第2話 黒い尻尾

 あれから三ヶ月。


 雄二は普通の生活を取り戻していた。黒い狐のことは頭の片隅へと追いやられ、中間テストの方が気になるくらいだった。間近に迫った地区大会に向けて部活も気合が入る。今回は友部中学に負けるわけにはいかない。何としてでも勝って県大会へと行くのだ。今日も放課後の剣道部に精を出して、汗だくで帰宅した。玄関から家に入り「ただいまー」と家の奥でご飯を作っている母親に言う。遠くで「おかえりー。ご飯前に風呂入ってー」と言う声が聞こえた。

 母親の言う通りに風呂場へ直行した雄二は、制服を脱いでハンガーにかけた。

 脱衣所で下着を脱ごうかという時、雄二は何気なく鏡を見た。すると、僕の後ろに大きくて黒い何かが揺れているのが鏡に映っている。それが大きな黒い毛虫にしか見えず、思わず「ひいっ!!」と籠った悲鳴が口から出た。ただ、黒い何かが直ちに襲いかかってくる様子もなかったので、雄二は恐る恐る後ろを向いてそれを見た。

 あれ?これは…

 まさかと思い、前を向いて鏡にゆらゆらと揺れるそれを映した。雄二はそれに見覚えがあった。そう、あの笠間稲荷神社で見たのと同じものだ。恐怖のあまり絶叫したいところだったが、このまま家族が飛び込んできたら恥ずかしいし、これを見られた日にはもう普通の生活は送れなくなる。心を落ち着かせて、雄二は事態の把握にかかった。

 まずは深呼吸。一回、二回、三回。

 そして、確認のためもう一度だけその黒いものを見た。


 間違いない。この揺れるふさふさはあの時の狐の尻尾だ。


 そして、その尻尾は僕の腰に生えている。ああ…と目の前が暗くなる思いだ。幻覚かもしれないと触ってみたが、これが信じられないくらいふさふさで触り心地が良い。これを見る限りにおいて、あの笠間神社での出来事はどうやら現実の出来事だったようだ。あの黒い狐は消えたのではなく、何らかの形で僕の中に入ったのかもしれない。一体何のためなのかは、皆目見当もつかないがそう考えるしかない。

 こんな中、間違って妹が脱衣所に入ってきてはまずい。僕はとりあえず風呂場へと入った。そして、恐る恐る自分に生えた黒い立派な黒狐の尻尾をもう一度見た。

 尻尾は、雄二の頭の上を遥かに越す実に大きな尻尾で、その立派さには惚れ惚れとする。しかし、これが自分に生えているという状況はまずい。これを今ここで何とかしなくてはいけない。ますは、尻尾に力を入れてみる。何と、尻尾が自分の意思で動くではないか。

 雄二はゆらゆらと揺らした後、尻尾を自分の正面に回してみた。尻尾の先まで自分の意思で動く。生えたばかりの尻尾がこんなにも思い通りに動くことに驚きを禁じ得ない。改めて実物を見ると、実に触ってみたくなる毛艶と形だ。僕は両手で尻尾を掴んだ。尻尾にも神経が通っているのか、きちんと触った感触がわかる。毛の一本一本が煌めき、全体にフワッとしているが、きちんとしっかりとした芯も感じる。触るだけでは飽き足らず、思わず抱きついてみると、これが何とも言えず感触がいい。あの時嗅いだ甘い匂いも、あの時ほど濃くはないが感じる。このままずっと抱きついていたい気分だ。

 いや、待て。雄二は我に返った。

 この状況を受け入れてはいけない。自分は人間であって、尻尾を持っているのはおかしい。この同調圧力だけが異常に強い国で、こんな姿になれば絶対に暮らしていけない。一瞬抱きついてしまったのは、立派すぎるこの尻尾がいけないのだと尻尾に全責任を背負わせた。

 尻尾を後ろに戻すと、尻尾の付け根を鏡に映した。尻尾はしっかりと腰にくっついていて、どう見ても取れそうもない。必死に対策を考えたものの、所詮は中学生の浅知恵の域を出ず、これはどうにもならないと諦めた。

 もうどうにもならん。一旦、雄二は思考を停止して身体を洗うと風呂に入った。時間が経てば尻尾が消えるかもしれない。

 しかし、風呂から上がって服を着ても尻尾は消えない。台所で料理を作っている母に言うべきだろうか?でも、また警察が来るような事になれば高校の進学にも響くかもしれないし、こんな尻尾のある人間がこれからまともな社会生活ができるのかも疑問だ。

