠夢は舌から受け入れる刺激を得るためにディープキスを続ける。瑠璃はその感覚を受け入れるしか無くなっていた。鼻から出る瑠璃の声が、翠夢を興奮させていた。苦しそうにしている瑠璃が、翠夢の嗜虐心を刺激する。


 ☆彡


「あっ…んっ、んーっ!」

「(瑠璃かわいい…ほしい)」

 2人とも息は結構長く続くのだが、それでも瑠璃が少し抵抗し始めていた。ずっと息を止めていたために苦しくなったのだろう。翠夢は我を少しだけ取り戻し、勢いよく舌を抜いた。


「あんんっ、はあっ、はあっ」

 急な刺激に瑠璃は声を上げてしまう。そして、珍しく翠夢に対して、怒りと要望を表した。


「あの、キスはもう少し優しくしてください。恥ずかしいし、身体が耐えられない」

「すごい気持ちよさそうな声だったけど、もっと優しい方がいい?」

「はい。私は優しい方が好きです。でも、ちょっとだけなら…激しいキスも…」

「激しいのをしたいときは言ってほしい。わからないから」

「でも、今日はもうやさしいものでお願いします」

 それを理解した翠夢は、一度ハグによって落ち着ける状態を作った。この時点で、眼鏡のレンズが少し曇り始めていたのだが、瑠璃が気が付いていなかったため、そのままキスに入った。


 ☆彡


 すると、今度は瑠璃が翠夢の口に舌を入れてきた。感覚に慣れておらず、翠夢が舌を伸ばし、それを瑠璃が触る形であった。


 ちゅっ…ちゅっ…


 疲れてきたら、舌を抜き、キスを中断する。すると、翠夢と瑠璃の口の間に、銀の橋が完成し、すぐに途切れた。

 瑠璃は途端に恥ずかしくなり、耳を赤くして翠夢の後ろに回していた手を口に持っていった。その姿を見て、翠夢は瑠璃の頭を撫でた。気が付いたら、瑠璃の眼鏡のレンズが曇っていた。前が見えなくなるほどに。

「優しいキスって言ったけど、瑠璃からしたかったんだな。恥ずかしがらずに、慣れていけばいい」

「翠夢さんが優しかったからです。ありがとう。これからもちゃんと話すから」

「ああ」


☆彡


 この後、こっそりチョコを2人で食べることにした。日付を考えれば当然といえるだろう。流石に本は大事にしないといけないため、放課後の教室へ。その後、チョコを食べていた。

 2人とも狙おうとしたのか、また口が合わさった。


「んっ…あっ…好き……(ずっとしていたい…翠夢さん…)」

「…(可愛い…そしてチョコも舌も美味しい…もっと味わいたい…)」


 相手の口の中のチョコを食べ終わった後、残っているチョコを2人で食べ始める。ある程度時間が経ったら、それを相手の口の中で味わう。口移しを何度も繰り返し、チョコが無くなった。1回が長いのに、それを何度も繰り返す、激しいキスがようやく終わった。


☆彡


「うっ…今日はちょっと激しくしすぎたけど、瑠璃は大丈夫か?」

「…ありがとうございます。眼鏡が曇ってしまいました…翠夢さんがこんなに激しくする人とは思ってなかったですが、私もこれくらいしてもいいかなと思ったので、受け止めました」

「さあ、帰ろう。またこういうのをできる時があったらしような」

「はい!」


 ようやく帰宅することになった。明日も、明後日も、似たようなことがあるだろう。この関係は、卒業するまで続くだろう。

 とんでもなく美味しいチョコと相手の舌の味を、忘れないようにして、2人は就寝した。


 ☆彡


 まだ、この時2人はこの後に控える悪夢には、気がついていなかった…

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