第18話 攻略対象の豹変(王子)
なるべく平和的に穏便にクリスティーン・ジョゼフィン・バックランド公爵令嬢様とお話ししなくてはならない!
しかしかかし!絶世の美女かと言う容姿を持ち加えて公爵令嬢という立場から彼女の周囲はいつも取り巻きとか王子とかが群がっていて中々近寄れない!
言うなれば彼女は前世で言うところのリア充グループの中心人物だ!私なんかが話しかけて良い存在ではない。貴族社会においてもだ。
しかし怪我をしてしまった事についてを聞きたい。何とか二人きりになれるチャンスは無いものか?しかし隙がない!!
そうこうしてると放課後になり、ヘクター君が事情を聞いて協力してくれることになった。
「僕なら自然に近寄れるかもしれません。何せ影が薄いですから。いつもあまり人に顔とか覚えられないので最適です!」
た思わぬ欠点を告げてきた。
私は
「そんなことないよ?ヘクター君の顔は私覚えてるよ?わすれたりしないからね!」
と言うとヘクター君は嬉しそうに笑い
「あ、はい!ありがとうございます!ミキャエラ様は図書室で待っていてくれますか?直ぐに呼んできます!」
と言うと少しだけギュッとハグして照れ臭そうに走っていった。
私はニコニコしながら図書館に向かう。
図書館は静かで人も少ない。
とりあえず何か本でも読んで待っているかなと思った。どうせならロマンス小説かな。
てかそれしか前世オタクの私には楽しみがない。ロマンス小説コーナーに早速立ち入ると……奥の方に人がいる。やはり人気なのかと思ってよく見るとそれは男子生徒でキラキラした美形男子で……私は一瞬青ざめた!!
げぇっ!!あのシルエット!佇まい!!
まさかの攻略対象の氷の王子様ウォーレン・クライド・マシュー・タルボット様だ!!
前回転んだ時に私を汚物扱いしやがった野郎だ!!氷の王子だが何だか知らんが婚約者には甘々で許せん奴で会いたくなかった!!
とりあえず見なかった事にしてささっと私は他の棚に移動した。仕方ないから歴史のコーナーに来た。
適当な本を漁っていると綺麗な装飾の本が目に止まる。これでも読むかーと手を伸ばすとドラマか漫画みたいな現象が起きた!
誰かが私が本を取ろうとした時に同じ本を偶然取ろうとして手が重なるってシチュエーションだ!!
長い指がソッと触れてビクっとして見るとああ、やはり美しい金髪碧眼の王子様が間近にいて私を見て固まった。
ま、まずい!例の謎のヒロイン魅了フェロモンが出る前にさっさと離れないと!!
私はバッと手を外し何も言わずにペコリと頭を下げてくるりとその場を去ろうとした!!
しかし!
ガシッと腕を掴まれた!
ぎゃーーー!またこのパターン!!
「待ってくれ…この本が読みたいんだろう?先に取ろうとしたのは君だ…譲ろう!」
と本を渡された。
仕方ない。相手は一応王族だしお前が読めよとも言えず素直に受け取りお礼を言った。
「あ、ありがとうございます…王子様」
と一礼しまた去ろうとすると
「待ってくれ!!」
とまた呼び止められた!!
そして何故かグイと本棚に押し付けられ壁ドン体制に!!ぎあーーー!!
物凄い美形王子に壁ドンされ流石の私もクラクラしたきた。王子酔いか。
「…な、何ですか?御用でも?」
と言うと王子はもうクールな顔を少し崩して
「髪にゴミがついてるよ」
と何故か何も付いてないのに私の髪を救い上げて極上の笑みを浮かべた!!
どうしよう、もはやこれはイベントスチルのような場面だ!非常にまずいぞ!!
と思ってたら…王子は
「君の名前はなんと言うんだい?ここへよく来るのかい?勉強熱心なんだね。歴史に興味があるのかい?私もだよ。良かったら一緒に勉強しないか?」
とベラベラまくしたてどこが氷の王子かと思うくらい普通にナンパしてきた!!
ええー!?クリスティーン様とラブラブだったでしょうお前王子!!
「あ、あの…で、でも…」
どうしよう断ったら不敬罪!?これでも王子だぞ?
迷ってるとコツンと指先で頭を触られ
「ふふ、遠慮しないで。さぁ、あっちに席が空いている」
と手を掴まれ席に移動させられみっちり隣に座ってきた!!うわぁーーー!不味いいいいい!!
何故か本でなくて私の方をジッと見ているし!!何だこいつほんと!!本見て!?
しかも何気なく手を触り
「なんて綺麗な指だ」
と見ている。おい、辞めてくれ。
「王子…失礼ながら…以前王子は私を汚物だとおっしゃだたことがあるんですよ?それに王子にはあんな美人で綺麗な婚約者様がいるではないですか。このようなことお辞めください」
と言って見るとクスクス笑いだし王子はついにチュッと音を立て指先にキスしてきた!!