 尻尾は大き過ぎてズボンに隠すこともできない。散々迷った挙句、雄二は母に伝える事にした。

「母さん。あの、ちょっといい?」

「何?あとちょっとで夕飯できるから、テレビでも見ていて」

「いや、それどころじゃ…」

「何よ」

 若干イラッとして雄二を見た母の静江は、雄二の出立ちに驚き、菜箸を落としたまま固まってしまった。

「あの、これどうしたらいいかな?」

「これって…」

 母の行動は早かった。まずは妹に見つからないように勉強部屋に入れられ、僕は父の義弘が帰って来るのを待った。

父が帰ってくると、母と三人で今後のことを話し合った。

「これじゃ、学校もいけないな」

 父は、心底困った顔で頭を掻きながら雄二の尻尾を見た。

「ねえ、おいなりさんに相談してみましょうよ。私たちだけじゃどうにもならないわよ」

「そうだな…」

 普段は冗談みたいな顔ばかりしている父も、この時ばかりは終始真面目な顔をして真剣に考えてくれた。今週のどこかで仕事の休みを取って、やれることをやるという事になった。

 学校はしばらく休みで、妹には雄二が病気だとする事になった。それから数日間、トイレ以外部屋から出られない日々が続いた。妹は僕がとんでもない病気にかかったのだと思い、部屋の前にチョコレートと共に頑張ってと手紙を置いてくれていた。なんだか騙しているようで申し訳なかったが、妹の前に出られるようになったらきちんとお礼を言わなければならない。

 色々とヤキモキしたが、週の中頃に父と母は笠間稲荷神社に相談に行って、それなりの手応えを得たようだった。

 ただ、僕自身は中間テストも受けられず、剣道の地区大会にも出られなくなってしまった。これは精神的にかなりこたえた。剣道部の友達やクラスの友達も心配してくれて、授業のノートなどを持ってきてくれたが、会うこともできないので非常に申し訳ない気分になった。

 モヤモヤした一週間を過ごした土曜日に、父が僕の部屋に来た。

「明日、おいなりさんに紹介してもらった先生のところにいくぞ」

「分かった。どんな先生なの?」

「詳しくはそこに行って話を聞いて欲しいと言われたんで、良く分からないんだけど、その筋では有名なお坊さんを紹介してもらったよ。今はその人を頼る他ないな」

「そう…色々ありがとう」

「親だから当然だろう。ま、明日は早いからまずはゆっくり寝てくれ。あと、風呂は、翠に見つからないようにな」

「分かった」

 どんな先生なのか気になるが、それは明日わかることだ。雄二は尻尾を目の前に持ってきた。黒々として本当に立派な尻尾だが、何も自分に生える事はなかったのにと恨み節を言いたくなる。妹の翠が寝たのを見計らって素早く風呂に入ると、すぐに布団に入って尻尾に抱きついた。匂いもいいし暖かいし気持ちもいいので、最近はこうして寝ている。皆が好奇の目で見なければこのままでもいいのになどと思っていると、いつの間にか深い眠りに入っていた。


 次の日の日曜日。


 雄二は父の運転する車に母と三人で乗って、国道五十号から水戸へ行き、高速道路で関東南部へと向かった。車は茨城から埼玉、そして東京へと走る。その景色をじっと見ていた雄二だが、尻尾を服の中に厳重に隠した事で、思いの外身体が暖かくなって目が重くなってきた。両親は、僕が変に思い詰めるよりも寝ていてくれた方が良いという感じだったので、まだ茨城県内だったが遠慮なく寝ることにした。

 目が覚めると東京都足立区に入っていた。渋滞で結構時間がかかったようだが、父は目的地までまだまだかかると言う。今日は遠いぞと言われてはいたが、想像以上に遠くてびっくりする。外を見ていると、丁度東京スカイツリーが見えた。近くで見るとその大きさに圧倒される。これほど高い建物が建てられることが驚きだ。多くのビルが林立する都心を通り過ぎ、中央道に入ると背の低い住宅群が目立つ風景になった。父は、東名高速の方が早いが事故渋滞で中央道にしたと言ったが、雄二はどちらの高速も全く知らないので「うん」と言うしかない。

 かなり長時間運転したので、父がトイレにと石川パーキングに車を入れた。売店でボストークというパンを買ってもらい車で食べる。甘いフレンチトースト風の美味しいパンで、茨城でも売って欲しいなどと思っていると八王子ジャンクションから圏央道に入った。周りは鬱蒼とした木の森になっている。父がここも東京だと言うが、本当かと思う。とても信じられない。東京はビルばかりだと思っていたからだ。

 圏央道を直走って東名高速に入ると、車はようやく秦野丹沢スマートインターで降りた。街中を数分で通り過ぎると、どんどん山の中へと入っていく。あっという間に、風景が茨城の山の中とさほど変わらなくなった。小一時間下道を走ると、車は丹沢湖へとやってきた。

