第14話

その後も時々、千歳が手術の不安から、情緒不安定になることがあった。

 でも、その度に、宙斗が千歳を勇気付けた。


『ついに、明日だな。俺、明日は学校休んで、ずっと病院にいるから。……俺が付いてる! だから、絶対に大丈夫だ!  宙斗』


 千歳が手術室に入る直前、二人は微笑み合っていた。


『『絶対に大丈夫!』』




 四月。

 僕の周りは、お花見をする人々で混んでいた。

 その中に、恋人の様に寄り添う二人がいた。


「ねえ、宙斗。来年もここで桜が見れるかな……」

「見れるさ。だって、千歳はもう元気になったんだから」

「……来年も再来年も、その先もずっと、毎年この桜を見に来ようね、約束だよ」

「ああ、約束だ」




 


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