ここからは、私が……
その言葉に、ソウヤ理事長が立ち上がった。
「ここからは、私が説明する。ピーカルン、ありがとう」
『了解しました』
そう言うとピーカルンは、いなくなった。
「最初に戻す色は、赤色になった」
「どうしてですか?」
「交通事故が増えてきているのが理由だ。音楽だけは、変えているが……。聴力がないものもいる。逆に聞こえがよすぎて耳栓をしているものもいる。色があった時は、簡単に赤信号がわかったけれど……。今は、無理だ。音だけで識別している現状。昨日だけでも、8件の交通事故が起こっている」
ソウヤ理事長の言葉に、俺は頷いていた。
確かに、俺のいる世界で信号機が白だったら?そう考えると恐ろしい。
音だけじゃわからないよな……。
「出来るだけ頑張ります」
俺は、うっかり、そう言ってしまった。
「よかったよー。やっぱり、アーキー君ならわかってくれると思ったんだ。是非、この国に色を取り戻そう」
「はい」
はいとか言って、出来もしない約束を俺は、ソウヤ理事長と交わしてしまった。
「私は、業務があるから!明日も頑張ってくれよ!アーキー君」
ソウヤ理事長は、そう言ってピーカルンがいる隣の部屋に行ってしまった。
「行きましょうか」
「はい」
俺は、ミズーにそう言われて部屋を出た。
「どうしよう、ミズー」
俺は、泣きそうになりながらミズーを見つめていた。
「そうですね……。やるだけの事は、するしかありませんよね」
そう言いながら、ミズーはポケットから検索機を出している。
「あのさーー。ミズー」
「何ですか?」
「さっき、ピーカルンが言ってた話なんだけど……」
その言葉に、ミズーは何かを検索している。
「確かに、そうみたいです」
そう言って、俺に検索機の画面を見せてくる。
何々……。
俺は、検索機に書かれた文章を口に出す。
「スキル汚部屋のみを持っている場合は、別スキルを増やす事は極めて難しい。いや、これは、もう駄目じゃん」
俺は、溜め息を吐きながらミズーを見つめる。
「待って下さい。駄目かは調べてみますから……」
ミズーは、そう言って俺を見つめる。
「いやーー。無理だよね。だって、レベル99だよ!って事は、俺は一生汚部屋の住人って事でしょ?そのレベルが1減ったって同じなわけじゃん。だから、無理だよ、無理無理」
俺は、左右に手をヒラヒラと振って苦笑いを浮かべた。
「ふざけないで下さい!アーキーに、この国の未来がかかってるんですよ!」
ミズーは、そう言って俺を睨み付けた。
未来とか急に重い荷物背負わさないで欲しいんだよなーー。
俺は、あからさまにドーンって落ちてますと体で表現してみる。
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