「ふう。もう少しだ。ここまで遠いとは思わなかったよ。約束の時間ギリギリだ」若干焦った顔をして父が口を開いた。

「あなた。ナビだとあと五分だって」

「なら、間に合う」

 車は丹沢湖の脇にある集落を過ぎ、全く舗装されていない山道へと入った。転倒するのではないかと心配になるほどに揺れながら進んだ先に、寂れた寺が見えてきた。寺の門の前に僅かばかりある駐車スペースに車を停めると、皆で急いで車を降りる。僕の背丈ほどもある細長い石に丹禅寺と彫られている。寺の建物は朽ちているのかと勘違いするほど古く薄汚れた建物で、こんなところに訪れる人間がいるのか疑問だ。

「じゃ、行こうか」不安そうに父が言った。

 地図にも載っていない寺だと父が言っていたので、本当にここでいいのかと思っているのかもしれない。母も不安そうに目を細めて薄汚い寺を見ていた。雑草だらけの境内から寺の本堂へと歩くと、寺の扉は開け放たれていて、真っ暗な中にチラチラと小さい炎が見えた。誰かが蝋燭を灯しているようだ。

「すみませーん」

 父が大きな声を出すと、シンと静まり返った寺の中からスタスタと足音が聞こえてきた。

 奥から玄関に年季の入った僧服に身を包んだ老齢の僧が僕らの前に現れた。背中が曲がっていないのでそれほど年に見えないが、恐らく七十は超えている。

「どなたか?」

「あの…笠間稲荷神社の権宮司様のご紹介に預かった志田義弘と言います」

 僕ら三人を見ると、老僧は小さく頷いた。

「では、そこから中へどうぞ」小さいが芯のある声で僧が言った。

 雄二たちは玄関からおずおずと寺の中へと入った。板張りの床も年季が入っていて歩く度にきぃきぃと動物の鳴き声みたいな音を立てる。足音に紛れて「キキキ」という不気味な女性の声も聞こえるような気がする。その声はまるで僕を嘲笑っているようだ。

「へ、変な声がしない?」

「いや、しないな」

 父はあっさり否定して進んでいく。僕は一瞬止まって前を見た。すると、やはり足音とは別に女性の笑い声が聞こえる。そんな声のする方へと進みたくはなかったが、一人になるのも嫌だったので仕方なく僕も奥へと進んだ。

「キキキ」

 女性の声が少し大きくなった気がする。

 真っ暗な廊下を抜けると、天井の高い本堂へと入った。全面黒い木で張られた壁や床は鈍く光り、見事に磨き抜かれていた。外観と中のギャップが凄い。

「キキキ」

 本堂の中では相変わらず女性の笑い声が聞こえる。この感じからすると間違いなくそこにいる。実は女の子が隠れているのではないかと周りを見たが、人の気配はしないし隠れられる場所もなかった。雄二は見えない体質なはずだと自分に言い聞かせたが、どうしても目が宙を彷徨う。

 その様子を見た老僧が、「何か聞こえるか?」と僕に聞いてきた。

「じ、女性の笑い声が…」と恐る恐る言うと、細い目をさらに細めて頷いた。老僧は、祭壇に供えている小瓶を取ると、その中に入っている水を少量周りに振り撒いた。すると、驚いた事に女性の笑い声が消えた。

「若い男を見ると、たまに出てくるのだ。許してやってくれ」苦笑気味にそう言うと、小瓶を祭壇に戻した。

 父と母は顔が恐怖でひきつっていたが、何とか逃げずにこの場に止まった。

 老僧はお釈迦様の奉られた祭壇の前に、ゆっくりと座禅の姿勢を作って座った。

「丹禅寺は大和尚の源信と申します。では、皆様もそこにお座りください」と僕ら三人を座らせ、「では、これまでの話をお聞かせくだされ」と僕に促した。

 座ったままでは話し辛かったので、僕は勢いをつけて立ち上がった。息を大きく吸う。この話に尻尾が治るかどうかがかかっている。僕は、笠間稲荷で黒狐に会った話とお風呂で突然尻尾が生えた話をなるべく詳細にした。

 源信は目を瞑りながら時折頷いて雄二の話を聞いていた。

 ゆらゆらと祭壇の蝋燭が揺れ、源信の皺が陰で深くなる。床や壁と皺の影が一体化して暗闇に向かって話しているような気分になる。

「———えーと、その狐塚の黒い石が集まって固まると、恐ろしく大きな黒い狐になりました」

 話が黒い巨大な狐の話に差し掛かると、源信は一瞬目を開けて僕を見た。その目は、僕を通り越して違う世界を見ているような、どこか遠い目だった。

「ふむ。狐は確実に黒かったかの?」

「はい。僕の尻尾も…黒いです」

「そうか。彼岸の世界で黒い狐に会ったか…あ、話の腰を折って悪かったの。続けてくだされ」

 彼岸という事は、僕は遠い死の世界に行っていたことになる。よく現世に戻れたものだと今更ながら冷や汗が出た。気を取り直して覚えていることを全て話し終えると、完全にエナジーが切れてしまい、雄二は崩れるように床に座った。これだけ必死に話をした事は生まれてこの方ない。自分の意志を言葉に乗せるのがいかに大変な作業なのかがよく分かった。

