スキルの習得

「スキルって習得出来るのか?」


パーンは、俺の言葉にニコニコ笑って頷いている。


「ここでは、スキルは習得するもんなんですよ!ほら、あなたの国では……」


「魔法使いのアニメとか映画の話しか?」


「あー、そうです。そうです。ここも、習いに行くんですよ。行きましょう」


そう言って、パーンは俺を案内してくれる。白い道は、兎に角歩きにくい。


「あっ、そこ石です」


ドテッ……。


「いたたた」


「う○……。踏んでますよ。手で」


「えーー」


白のせいで何もかもがわからない世界。


「手洗いたいんだけど……」


「学校まで、我慢して下さい。気をつけて下さいよ!溝です」


「いたっ」


パーンが言うのが遅いせいで、俺は溝に落ちた。


色がないって、めちゃくちゃ不便じゃねーかよ。


「つきました」


ドンッッーー


「いっっ」


「そっちは、壁ですよ!入口は、こっちですよ」


「あっ、ごめん、ごめん」


白一色って、本当に不便だな。


「トイレ行ってからにしましょう」


そう言って、パーンにトイレに連れて行ってもらった。


「臭いもないんだなーー」


「そうですね。定期的に除菌水が撒かれてますからね」


「何、それ?」


「また、キラキラした目で見るのやめて下さいよ」


パーンは、そう言って俺に怒っているけど……。現世に帰って、除菌水を降らせるなんて事が出来たら億万長者になるではないか……。


「あのーー。夢を膨らませるのは勝手ですが……。そんな魔法はありませんよ」


「えっ?そうなのか、残念だな」


俺は、あからさまにガッカリしてみせた。


「そうですよ。国の偉い人達が開発した技術ですし……。除菌水は、生物が被るのは危険なんです。だから、私も除菌水を撒かれているのは見た事がありません。ただ、除菌水が撒かれてるって知っているだけです……」


「そっかー。そうだよな……。簡単には、わからないよな。そうだよな。簡単にわかったら向こうでも作られてるよなーー」


「そうですね。簡単に真似できたら病気も、クローも、アオーも無害ですね」


パーンは、そう言いながら笑っていた。


俺も、丁度手を洗い終わった。


「行きましょうか!」


「ああ」


俺は、パーンについていく。


どれも全部白い。


どの部屋に誰がいるかこんなんでわかるのかな?


俺が、そう思ってるとパーンは止まった。


「ここです」


そう言って、パーンはコンコンとノックをした。


「誰だ?」


「パーンです」


「おお、入れ」


そう言われて、パーンと一緒に、その部屋に入った。


「失礼します」


「おお、どうした?」


そう言って、真っ白な顎髭を生やしたおじさんが笑っている。



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