第5話 ?
しょっぴんぐせんたーノ外ニ出ルト、モウスッカリ真ッ暗ニナッテイタ。コノ場合ノ「真ッ暗」トイウノハ、何モ見エナイトイウ状態ヲ意味シナイ。ソレナノニ、「暗イ」トイウ言葉ヲ「真」トイウ性質ヲ強メル言葉デ飾ッテイル。周囲ニハ街灯ガ建ッテイルカラ、充分ニ明カリガ確保サレテイルトイエル。ソレニ、今ハコノ辺リ一帯ガ電飾デ飾ラレテイル時期デ、イツモ以上ニ明ルイ状態ニアッタ。
「小説ヲ読ム時間ガナクナッテシマッタ」歩キナガラりぃるガ呟イタ。彼女ハイチイチ挙動ガ大袈裟ナノデ、純粋ニ呟クトイウ行為ヲシテイルト判断デキルコトハホトンドナイ。
「少シハ読メルンジャナイ?」
「少シダケジャ嫌ダ。集中シテ一気ニ読マナイト、物語ノ世界ニ入リ込メナイ」
「入リ込マナイト駄目ナノ?」
「作者ニ失礼」
「作者ハソンナコト気ニシナイヨ」僕ハ笑ッタ。「少ナクトモ、僕ダッタラ気ニシナイ」
「君ガ変ナンダヨ」
「マア、統計的ニハソウカモシレナイ」
「何、統計ッテ」
「人生経験」
「印象?」
「印象的ナ統計」
横断歩道ヲ渡ッテ反対側ノ歩道ヲ歩ク。コチラマデ来ルト、モウ歩イテイル人ハ疎ラダッタ。自動車モアマリ走ッテイナイ。表現ヲ夕方カラ夜ニ変エテモ問題ハナサソウダ。
歩キナガラ、僕ハ先ホド本屋デ見タ本ノコトヲ考エテイタ。結局、僕ハソノ本ヲ買ワナカッタ。ドウシテカハ分カラナイ。目ニシタトイウ事象ソノモノニすぺしゃるナ何カヲ感ジタダケデ、実際ニ所有スル必要ハナイト判断シタカラカモシレナイ。基本的ニ、僕ハアマリ物ヲ欲サナイ。物ヲ沢山持ッテイルト、ソレダケデ不幸ニナルヨウナ気ガスル。自動車ヤ家ニハ税金ガカカルコトカラノ連想ダロウカ。
アノ本ハ、アノ一ツダケアッテ、ホカニ類型ハ一ツモナカッタ。書棚ニ並ンデイル本ダッタラ特別ナコトデハナイカモシレナイガ、ソノ本ハ縦ニ積マレタびる群ノ一画ニ置カレテイタ。ホカノスベテガ売レテシマイ、タマタマ一冊ダケ残ッタトイウ可能性モ考エラレナクハナイガ、ドウモソウイウワケデハナサソウダッタ。ソノ本ハ、マッタク別ノ本ニヨッテ形成サレタびるノ上ニ置カレテイタカラダ。
誰カガ置キ忘レタモノデハナイカ、トイウ気ガシタ。
ソレガ僕ノ目ニ留マッタ。
落トシ物ヲ拾ッタヨウナ気分ダ。
ドウシテ、ソノ落トシ物ヲ拾ッタノダガ僕ダッタノダロウ?
ソノ事象ガ起コル可能性ハ、イッタイドノ程度ノモノナノカ?
