提案

「何でしょうか?」


俺は、ソウヤ理事長に尋ねる。


「アーキー君が、もしもスキルを習得すればこの国に色を取り戻せるってのはどうでしょうか?と提案されたんです」


「どういう事ですか?」


俺の言葉に、ソウヤ理事長は手を二回パンパンと叩いた。


「失礼します」


隣の部屋に繋がる場所から、ロボットみたいなのが出てきた。


「何?」


「あーー、これはね。王様の所で使われてるロボットでね。ピーカルンって言うんだよ。この学校のアオーの掃除をしてくれてる。この学校と寮では、アオーは廊下までしか入って来れないんだよ。だから、ピーカルンが掃除してるんだ」


昔のイメージのロボットって感じだよなーー。今は、どっちかっていうと人間の形に近いけど……。


「ピーカルンが、何か関係ありますか?」


俺の言葉にソウヤ理事長は、「関係あるよ」と言ってから手を三回叩いた。


『かしこまりました。理事長』


そう言うとピーカルンは、机をどけて、俺とミズーの前にやってくる。


『では、説明します』


昔ながらのロボットって感じの声だ。ピーカルンは、俺とミズーを見ながら話し出す。


『汚部屋スキルを持っている方は、基本的に別のスキルを覚えられません。体質みたいなものだと思って下さい』


「えっ?ちょっと待ってくれよ」


俺は、ピーカルンを止める。


『止まる事は出来ないので、最後まで聞いて下さい』


そう言われて、俺は黙るしかなかった。


『キレート校長には、策がありました。それを使う事によって、アーキー君はスキルを習得出来ると考えたようでした』


俺とミズーは、頷いている。


『そして、昨日ソウヤ理事長にある提案をされました。それはアーキー君が、スキルを覚えられたら、この国に一つ色を取り戻すこと』


俺とミズーは、顔を見合わせた。


『ソウヤ理事長は、すぐに国王に連絡しました。国王は、ソウヤ理事長のお兄様です』


「えっ?そうなの」


『そうです。そして、連絡の結果。アーキー君が、スキルを一つ習得したら、この国に一つ色を戻す事を承諾してくれました。』


その言葉に、急に肩の荷が重くなった。


『アーキー君は、何もしなくてもいいんです。ただ、スキルを習得してくれればいいんです。とキレート校長がおっしゃっていました』


「で、国王は了承されたという事なのですか?」


ミズーの言葉にピーカルンは頷いた。


『スキル汚部屋のものが、別スキルを覚えるなら!色を一つ戻してやるとおっしゃられました』


「その何色が戻ってくるんでしょうか?」


俺は、手を上げてピーカルンに質問する。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る