 話を聞いた源信は、小さく「そうか…」と言うと、目を瞑って何かを考え始めた。


 祭壇の前は静けさに包まれた。


 今、動きがあるのは風でたゆたう蝋燭の光だけだ。その薄い光はひたすら源信の後ろを照らしている。父と母は、緊張の面持ちで源信の言葉を待っていた。父は前傾姿勢で、生地を破かんばかりに膝をつき、手にも力が入っている。雄二と同様にこの静けさを無限の時間のように感じているに違いない。

「キキキ」また笑い声が聞こえた。

 この女性は、間抜けな僕の話を聞いていたのだろうか?

 源信はふと立ち上がり、また祭壇の瓶の水を撒いた。フッと女性の笑い声が消えた。源信にもあの笑い声が聞こえているのだろう。源信は瓶を祭壇に戻しながら「ふむ。それは大変でしたなあ」と誰に言うでもなく口を開いた。そして、申し訳なさそうに「その尻尾を見せてくれませんか?」とお願いしてきた。

「分かりました」

 雄二は服の中に苦しそうに入っている尻尾に力を入れた。その様子を、源信は全てを見通すような目で見ている。すでに何かが始まっていると薄ら感じた。ゆっくりと立ち上がって、子供をおぶっているかのようにパンパンになった上着を脱ぎ、上半身裸になった。すると、ようやく出られたとばかりに、腰から突き出た黒い大きな尻尾が、勢いよく僕の頭上にピンと張った。辺りは仄暗いが、どういう訳かこの黒い尻尾だけはその存在を強く主張しているようで、付け根から先までよく見える。

「オオオ」

 驚いた女性の声がした。源信も驚いた様子で、細い目を見開いてまじまじと僕の尻尾を見た。

「これは、なんと立派な…」

 源信はこの尻尾にしばらく見入っていたが、また祭壇に置かれた瓶の水を撒いた。すると「ムムム」と怒った声が聞こえた。源信は諦めたような顔をして両肩を持ち上げると「珍しくどうしても見せてくれと言い張っておる」と言って瓶を祭壇に置いた。「キキキ」一段と嬉しそうな声がした。

 父と母には声は聞こえていないはずだが、それ故か、二人とも目だけで周りを見ながら恐怖で青ざめている。これ以上の事が起きたら二人とも気絶するに違いない。

 源信は僕の後ろへと周り、尻尾と腰の付け根を見た。繁々と眺めては、「うーむ」などと言って腕を組んだり顎へと指をやったりして首を傾げている。この経験値の高そうな老僧がこれだけ悩ましい顔をするからには、やはり一筋縄ではいかないのだろう。

「この尻尾は動かせるのか?」

「はい。動かせます」

 雄二は尻尾を左右に振ったり上げ下ろしたりした。

 源信は動いている尻尾を見ながら、手で尻尾を触ってきた。大工のようなゴツゴツした手の感触がした。ここには電線が来ていないので、毎日斧で薪を割って火を起こしているのかもしれない。

 源信が尻尾から手を離すと「ウウウ」と羨ましそうな女性の声が聞こえた。「やめておけ。触るとこの世から消えるかもしれんぞ」と源信が言う。「ムムム」女性の声は怒っているが、納得しているようにも感じる。

 源信は僕の前に立つと、背筋を伸ばして静かに言った。

「見事な尻尾拝見させていただいた。まずは座ってくだされ」

 雄二は促されるままにそこに座った。床が冷たく、上半身も裸のままだったので若干寒く、尻尾で身体を覆った。

「では、ご両親。良いですか?」

 いきなり覚悟を聞くような言い回しに、両親の顔が引き攣った。こんな不安そうな両親を見たことがない。父と母はお互いに気まずそうに顔を見合わせると、やがて覚悟を決めたのか父が頷いた。それを見た母も頷いた。

「お願いします」

 父の震える声を聞いた源信は、では、と言って話し始めた。

「獣憑きにも色々ありましてな」

 源信の声に力が籠る。何故か蝋燭の揺れが激しくなり、周りの影が踊り始めた。

「一般的に認知されているものは、狐に乗り移られて幻覚を見せられる狐憑き。そして、動物の魂を己が身に宿して他人に呪いをかける憑きものですな。ですがなあ、本当に稀にじゃが…この子のように動物の霊魂———この場合は名のある狐の霊、もしくは狐の妖自体ですな。それが人間に乗り移る事があります。その場合、大きく二つの道に別れることに…なると言われています」

