4

 過去。


 過去。


 並び替え。


 未来。


 現在。


 並び替え。


 明日。


 翌日。


 来月。


「まーた、違反したでしょ」

 画面を三人で囲み、マウスを松篠が忙しなく動かす。

 その手がピタリと不審に止まった。

 昨日差し入れで貰った缶ココアを飲んでいた竹葦が眼を大きくする。

「……どうした、めつ君」

「い、いえ。何も。いつも通り滅茶苦茶っすねえ、教授の」

 壁がミシリと軋んだ。

 三人は同時に顔を上げたが、すぐに視線を窓に走らせて画面に戻した。

 家鳴りだろう。

 甘い液体を唾液で飲み下す。

 ガムは……切らしてたか。

「斉田教授はきちんとしてらっしゃるんでしょうねー」

「斉田教授には、優秀な准教授がいるからなあ」

 皮肉を嫌味で返され、松篠が肩を落とす。

「何分かかる?」

「愚劣な准教授には二年必要です」

「なら三時に戻るからそれまでに」

 そう言い残して斉田と出ていく背中を、舌打ちが見送った。


 完全に足音が消えてから松篠は両目を覆い、椅子にもたれかかる。

 頭痛が治まらない。

 指の隙間から現実が変わってくれないか願って画面を見たが、電子は無情だ。

「……なんで減ってんだよお」

 シフトキーを押しながら全選択をするためにスクロールしていく。

 数はやはり減っている。

 

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