ひいいいい!!
「初対面なのに変なことを言う子だね。とても興味が出たよ。あれは親が決めた婚約者。子供の頃から周囲には仲良く見せていただけさ。王族の婚約なんてそんなものさ。クリスティーンには特に何も感じないよ。お芝居だからね」
と言った。確かそんなことゲームでもあった気がするけど…それじゃクリスティーン様にあんまりだろうこの浮気王子が!!
「いえ、クリスティーン様は王子のことを思っていますわ!私はしがない男爵令嬢ですし私にも婚約者はおりますので困ります!」
とハッキリと言うと王子は
「クリスティーンか。あいつは魔性の女なんだ。男を惑わすのが本性なんだよ。私はあいつにいつも気があるフリをして勘違いさせているのさ。クリスティーンは僕を裏切っている。あの容姿を逆手に男共と遊んでいるのを知っている。…まぁ、よくあることさ。
あいつの話より君の事を聞かせてくれないか?」
と耳元で甘く囁かれぎえっ、となる!
さすが王子だ!!
私は席をガタンと移動すると直ぐ様王子も隣についてきた!完全にロックオン!!
やはりヒロインの魅了フェロモンが出ているのか?
そこへ…ヘクター君とクリスティーン公爵令嬢がやってきた。この場を見られて私は滝汗だ。
クリスティーン様が
「あなたが私に用があるとおっしゃられた方?私の婚約者と何をなさっているのです?ウォーレン様もどう言うことかしら?」
と明らかな修羅場になってきた!!
助けてと視線をヘクター君に移すとからも少し怒っていてプクーと膨れてフイっと横を向いた。ぎゃっ!可愛い!
しかしまだ王子が私の手を握っていたのを思い出しバッと手を払い離れた。
「ち、違うのです!これは!私クリスティーン様とお話しがしたくて!!」
「話?あら…もしかして私のウォーレン様と仲良くやっているというお話かしら?信じられませんわ!婚約者の私に見せつけるとは!下位貴族の娘のくせに図々しくてよ!」
と懐から扇子を突き出すクリスティーン様!
「クリスティーン…。君…自分が浮気をしておいてよくそのような事を言えるね?僕が君がしている事を知らないとでも思っているのかい?その容姿を活かして何人もの男子生徒をこき使いたらし込んでいるだろう?」
「なっ!わ、私の一番はウォーレン様ですわ!!」
と焦るクリスティーン様に王子は
「君…君の従者とも浮気をしているだろう?この前物陰でキスをしているところを見たよ。とんだ悪女だ。僕と言うものがありながらそう言う事を隠れてしているなんて幻滅だね!僕は夢を見ていたに過ぎない!
彼女と会えて良かった!彼女は見るからに澄み切った顔をしている!」
おっとーー!ここで私を巻き込まないでー!しかも今にも婚約破棄されそうな美女の顔が歪んできた!!
ヘクター君助けてええええ!
すると彼はやれやれと言う顔でようやく
「お二人とも落ち着いて下さい!彼女は僕の婚約者です!」
と言うと二人とも目を丸くした。
王子が
「可哀想に…僕らみたいに親同士に勝手に決められたのか…」
と勝手に勘違いしている!
「違います!!僕とミキャエラ様は両想いですよ!ねっ!」
とふられ
「は、はい!勿論です!私とヘクター君は両想いでございます!!ですから王子様…私の事はどうか諦めて…」
と言うと
「そんな事はないよ。きっと彼に洗脳でもされているんだろう。クリスティーンとは婚約破棄するから僕のお姫様になってくれないか?」
と王子に腰を引き寄せられチュッと頰にキスされた!!
何してんのこのセクハラ王子!!
ヘクター君も流石に青筋が出ているし、クリスティーン様はもはや般若みたいになってる!!
クリスティーン様は怒りで我を忘れヘクター君に抱きついた!
今度は私の額に青筋が立った。
「ふん!ウォーレン様がそう言うおつもりなら私もお望みの浮気をさせていただきますわ!!ねぇ!可愛いバンビ君!」
とヘクター君に自分の豊満な胸を押し付け誘惑している!!
ぎゃーーー!
「そう言うつもりとは?君が先に僕を裏切っている!君に言われたくはないね!!」
と王子も私を胸に掻き抱く。
ヘクター君はパッとクリスティーン様から離れてパッと私を王子から奪い返すと…
「お二人で一度じっくりお話しされた方がよろしいかと思います!!」
とダーっと私を連れ図書館を出た!!
王子が私に魅了されたのはわかったがクリスティーン様も浮気しまくってたなんてどう言う事?
そもそも私、本来怪我の事聞こうと思ってたのにー!何で修羅場に!
するとヘクター君がベンチを指差してそこへ座る。先程から何も喋ってないけど明らかに怒っている。
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