第8話 剣の師匠とデブイン!
私は強いデブとして生きて行こうと決めた!
何より弱かったら話にならない!
生徒会長の罰のトイレ掃除で鍛えた足腰や体力でしっかり剣を習えば剣術大会でも優勝できる。いや、ヘクター君を救う為にやるんだ!
そんなわけでまず、嫌だけどルイス君に頼み込む事にした。
夕食後に部屋をノックするとお風呂から上がったばかりのまだ濡れた髪をした少し色気あるルイス君が出てきたが私を見てバンと扉を閉めた!!
「お、お義兄さま!?」
と戸惑うと
「何だデブ!風呂上りにお前の顔なんか見たくもない!ああ!折角気持ちよく風呂に入り一息ついていたのに…一気に不快なものが視界に!!」
とルイス君は相変わらず毒舌だった。
「お話があるのでお部屋に入れてもらえませんか?」
と声をかけてみるとガチャリと鍵を中から回された!!
「絶対お前なんかをこの俺の神聖な部屋に入れるか!汗臭くなるだろうが!このデブめ!」
と言われた!!酷っ!!
何回も言うけどほんと酷っ!!
「で、ではここで…あの…お義兄さまの剣の師匠様のダライアス・アータートン先生に私も剣の稽古をつけていただきたいのです!剣術大会に出て優勝して賞金をヘクター君に上げたいのです!」
と言うとガチャリと扉が開いて
「お前が?剣術大会に出るだと!?アホか!!女が大会に出るなんぞ前代未聞だ!!うちの恥になる!辞めろ!」
「ではお義兄様が優勝してくださるのですか!?」
と言うとルイス君は
「はぁ?何で俺がお前のために剣術大会に出なくてはならないんだ!?ふざけるなデブ!
それに師匠だって女と剣を交えるなんてあるわけないだろ?あの人は凄腕の剣士様だったんだ!」
とルイス君は言う。
「俺ですらまともに見てやくれないのにお前なんかがやすやすと訓練できると思うな!」
「どういうことです?」
「知らん!とにかく訓練前に重い石を運んだり雑草を抜かせられたり剣とは関係ないことばかりで一向に剣を教えてくれないから俺は飽きて自分で剣を降るようになった」
と言った!!
何それ!?何しに来てんだあ!その師匠!!
き、給料ドロボーじゃん!!
「よくわからんけど素質のあるやつしか見ないとか教えないとか言い出して…更にお父様達に言ったら斬り殺される」
とルイス君はちょっと青くなった。
そりゃあサボりたくもなる!!
「ともかく私その師匠様とお話したいです」
「お前みたいなデブが頼み込んだ所で無駄なんだよ!!」
と笑われた後鼻をつまみ
「うっ!くさっ!」
バン!
と扉を閉められた。
「さっさと寝ろ!!いつまでも部屋の前にいるんじゃない!」
「でも…私どうしても…」
「寝ろって言ってるだろ!!そんなに言うなら師匠に話してやる!お前なんか相手にもされないだろうがな!!」
と言ったので
「ありがとうございます!お義兄さま!!お休みなさいませ!!」
とルンルンで自室に戻った。
*
数日後にルイス君の師匠のアータートン先生がやってきた。頭はハゲており口髭があり険しい顔をしている。
「アータートン先生!よろしくお願いします!」
と一応ルイス君は挨拶した。
そして私の方を鬱陶しげに見た。
私は動きやすいシャツとズボンを履いておよそ令嬢感ゼロだ。しかもお腹がポヨポヨしている。
「ルイス様…。義妹様を呼びどう言うつもりです?子供のお遊びで俺はここに来ているわけでもないのです!それにご自身の鍛錬はサボられるし!」
「いや、そ、それはこの愚昧が剣術大会で優勝したいとか言い出したから…」
と責任転嫁される私。
「剣術大会!?お嬢様が出場なさると?何故?」
「お金目当てですよ。最近でした平民との結婚資金にという不純な動機ですよ!」
と嫌味たらしくルイス君は言う。
「……わ、私はただ強くなりたいと思って…」
と言うとアータートン先生はブワリと目から水を吐いた。
「わっ!?先生!?」
ズビズビ言いながら私の肩を掴んだ。
「ミキャエラ様はやる気がおありのようだ!鍛甲斐がありそうです!ルイス様よりよほど上達するかもしれませんな!!」
と焚きつけられルイス君は私を睨んだ!
「俺が愚昧に劣るとでも!?」
「真剣に剣術を覚えない貴方が言える事ですか?」
とアータートン先生に言われるルイス君。
「あれは!剣術ではないじゃないですか!重たい石を運んで何になるのですか!?強靭な肉体など俺は望んでない!ただ剣が上達すればいいのに貴方は余計なことばかりで剣も握らせてくれない!!」
「馬鹿が!石を運ぶのは剣の重さの問題だ!お前は将来自分の剣を持つ事にるだろうがその時に重くて持てませんでしたってなってみろ!あんなのは基礎の基礎だ!そらすらも投げ出すとはな!俺は今日でお役御免かと思い、師を断ろうと思ってきたが義妹様の方が見込みがある!」
と言われて嬉しい。
「くっ!何だと!?それは勘違いだ!俺がこのデブに負けるわけがない!!」
「義妹様に勝ちたかったら基礎からやり直して下さいね!」
と言われルイス君はぐわっ!とやる気になった!
「いやあ、お嬢様助かったよ。坊ちゃんのやる気が無くて困っていたんだ。正直解雇されても面倒だしね。いい火付け役に来てくれたんだね?」
と言われたので
「あの、違います。私は本気で優勝を狙っていますから教えて欲しいんですけど?お義兄さまの火付け役とかじゃありませんから。勝手に熱くなられておりますけど、それはそれ、これはこれですわ」
と言うとキョトンしてアータートン先生は豪快に笑い背中をバシンと叩き
「いだっ!!」
と声をあげると
「それはいい!ならば君も基礎からだ!」
と石を運ばせたが足腰が強くなった私は軽々とルイス君を抜いてきたのでルイス君は
「こいつズルしてる!」
とか言いがかりをつけながらも必死になり石を運んだ。可哀想になり少しだけ私は手を抜いて一回だけルイス君を勝たせてやったら
「どうだデブ!お前より俺のが優れている!ゼェゼェ!」
と汗をかきながら言う。
私とアータートン先生はもはや半目であり先生も実力差を流石にわかったのか本格的に私に訓練をつけてくれることになった!!
初めて私が練習用の剣を渡された時ズシッときたが確かに石を運ぶのも無駄じゃなかった。
ルイス君なんてブルブル震えている。もはややめておけと言いたくなる。
それからルイス君との打ち合いではルイス君は簡単に剣を弾き飛ばすので練習にならない。先生とやった方がまだマシであった。
「腕が痛い!デブめ!筋肉ゴリラと化したか!」
とか言われ始め今度はもう学校でもデブゴリラとか噂されますます私に近寄る人は減った。
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