アノ本ハ、マダアノ場所ニ残リ続ケテイル。誰カれじマデ持ッテ行ク客ガイルダロウカ。ソレトモ、客ヨリモ先ニ店員ガ気ヅイテ、何ラカノ処理ヲ施スダロウカ。
「アノ本ハネ、私ガアソコニ置イタンダ」
唐突ニりぃるガ呟イタ。
「エ!?」
「君ガ歩イテクル経路ヲ予測シテ、一番遭遇シヤスソウナ所ニ置イテオイタ」
僕ハ立チ止マッテ、彼女ノ後ロ姿ヲ見ツメル。
僕ガ歩クノヲヤメタノニ気ヅイテ、りぃるハコチラヲ振リ返ッタ。
「ナゼ?」僕ハ尋ネル。
「何ガ?」
「ドウイウツモリ?」
「ウーン、ドウイウツモリダト思ウ?」りぃるハ文末ヲ極端ニ上ゲテ質問スル。
「分カラナイ。完全ニオ手上ゲダ」
「ヘエ。ソレハケッコウ」
「何ガケッコウナワケ?」
「君ノ慌テップリ」
「納得デキナイナ」
「ソウデシタカ」
「説明シテクレナイト」
「焦ラナイ焦ラナイ」りぃるハ傍マデヤッテ来テ、腕ヲ伸バシテ僕ノ手ヲ掴ム。「マ、歩キナガラ話ソウジャナイカ」
話ソウジャナイカト言ッタノニ、彼女ハ家ニ着クマデ口ヲ利カナカッタ。僕ノ方カラモ彼女ニハ話シカケナカッタ。考エルコトデ精一杯ダッタカラダ。行キハばすデ通ッタ道ヲ、帰リハ歩イテ戻ッテイク。ソレホド時間ガカカル距離デハナカッタ。
「アノ本ハ私ノオ手製ナンダ」
家ニ到着シ、玄関ノ中ニ入ッテ、りぃるガ言ッタ。
「何ガ目的ナノ?」僕ハ尋ネル。
「別ニ、何モ」
「ソンナハズハナイ」
「デモ、本当ダヨ」首ニ巻イテアルまふらーヲ解キ、りぃるハコチラヲ見ル。「アレネ、中身ガ空ッポナンダ。箱ミタイナ形状ニナッテイテ、ぺーじハホトンドナイ。最初ノ数ぺーじダケ用意シタ」
りぃるハ靴ヲ脱イデふろあニ上ガル。
「ソレデ?」
「ソレダケ」
僕ハ小サク首ヲ振ル。
「マッタクモッテ分カラナイ」
「分カラナイダロウナア」りぃるハ数回ソノ場デ軽クじゃんぷスル。「デモ、面白カッタヨ。君ノ焦ッタ顔ガ見ラレテ。久シ振リニドキドキシタ」
洗面所デ手ヲ洗ッテ、僕トりぃるハ買ッテキタ夕食ヲ食ベタ。僕ハおむらいす、りぃるハかれーらいすダッタ。如何ニモ子ドモッポイゴ飯トイウ感ジガスルガ、別ニ大人ニ憧レテイルワケデハナイノデ、構ワナイ。
「たいとるモ著者モ書カレテイナイ。ソレドコロカ、本文モ何モ書カレテイナイ」かれーらいすヲすぷーんデ掬ッテ、りぃるガ話シタ。「ソレデ、本当ニ本ッテイエルノカナ?」
「ナンダ。ソンナコトヲ言イタカッタノ?」
「今、思イツイタダケ」彼女ハ小サク首ヲ傾ゲル。「ソコマデ高尚ナ計算ハ、私ニハ無理」
僕ハ黙ッテおむらいすヲ食ベル。
りぃるモ黙ッテかれーらいすヲ口ニ含ンダ。
アノ本ヲアノ場所ニ置イタノハ僕ダ。
りぃるハ嘘ヲ吐イテイル。
本当ノコトハ、僕ダケガ知ッテイル。
ソレハ、イツダッテソウ。
述ベテイナイダケダ。
述ベテイナイ部分ハホカニモアル。
シカシ、読ミ手ハ、普通、書キ手ヨリモ物語ヲ作リ出スノガ上手イカラ、ソレデ良イ。
無題のテキスト 羽上帆樽 @hotaruhanoue0908
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます