第4話 医務室の先生とデブイン!

攻略対象二人に早くも虫けら扱いされた私はもはや気力が落ちていた。腕も膝も痛いし。

警備員達腕強く引っ張りすぎだよ!

いくら嫌そうな仕事任せられたからってこっちは一応女の子だし男爵家とは言え一応は令嬢なのよ?養女だけど!しかも痩せてたら可愛いヒロインよ?


頭の中で散々文句を言いつつも

医務室に行くと攻略対象の一人がいた。


デイモン・ジョザイア・クレイ先生である。

目元に色気ボクロが有り、白髪長髪を一纏めにしている。

銀の瞳のイケメン先生だが生徒とか美少女に手を出すことで有名な設定の人で私はあんまり好きじゃない。でもヒロインは確か入学初日から手を出されちゃうわけなのよねーー!きゃー!

と若干前世全く男の人から無視されていた私は期待した。とりあえずこんなチャラ男先生でも顔がいいのだから流石乙女ゲームよね!


しかし私が運ばれてきたのを見て先生は


「チッ」

と舌打ちした。


!!?

え?聞き間違いかな?

今までの待遇が過り不吉な予感しかしなかった。


なんか普通の椅子より更に壊れかけの椅子に腰掛けさせられ治療の道具箱を持ってきて薬の説明を始めた。


「これが傷薬ね?こっちは包帯。まぁ大した怪我でもないから唾つけとけば治るから!じゃ私は朝の先生会議に出席するから!自分で手当して入学式に出なさい!」

と言われてショックを隠せない。


「あ、あの…先生が手当てしてくれるんじゃ!?」

恐る恐る聞いたが笑われた。


「ふふふ、ごめんね?女生徒は可愛い子しか触りたくないんだよね!君お風呂入ってる?」

と笑われて早々に去られてしまった。


医務室の中にいるのは私一人であった……。

え?出会いイベントの会話…これだけ?


もはや何も考えられなくなった。

ここは本当に乙女ゲーム?

私はヒロイン?


医務室にも鏡がありそこにはやはり見苦しいデブがいた。近寄り頭を打ってみた!

何度もガンガンしてると割れてガラスの破片が頭にささり少し血が出てきた!!

我に帰りまた自分でのろのろと手当てした。


「鏡割らなきゃ良かった…。手当てするのに鏡いるわ…」

何とか包帯がまけた。

結局足と頭にも包帯を巻くことになり情けなくて仕方ない。


「あーあ…入学式サボろうかな?頭痛いとか言って寝とけばいいんだ!!」

と思いついて医務室のベッドに横になろうとカーテンに手をかけた時にバタバタと廊下を走る音がしてガラリと扉が開いてデイモン先生が戻ってきた!!


デイモン先生!!やっぱり私の為に心配で戻ってきた??


心の中で感動してるとドンと突き飛ばされた!!そして仕切りにベッドを整えている。

やだ!先生ったら!やっぱりヒロインの私と昼寝という添い寝をして入学式をサボるイベント発生か!?


と思っていると…先生は踵を返し扉口から女生徒を優しく引導してきた。可愛らしい女生徒でお腹を抑えていた。


「さあ、横になって?」

とその女生徒に先生が優しく声を掛けている!


「で、でも少しお腹が痛いだけですし、薬を飲めば入学式に出れます」

と女生徒は少し困っているが先生は断固として


「いや、廊下で座り込んでいたじゃないか!無理をしてはいけないよ。医務室の教員として見過ごせないよ!特に君みたいな可愛い子はね!」

とバチンとウインクしている!

私じゃなくてその子に!


「せ、先生…」

と恥ずかしそうにする女の子。

私に気付くと


「あ、あの子の方が重傷かも!」

と足と頭にも包帯をしている私の存在にやっと女の子が気付いた。先生も気付いてげっという顔をして怒った。


「君!何してるの?まだいたの?入学式に遅れるだろう?さっさと行きなさい!?ん!?」

と先生は割れている鏡に気付いた!!


「これはどうしたんだ!?君がやったのか!?いや、君しかいなかったからそうだよね!?」

と聞かれて私は青ざめた。

そして従者やら名前を書いて


「後で君のお義兄さんを呼び出して親御さんに弁償してもらおうかな!!全く!鏡を割るなんてどんな力だ!!ともかくさっさと出て行きなさい!ああ、なんか匂うね!少し空気の入れ替えをしよう!!」

と窓を開けた!!

ひ、酷いっ!!


「あの…先生…お義兄様には黙ってもらえませんか?あの弁償なら私がやります!あの問題になったら大変なんです。私が不注意でしたごめんなさい!」

と謝る羽目になった。自分でしたことだしルイス君に迷惑をかけて怒られて更に嫌われる。もう嫌われてるけど。


デイモン先生はため息をつくと今度は借用書を渡した。


「それじゃ、これを期日までに支払ってくれ!期日を過ぎると額を増やすからね!」

と言われた。そっちの子が壊したら絶対


「気にしなくていい、怪我をして大変だったね」

と優しくするんだろうな。と思った。

先生は私を追い出そうとした。

女の子は私が出て行ったら先生に手を出されそうで困ってこちらを見ていた。


仕方ないな。

私は先生が来るまで医務室を歩き回っていたからお腹の薬の場所を覚えてガサガサ探した。


「こら!勝手にいじるんじゃない!」


「あった!お腹の薬!…はいこれ飲んで!」

と水と一緒に渡してその子は飲んだ。


「あ、ありがとう。せ、先生私大丈夫ですから!」

と女の子は立ち上がり私の手を引いて出て行く。


チッと舌打ち音と何故か私は睨まれていた。

女の子はお礼を言い一緒に入学式に出てクラスが違うから別れた。


それにしてままたもや攻略対象に嫌われてしまったか…。ヒロインとはなんぞ!?

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