 源信は一旦話を止めて、雄二を見た。両親と同じように、この続きを聞く覚悟があるのかを確かめているのだ。雄二は源信の目を見てゆっくりと頷いた。ここまで来て聞かないわけにはいかない。

 ゆらゆらと揺れる蝋燭の炎が、源信を陰と陽の世界に行ったり来たりさせている。陰の世界は驚くほど暗い。きっとあの中には何か違う世界があるのだなどと思っていると、隣に何かの存在をはっきりと感じた。見ても誰もいないので、恐らくは声の女性だろう。

 源信は僕の横をチラッと見据えたが、すぐに僕の目を見て話し始めた。

「一つは、強大な力を持つ獣の魂、若しくは妖が人間に取り憑くと言う場合じゃ。この場合、妖は人間を使って悪さをするのが常で、最終的には人間の意思は妖に乗っ取られ、人間は妖そのものになってしまう。もう一つは、その動物の霊魂、若しくは妖そのものが気に入った人間に対して力を貸す場合だ。何かのきっかけで力を渡す必要を感じた妖や動物の霊魂が、自分の気に入った人間に力を譲渡し、その目的のために力を貸すというのが一般的じゃ。その場合、本人の意思は残ったままその妖や動物の力が残る」

 僕はあの時見た狐を思い出した。あの大きさ、威厳、そして理知的な感じ。あれはどう見ても立派な狐の大妖怪だ。妖怪だとすれば…それはきっと…つまり僕は乗っ取られる?

 雄二ははいても立ってもいられなくなって、思わず口を開いた。

「あ、あの…妖に乗っ取られた場合、どれくらいで僕の意思が乗っ取られてしまうのですか?」

 源信はどう言おうかと思案しているようだ。

 横からは「ンンンン」と心配そうな声が聞こえる。源信は僕の横に目をやった。女性の声は静かになったが、何かがウロウロしている感じはする。

「正確にいつとは言えないのだ」

 源信は申し訳なさそうに言うと、祭壇の方を見た。蝋燭の揺れが激しい。

「過去の例から言えば、かなりの潜伏期間を経て人妖になった例もあれば、すぐさま人妖になった例もある。総じて言えるのは、妖や動物の魂の力が強ければ強いほど、それが乗り移った人妖は手に負えなくなると言う事じゃ。その手の話は古事記を始め、古い書物にも多く出てくる。例えば『鬼』と言えば、通常は天皇家の言うことを聞かなかった庶民や豪族、盗賊などを指すのだが、その中でも酒呑童子などは強大な盗賊の長と考えるのが一般的じゃ。しかしのう、我が一族の口伝によれば、あれは完全に人妖だったようだ。人ならざる力を操り、どれだけ強い武士や術師を送り込んでも返り討ちにあったと伝わっておる。酒好きが災いして討ち取られたが、それさえなければ、奴は今の時代になっても強大な力を有して人間と争っていたかもしれぬ」

 とんでもない話だ。意識が乗っ取られた上、人間を攻撃してしまうなんて…

 両親はこの話に下を向いてしまっていた。思った以上の話で頭が混乱しているのだろう。

「話を戻す。今の話は顕現した人間の話じゃ。顕現とは、身体の一部に何らかの動物部位が現れる事。普通の獣憑きは主に精神に取り憑くもので、物理的には何ら影響を与えませぬ。要するに、この子のように尻尾が生える、耳が獣の耳になるというような事はまずない。顕現するという事は、それだけ強い動物の魂、言い換えれば上位の妖の霊魂が人間に憑くということであり、これから先のこの子の運命は半々と言えますな」

 数珠を持つ手を伸ばし、膝を少しだけ曲げ、若干の前傾姿勢を取ると源信は顔を険しくした。すると、細身の老人の身体から信じられない程の気が発せられた。その気があまりにも熱く感じるので、源信が火を発しているように思える。

「オオオ…」

 恐怖に慄く女性の声が聞こえた。

 同時に、突然この場が騒がしくなった。ここにいた見えざる存在たちが慌てて動いているのを感じる。どうやらこの空間から逃げ出しているようだ。気付かなかっただけで、これだけの怪異に囲まれていた事に、僕は背筋が寒くなった。 

 蝋燭は強い風に煽られているかのように、激しく揺れている。それに合わせて源信の影がさらに濃くなった。祭壇の前はいつの間にか影の世界の方が広くなっている。黒い闇を身体に纏わせ、気を発し続けながら源信は話しを続けた。

「今、拙僧は気を使って小さな妖をこの部屋から追い出した。しかし、この子は若干の熱さを感じたもののこの気をものともしていません。そこで、私の見立てですが、そこが若者に憑いた狐は、そんじょそこらの狐ではありませぬ」

