小人のこと
「こっち」
それは、ホウのベッドの下だった。
「スゲー」
「小さいだろ?」
「うん」
まるで、人形用のベッドが並んでる。
「小人がいるものは、みんなこんな感じだよ!僕達が、小人族を守ってるんだ」
「へーー。凄いな」
俺は、感心していた。
寮の部屋は、シングルベッドが、並んで置かれてついたてだけでしきられている。
《出来ましたーー》
「じゃあ、シャワー入ってくる。ありがとう、休んで」
《はーい》
小人は、そう言ってホウのベッドの下に入って行った。
さっきも、こうやっていなくなったんだな……。
俺は、そう思いながら見つめていた。
このまま、ここにいて大丈夫なのかな?
俺は、ベッドに横になった。
俺、ちゃんと習得出来るのかな?
◇◇◇◇◇◇
「父さん、何で?父さん」
「ごめんね。凛音」
父さんが、亡くなった。
そして、母さんまで……。
「早いよ!何で、俺を置いてくんだよ」
寂しい気持ちが降り積もるように、ゴミが増えていく。
◇◇◇◇◇◇
「アーキー、アーキー」
「う、うっっ……」
目を開けるとホウが居た。
「うなされてたよ!大丈夫?」
「えっ!あーー、夢だな」
俺は、頬に伝う涙を拭っていた。
「悲しい夢だったんだね」
「いや、そんな事ない」
ただのゴミ屋敷の夢だ。
「それならいいんだけど……」
そう言いながら、ホウは頷いていた。
「ちょっと間って」
そう言って、ホウは小さな備え付けの冷蔵庫から何かを取り出してきた。
「アーキー、飲み物いるだろ?」
「これ、何?」
牛乳みたいな液体の水ではない。もっと薄くて、透明に近い白だ。
「これはね、特別な飲み物なんだよ!待って、アーキーの世界で調べてみる」
そう言って、ホウは写真を撮って検索機で調べている。
「スポーツドリンクって言うらしい」
「お酒じゃないのか!」
俺は、驚いてホウを見つめる。
「お酒かお酒はね!お祝いの時にしか飲めないんだよ。国が汚れるから……」
「どういう意味?」
「酔ったら、吐いたり、トイレを間違えたり、あちらこちらで寝たりするだろ?それを王様は、嫌ってるから……」
確かに、酔うとそうなったりする事もあるけど……。
「飲み過ぎたらじゃないのか?」
俺の言葉に、ホウはクスクス笑った。
「飲み過ぎるんだよ!必ず……」
「何で?」
「水みたいに、飲みやすいからだと思うよ」
そう言って、ホウはスポーツドリンクを飲む。
俺も飲んでみる。
少し甘くて、さっぱりしている。
俺の世界のスポーツドリンクと似ている。
美味しい。
「美味しかったよ」
「よかった、気に入ってくれて!一ヶ月に一回だけ食堂から差し入れてもらえるんだ。だから、一杯しか飲めなくてごめんね」
「いや、全然。いいよ」
ホウは、俺の手からコップを取っていった。
使い捨てなのは、洗う場所が風呂場しかないからか?ホウの考えなのだろうか?
俺は、ホウの事を見つめながら、そう思っていた。
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