第13話

暑さが完全に消えた十一月頃。


『こんにちは。少し寒くなってきたね。……今日は宙斗に知ってもらいたい事があるんだ。……私、手術することになったんだ。桂先生が言うには、上手く行けば、そのまま退院出来るんだって。……手術は来年の二月。上手く行って、退院ができるのが四月なんだって。……もしかしたら、一緒にお花見が出来るかもね! ……じゃあ、バイバイ。  千歳』


『良かったな! 俺もすごく嬉しいぜ! 絶対に退院しような!  宙斗』


『ねえ、宙斗。もし、手術に失敗したら、どうなるのかな? 私、死んじゃうのかな? 今日、桂先生にそう聞いたら、成功させるから大丈夫だよって言われた。……でも、私はすごく怖いんだ。だって、死んじゃったら、私はもう消えちゃうんだよ! 宙斗達にも、もう二度と会えなくなっちゃうんだよ! ……何か、手術するのが怖くなってきた。  千歳』

 

 人は死んだら、どうなるのだろう?

 僕も、その答えは知らない。

 僕も、いつか死んでしまうのかな?

 そう思うと、死がとても怖いものに感じた。


『バッカヤローッ!! 死ぬことなんて、考えてんじゃねえ! 千歳は絶対に生きる! 退院して、一緒にお花見をするんだよ! 絶対に大丈夫だから、心配すんな! ……じゃあな。  宙斗』


『ありがとう、宙斗。……ちょっと、勇気出た。……私、宙斗に約束する。……あの桜の咲く四月に、二人でお花見をしよう。……約束が守れるように、手術、頑張るから。……バイバイ。  千歳』

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