 あの黒い狐はやっぱり凄い妖だったのかと、雄二は黒い尻尾をじっと見た。

「我が一族には、九尾の狐という強大な妖の話が伝わっておる」

 源信は怖い顔を一層恐くして静かに語り始めた。

「その昔、大陸から強大な妖の九尾の狐がやってきて、玉藻前という女官に姿を変えて朝廷に悪さをした。彼女は結局退治されたが、その際、殺生石という毒を吐き出す石になったと言われておる。その石を無効化させたのがわしの先祖の源翁心昭じゃ。殺生石の話自体は後世になって作られた話じゃが、儂の祖先である源翁心昭が、討伐隊の手に負えなくなった玉藻前の呪いを祓ったのは本当の話じゃ」

 源信は深い呼吸と浅い呼吸を繰り返した後、ゆっくりと経を念じ始めた。


 空気が揺らいだ。


 目の前の世界が歪み、源信の声に幕が張ったように聞こえ辛くなった。最後までこの場で粘っていた見えざる存在たちも、悲鳴のような声を上げながら蜘蛛の子を散らすように部屋を出ていった。もうこの空間には、僕と源信と両親しかいない。いや、全部が全部出て行った訳ではない。隣にあの女性が…まだいるように感じる。

 経が力強く読まれるにつれ、僕は身体に痺れを感じていた。

 真っ暗な影と同化した源信の姿は、元の姿が分からないほど歪んでいる。もしかすると、本当に闇と同化しているのかもしれない。源信は水晶でできた緑色に光る数珠を雄二にかざし、一段と声を大きくして経を読み始めた。それに合わせるように僕の身体の痺れが濃くなった。もう立っているのも辛い。

「ご両親」

 突然話を振られた両親は、呆気に取られながらも源信を見た。

「先ほどの九尾の狐の話には続きがあり申す。我が一族は来るべくその時のために700年に渡って連綿とその役割を受け継いできた。そして、今、この時代に、私たちの受け継いで来た役割が必要になったことをこの子を見て確信し申す」

「う、受け継いで来たこと…ですか…」

 父は源信の言うことを理解しようと必死になっている。僕も何とか理解しようと頭を回転させる。

「九尾の狐を祓った源翁心昭は、室町時代から数百年後に九尾の狐が復活すると予言しているのだ。そして、その予兆と対策を京の陰陽寮と共に研究し、後世の我々に残してくれておる。拙僧が受け継いだ話によれば、源翁心昭は九尾の狐を祓う際、その魂を善と悪に分けたようじゃ。その悪の魂は栃木県にある殺生石と呼ばれる岩に閉じ込めた上で、魂を粉々に砕き、善の魂は狐の形をした石像に入れたと伝わっておる」

 狐の形をした石像…いや、まさか…

 僕は笠間稲荷神社の狐塚を思い浮かべた。あそこの狐塚にはまさに黒い狐の石像があって、その石像が大きな狐になった。しかし、あの狐は尻尾が一本しかなかった。とすれば、九尾の狐という訳ではないのかもしれない。

 源信の話は続く。

「源翁心昭は善の魂を入れた石像を笠間稲荷神社に預けた。それは、とある一族がそこに住んでいるからだと伝わっておる。源翁心昭が九尾の狐を祓った際の話じゃ。ある少女が九尾の狐の魂に憑かれた。その少女の身体を乗っ取って、九尾の狐は実体を持とうとしたそうだが、幸い源翁心昭がその少女から九尾の狐の魂を引き剥がすのに成功した。その少女は、九尾の狐が祓われた後も不思議な力を持ち続けたと言う。彼女は、かの源翁心昭ですら感じられない小さな霊の話しを聞き、驚くべき霊力を保持いたそうだ。その後、少女は源翁心昭に引き取られ、京の陰陽師で長い期間を過ごし、最後に常陸国新治郡——今の笠間市じゃな。で過ごしたそうな。そして、その一族の中には時折ではあるが、異能を持った者が生まれたと言う」

 黒い狐に笠間に居を構えた異能の少女…これはいよいよ…僕の頭に何か言いようのない不安がよぎった。

「その少女の一族はある特性を持っていることから、九尾の狐が復活した時のため、絶対に絶やしてはいけないと源翁は警告していた。果たしてその一族が現代に残っているのかと言われれば————儂の目の前にいると言うのが拙僧の答えになる」

「うちの家系がその一族だと?」震える声で父が聞く。

「さよう。そなたの父に笠間に住むように厳命されませんでしたかの?」

「厳命…いや、まあ、確かに笠間の土地は決して手放さずそこに住め、困った時は必ずお稲荷さんに聞け。とは言われましたが…」

「そうやって代々継いできたのだ。その理由については途中途中で失われてしまったのかもしれんがな。ただ、笠間稲荷は源翁の言葉をきちんと継いでいてくれていたようだ。だからこそあなた方がここに来たのだ。そして、お子さんが黒い狐の復活に立ち合い、この尻尾が生えた。これはある意味で最も厳しい現実が、近いうちに訪れることを意味しておる」

