第3話 店主達と子供達 シトラスお嬢様
アストリア王国では1年を星、火、水、木、金、土、日、氷、雷、風、光、闇の12つに分けられている。1つの月についている日は30日あり、それを過ぎれば次の月になるように学ぶ。他の国では違う学び方をするが、王国の覚え方が1番覚えやすいとか何とか。
「おーアルト!元気だったか?今日は野菜が美味いぞ!」
「おはようおっちゃん!お金節約しないといけないからリンゴ1個だけくれ。」
「1個だけだぁ?そんなひょろひょろな体のくせに節約してんじゃねえよ!1個オマケにしてやる。これでも食って、体鍛えてこい!」
「そいつはどーも。このお礼は必ずする。」
「前に助けてもらったお礼だ。気にするな。」
そんな毎日を過ごしているアルトだが、8日のうち1回だけ、休みが取れる様になっている。
その日は自分が生き残る為に街に買い物しに行き、沢山の食料や、破れた服を直す糸を買いに出かけている。
お店の人や困っている人達を助けたり、助けあったりしているアルトは、この街では、知らない人がいない程人気の存在だった。いつもの買い物にオマケが着くほどにはアルトは人気だった。
「おーい、アルト!」
「どうした、服屋のおばちゃん。」
「少し、服を仕入れすぎてのう。」
そういった服屋のおばちゃんの後ろには沢山の籠に山積みになった服があり、これをおばちゃん1人で運ぶのは無理があると言える量だった。
「この沢山の荷物を運びたいんじゃが、いかんせん量が多いんじゃ。服屋まで運ぶのを手伝ってくれないかのう?」
「了解、任せてよ!」
「いつもすまんねぇ、アルト。」
「……だったら、量を減らして欲しいけどね。」
「……ハッハッハッ」
これがおばちゃんとの何時もの会話であり、2人とも、分かっていての会話だった。
「アルト、お前は大丈夫なのかい?使用人としてなんだろう?」
「……気にすんなよおばちゃん。おばちゃんは長生きする事だけ考えればいいんだよ。」
いつもとは違う会話もあったが。
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「アルトお兄ちゃんだ!」
「アルト兄ちゃん!」
「アル兄!」
「お、ガキどもじゃねえか、あとお前!アル兄はやめろ、ただの酔っ払いじゃねえか!?」
広場でのんびりしながら二つ目のリンゴをかじっていると三人の子供達がやってきた。
サンニンノコドモガアラワレタ!
サンニンノコドモタチハアソンデホシソウニコチラヲミテイル!
コドモタチトアソビマスカ?
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アルトは広場の子供達と別れ、肉屋の主人とアルトは話していた。
「アルトはあそこの子爵領主の子供の使用人なんだろ?あそこの噂はいい事聞かないけどよ、お前、大丈夫なのか?」
この街を統治している子爵家はいい噂を聞かない。
他の領地と比べて、税が高く、他にも変な税金がかけられたりとしている。その中でも飛び抜け1番ヤバい内容は違法な道具を作り、他の国に売り込んでいるとか。皆自分の事でいっぱいいっぱいなのにわざわざ店主はコチラの心配をしている。その事に嬉しく思いながら返事をする。
「心配する事は無いです。確かに少し待遇は悪いけど、心配する程じゃないよ。」
「……お前が森で生活している事をこの街皆が知っている。兵士の人が教えてくれた。」
「…………」
ばらしやがったな?あの兵士、今度ご飯とついでに文句言ってやる……体のキズについてバレてないのは良かったほうか……こればかりは親にバレない様に殴ってきたクズ達に感謝だな。
「大丈夫ですよ。これぐらいの事は「大丈夫じゃない!」……!?」
強く反論してくる店主、その圧に言葉が止まる。
「アルト。今すぐとは言わない、使用人の仕事を辞めるんだ。その様子だとお前、余程酷い目にあってるんだろ?仕事だったら俺が出してやる、部屋もやる!俺の娘がお前に会いたがってた!アルトお兄ちゃんと遊びたいって……娘だけじゃない。この街の人達は、お前が大事なんだ!だから……」
「………………」
ここは人通りのある場所であり今も人買い物賑わっている。そんな中あるお店の前で叫ぶ、いい歳とったおじさん…………目立つったらありゃしない。人が沢山コッチを見てる……は、恥ずかしい!
「心配ありがとうそれじゃこれで怪我はおってないから娘さんにはまた次に!」
「あっおい!待て、アルト!」
悪いなオッサン、もう辞めれないんだわ。
後ろから怒鳴り声が聞こえてくるが、それを無視して森に帰るのだった。
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クズしかいないロキ達がいる子爵家にも、自分の事を兄のように接してくれる子がいる。
「アルトお兄様!」
「シトリスお嬢様。」
闇の月25日いつものようにクズ《ロキ》に木剣で殴られたアルトがいつものように庭を片付けているとクズの妹であるシトラスお嬢様が出てきた。他の使用人の話をこっそりと聞いた話によると、シトラスお嬢様は文武両道で常にトップを取っているらしい、それを聞いた時には少し誇らしい気持ちになった。別にお嬢様の兄でも無いけど。……クズについて教えろ?下の中だよ。
「お兄様、一緒に遊びましょう!」
「お嬢様、ダメですよ、今の時間はダンスのお勉強では?」
「先生と親から許可を貰っています。早めに終わらしました。」
貴族の人達はパーティの際にダンスをするらしい。
自分は平民だから詳しくは知らないけど。貴族の間では遊びの1種とか何とか。で、それを早めに終わらせることができるほど優秀、と。こんな人にお兄様と言ってくれるなんて…今日のキズが癒える気がする。
「そっかーシトラスお嬢様は凄いですね。」
ナデナデナデナデ
「えへへ、もっと撫でてください!」
少しの間アルトはシトラスお嬢様の頭を撫でて戯れるのだった。
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