アオーの話

「あっ、魔物という言い方はおかしいですよね」


「いや、魔物でいいよ」


俺の言葉にパーンは、笑っている。で、またポシェットから何かを取り出した。


「何?」


「これが、アオーです」


そう言われて、見ると青色ってよりも、もっと何か鉄色の入ったような色をしてる。


「まさか、毎日降らないよな」


「残念ながら、毎日降るんです。だいたい、明け方と……。夜の10時頃から一時間程ですね。アオーがやむと一斉に拭き掃除をしなさいというアナウンスが流れて、掃除をして眠るんです。朝は、必ず朝食の前にアオーを拭き取ってから朝御飯を食べるんです」


「へーー。何で?」


俺の疑問にパーンは、ポシェットにアオー閉まってから俺を見つめる。


「アオーをうっかり飲み込んでしまうと身体に侵食されてしまうんです」


「身体が青色になるとか?」


冗談っぽく笑って言った俺をパーンは、真剣な顔で見つめる。


「よくわかりましたね。そうなんです。アオーが侵食すると身体が青色になるんですよ」


「じゃあ、死ぬのか?」


「いえ、死にません。アオーは、最終的に脳を支配します」


「支配されたらどうなるんだ?」


「黒王国の監獄に送られます」


パーンは、そう言いながら悲しそうな顔をしている。


「逮捕されるのか?」


「アオーに侵食された脳は、精神を保てませんから……。なので、監獄に閉じ込めておくしか出来ないのです。隣の黒王国は、基本的にこっちとは違いますからね」


「汚いって事か?」


「いやいや、違いますよ!あっちは……」


そう言って、パーンはポケットから何かを取り出した。


「あー、えーと、あなたの世界の警察や弁護士とかですかねー」


「あのさー、さっきからそれ何?」


俺の言葉に、パーンはそれを見せてくれる。


「これは、あなたの世界だとスマホって呼ばれてるみたいですね。検索機です」


そう言って、パーンはスマホみたいな形のそれを見せてくれる。


「検索機って何をするの?」


「例えば、こんな風にするんです」


そう言って、パーンは検索機を見せてくれる。調べるってのをパーンが押すとどの世界を調べますかと出てくる。そして、パーンは俺の顔写真を押した。


「ってか!これいつ撮ったんだよ」


「あー、眠ってる間にですよ。この国では、不審者を見つけたら必ず写真を撮るように教えられています」


そう言って、パーンはニコニコ笑いながら俺を見つめている。


不審者……。


不審者…………。


不審者………………。


「あのー、そんなに落ち込まないで下さい。今は、不審者じゃありませんから」


そう言いながら、パーンは嬉しそうにニコニコ笑っている。


そんな問題なのか?

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