「と言うと?」

 父の顔が強張った。その先をあまり聞きたくないようにも見える。


 源信は「九尾の狐の復活じゃ」と静かに言った。


 ただでさえ静かな部屋の空気が冷え込み、更に静かになった。母は俯いて肩を震わせている。もしかしたら泣いているのかもしれない。父は厳しい顔をしながら下を向いてしまった。

 源信は話を続けた。

「源翁心昭はこう言い残している。若し、九尾の狐が復活すれば、日本はおろか海の向こうも無事ではいられないと。実体を持った九尾の狐を祓う事は、もはや普通の人間には適わない。話は変わるが、源翁心昭が九尾の狐を祓えたのは、その時の九尾の狐が魂の状態だったからだと言う。実体があればとても無理であったと素直な感想があるくらいだ。九尾の狐は実体を持つために一人の女性を選んだと言う。それがあなた達一族の祖先だ」

 雄二も父も母も、もうどう反応していいかわからない。それでも源信の話は続く。

「源翁心昭はいくつかの対策を考えた。そのうちの一つが、九尾の狐が選んだ一族と、善なる九尾の狐が手を取り合うことだ。九尾の狐の依代になれる人間を見つけるのは空の上から針の糸を通すような可能性に等しい。しかし、その人間の血を引き継ぐ者であれば可能性はある。そこで、源翁心昭は、その一族を笠間に住み続けさせ、その時が訪れた時に備えさせた。そして、その答えが志田雄二。そなたじゃ」

 咄嗟に雄二は思った。そんなことを言われても今まで霊感などなかったし、特別身体能力が高いという訳でもない。黒い尻尾があるだけで何もできない。それに自分はまだ中学生だ。

 そんな僕の困惑顔を見ながら源信は話を続けた。

「ふむ。いきなりそんな事を言われても混乱するのも仕方がない。しかし、時に事実は奇なるもの。大いなる意思は予期せん時にやってくるもの。黒き狐は善なる象徴。それと邂逅したそなたは、この大いなる意志の中に組み込まれ、その中で生きることになる」

「ちょ…ぼ、僕は普通の人間で、何もできません」

「今はそれでいい。黒い狐は我々に警告してくれたのだ。もうすぐだぞ。と」

 頭がぼーっとする。血が上っているのだろう。僕はこの尻尾を何とかしてほしいだけで、九尾の狐とか何とかはこの源信さんとか分かっている人に何とかしてほしい。僕に何ができるというのだろうか?

「あ、あの。雄二がそんな妖怪の戦いに巻き込まれるなんて耐えられません!!もっと向いている人が他にいるはずです!!それに九尾の狐が復活するなんて誰が信じるのですか!!」

 ついに母が涙を流しながら爆発した。確かに九尾の狐が本当にいるのかなんて誰も分からないし信じる訳がない。

「何度も言いますが、これは大いなる意志の中の運命。この子はそれだけの資格を持ち、黒き狐に選ばれた。この数百年。我々も源翁心昭の教えを元に研鑽を重ねてきた。その結果、九尾の狐への対策は少しずつ進んでおる。それは国も承知している。御母堂が心配なら、国から人を呼んで話しを聞く機会を設けるが如何いたすか?」

「そんな話、聞くわけないでしょ!!」 

 母は怒り心頭で、声を枯らして叫んだ。

「私はこの尻尾を治してもらうためにここに来ただけです!!それができないならもう帰ります!!」

 源信はやれやれという顔をして「では、応急処置をする」と言った。

「早くやれ!!」

 完全に冷静さを失った母は、源信に食ってかかった。源信は母の話を聞いているのかいないのか、落ち着き払ったまま立ち上がった。母はその態度がまた頭に来たようで、ぶつぶつ独り言を呟き始めた。

「これだけの妖に憑かれた人間を、身罷らせず尻尾を取り除くのは儂といえども難しい。しかし、隠すことくらいは何とかでき申す」

 源信は、祭壇の前に立った。いつの間にか祭壇を灯していた蝋燭は消え、白い煙が天井へと登っていた。暗闇に薄らと見える源信は、闇を身に纏い、陽炎のように揺れながら再び経を読み始めた。その経を聞いた僕は、暑くもないのに全身から汗が噴き出てきた。しばらくは我慢できたが、突然、胃液が逆流して吐き気がしてきた。

 一瞬意識を失い、雄二は膝から崩れた。

 母が駆け寄って来たのは何となく分かったが、それ以上の事はもう頭に入ってこなかった。

 どれくらい経ったのか?意識が戻ってきた。薄らと目を開けると、源信が僕に数珠を向けて、僕の身体に稲妻のような痺れをもたらす経を読んでいた。母が肩をガッチリと掴み、半身を支えてくれている。そんな中、今度は全身に痛みが走った。神経毒のような鋭く刺すような痛みに、僕は母の手を振り解いて、床でのたうち回った。

