検索機

「そんな事より、今は検索機のお話しです」


そんな事よりって……。


パーンは、俺を無視するように検索機を触った。


俺の写真をパーンが押すと……。


画面に色々と文字が現れた。


名前 秋月莉音

年齢 37

婚姻歴なし

職業 無職

国 日本


「凄いなーー」


「そうですよね」


そして、パーンは日本の文字を押した。


すると、日本がどこにあるのかが表示される。


「いち、じゅう、ひゃく、せん、まん……」


「20億光年離れた星らしいです」


「に、20億光年!?」


検索機は、【ざっくり言うと異世界】と表示している。


「いや、ざっくりしすぎだろ?」


「ハハハ、まぁ、そういう事です」


「まあ、いいんだけどさ。さっきから、俺の話をそれで調べてたって事だよな」


「はい、そうです」


「それって、何処かでもらえんの?」


異世界だから、タダとか?いや、持ってたりするとか?


俺の問いかけにパーンは、冷ややかな目で見つめている。


「何だよ」


「これは、掃除スキルを7つ以上持ってないと貰えません」


そう言って、パーンは頷いている。


「待てよ!その掃除スキルって、普通は何個持ってるんだ?」


「生まれつき持っているスキルは、だいたい皆さん3つから5つです。大人になっていくにつれて、どんどん増えていきますね」


「多い人で、どれくらい持ってるんだ?」


「そうですね。多い人は、200以上持ってます」


「に、200ってすごいなーー」


俺は、そう言いながらパーンを見つめる。要するに、検索機を所持していない俺の掃除スキルは7つ以下なのがわかる。


「なあーー。パーン」


「はい、何でしょうか?」


「俺のスキルって、どうやって調べるんだ?」


俺は、そう言ってパーンに尋ねた。


「それはですね。だいたい、ここを触れば出てきませんかね?」


そう言って、パーンは俺の左手を触る。


「出ないけど……」


「ちょっと待って下さいね」


そう言って、パーンは検索機で、また何かを調べ始める。


「あー、はいはい。そうですかーー」


「何?」


「あっ、異世界の人はどうやら腕じゃないらしいです」


そう言って、パーンは俺におでこを軽く叩いてみるようにとジェスチャーする。


俺は、パーンの真似をしておでこを右手の人差し指でトントンと叩いてみた。


「あー、出ました」


そう言って、画面のような物が現れた。


【スキル 汚部屋】


「えっ?」


「えっ?」


俺とパーンは、二人で顔を見合わせて固まっていた。


パーンは、検索機で何かを調べ始める。


「あのさー、パーン」


「はい」


「これは?」


「ちょっと待って下さいね」


そう言って、パーンは必死に検索機を見つめている。

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