やめたくないから……。
「わ、わかりました。条件を飲みます」
「それは、よかったです。では、ミズー。後は、よろしくお願いします」
キレート校長は、ミズーに頭を下げた。
「では、お二人共、行きましょう」
俺とホウは、外に出る。
「寮からは、少しあるので車で行きましょう」
ミズーは、俺達を案内してくれる。
「き、君と住むのは、僕が学校を辞めさせられない為だから!」
「わかってるよ」
「許した訳じゃないから」
「わかってる」
ホウは、俺の言葉に唇を少し尖らせていた。
「やー、どうも。どうも」
???
三人で外に出ると真っ白な物体が目の前に停まり、ウサギみたいな顔をした人?みたいなのが降りてきて話した。
「私は、運転手のチージーです。初めまして」
「あ、あ、初めまして」
150センチぐらいのウサギは、俺に手を差し出してきた。
「これから、寮を出て不便になりますので、必要な時は、チージーを呼んで下さいね」
ミズーは、俺とホウに小さな黒いものを渡してくる。これは、向こうで言ったらキーレスの車の鍵みたいだな…。
「真ん中のボタンを押しますと私に繋がりますからね!買い物に行きたい時や道に迷った時、ボタンを押していただければどこでも迎えに行きます」
「わかりました」
ホウは、渡されたものを見つめている。
「これって……」
「プロコースの卒業生のみが使えるものです」
「や、やっぱり、そうですよね」
ホウの目がキラキラと輝き出す。
「ホウ君に辞めて欲しくないからとソウヤ理事長からの贈り物です」
「ソウヤ理事長からですか!嬉しいです」
ホウは、嬉しそうにスキップをしながら白い物体に乗り込んで行く。
「私は、ここで失礼します」
「あ、あの。これは……」
「あーー。すみません。アーキー君が、この世界の住人でない事をすっかり忘れていました」
ミズーは、俺に検索機を見せてくれる。
それを読むとどうやらチージーの運転する白いバスのような乗り物は、陸海空全てに使用出来るようだ。
「これは、プロコースの卒業生しか使えないんですね」
俺は、驚いてミズーを見る。
「はい。空を飛べるのは、プロコースの卒業生の方が急な買い物をする為ですから……。あっ!もう行ってください。あちらでは、リズリと言う女の方が待っています。詳しい事は、彼女に聞いて下さい」
俺は、ミズーにバスに乗せられてしまう。
「では、お願いします」
「それでは、行ってきます」
チージーさんは、ミズーに頭を下げてバスに乗り込むとアクセルを踏んで一気に加速する。
「あーー。ヤバい。ヤバい」
俺は、椅子に座る。
「行きますよ」
「危ない、危なーーい」
目の前に歩行者が見えた瞬間だった。
バスは、フワリと浮かび上がる。
「すごい、すごい。聞いてた通りだよ」
ホウは、嬉しそうに窓の外を見つめていた。
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