 苦しい。苦しい…

 どれだけのたうち回ったのか、今度は意識が飛びそうなのに痛みで気絶できない。僕は歯を食いしばって源信を見上げた。黒い影が僕の真上にあって、数珠だけが見えた。呪を乗せた源信の声がさらに大きくなると、先ほどまでとは比べ物にならない苦痛が全身に広がった。僕は力の限り手足をバタバタとさせて、床を這いずり回った。母の泣き叫ぶ声が聞こえたが、どうなるものでもない。

 肝心の尻尾は取れる事なく、未だ僕の腰にくっついている。尻尾に力を入れると、まだ僕の意思で動かせた。もう取れないのかもしれないと不吉な考えが浮かぶ。恐怖と痛みが頂点に達し、僕は思わず「うわああああ!!」と叫んだ。

 パニック寸前だった僕の耳の袂で「キキキ」と薄く掠れそうな笑い声がした。こんな状況でも、まだ横にあの女性がいたのだ。そして、これは間違いなく励ましの笑い声だ。そう感じるのは、笑い声もかなり辛そうだからだ。おかげで、僕はほんの少しだけ正気に戻った。

 周りを見た。

 源信はやはり僕の真上で経を読んでいた。奥では、苦しむ僕を直視できないのか、父が真下を向いて手を合わせながら必死に拝んでおり、母は半狂乱で僕の名前を叫んでいる。


 霧に包まれたような源信の声が、突然クリアに聞こえた。

「姿を現したまえ」


 それと同時に僕の身体の中が熱くなった。熱く燃えたぎる何かが身体の中を駆け巡った。そして、尻尾の付け根辺りに痛みを感じた。痛みは強烈で、尻尾どころか下半身をシャベルで抉られているような感覚だ。こんな地獄のような苦しみを生み出す黒狐とは、一体どれほどの存在なのか?狐塚に行かなかればよかったと、もう涙が止まらない。この常軌を逸した痛みが、さすがに雄二の意識を断ち切ってくれた。

 目の前が暗くなるその一瞬、僕はあの巨大な黒狐を見た。幻覚かもしれないが、あの狐が目の前にいる。黒狐はその大きな頭を僕の上に持ってくると、大きな舌で僕の頬を舐めた。どういう訳か安心感が身を包んだ。

 源信は、経を読むのを止めた。


 意識を失い、ぐったりと床に突っ伏した雄二の腰にはまだ黒い尻尾が付いている。


 源信は、雄二の後ろに立つ、途轍もない力を持つその尻尾の根源をゆっくりと見上げた。大きい。そして、その理知的な佇まいは、源翁心昭の言う善なる狐像と合致する。

「色々と聞きたいことがある」

 父と母は宙に向かって話す源信を見ながら困惑した。なぜなら、源信の前には誰もいないからだ。

 源信は構わず話を続けた。

「かつて我が祖先の源翁が九尾の狐と対した際、白と黒に分かれたと伝わっている。そして、この子は、あのおりんの子孫で相違ないか?」

 源信は、黒い狐の話に耳を傾けている。そして、何度か頷いた。最後に短く「委細承知。一つお願いが。この尻尾を普段は隠してほしい」と言うと、黒い狐は不満そうな顔をしながら消えた。


 蝋燭に再び火が灯り、寺の中に充満していた張り詰めた空気が霧散した。困惑している両親に、「終わりました」と源信は静かに言った。


 雄二が目を開けると、上に両親の顔があった。寺の床に寝ていたからか、先ほどの儀式のせいか、身体の節々が痛い。

「雄二。よかったな」と父が涙ながらに言った後、母が「本当にありがとうございました」と言った。

 状況が飲み込めないが、半狂乱で叫んでいた母がお礼を言っているからには、尻尾が無くなったのだろうか?

 僕は徐に腰に手を当てた。なんと尻尾がない。一気に半身を起こすと、横に立つ源信が目に入った。

「ありがとうございます!!」真っ先に御礼の言葉が出た。僕は、今後これほどの感謝を感じる事は一生ないだろうとすら思えた。

「キキキ」

 隣で女性の声がした。この女性も何故か隣にずっといてくれたようだ。「ありがとう」と声のする方に言うと、「キキキ」と嬉しそうな声がした。

「今日はこのくらいにしておこう。

 御両親。日常に尻尾はもう出ない。しかし、九尾の狐は確実に蘇る。その事を頭に入れておいてくだされ。そして、もう少し冷静になった時にその話を聞いてくだされ」

 母親は全く納得していない顔で「はい」と言った。ただ、尻尾を消してくれたことには感謝しているようで、後日話を聞くことを渋々承知した。

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