第4話　


翔べない天使を見た

なぜかこの地に縫い付けられて

ばさばさと無意味な羽が空を切る


たぶんこれは｢哀しい｣という感情

虚しくて苦しくて諦めて

それなのに羽ばたくことはやめられなくて


どうせなら切り裂いてしまいたい

そんなことを考える僕はきっと精神破綻者

動けない天使を羽交い締めして

その羽を切り裂いてしまいたいなんて


それでも白い雪の上に飛び散る赤は

なんて素晴らしいコントラスト

僕はうっとりそれを眺める


ふわりふわりと舞う白い羽根を

壊さないよう両手で拾い集めて

血に染まった赤い羽根に

そっとこの冷えきった口唇を寄せて


血にまみれた天使をこの腕で

強く強く抱きしめてあげる

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう！

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録（無料）

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る