夜を過ごす(with クロガネイバラ)(2 / 2)※性描写あり

精力剤──この世界のそれは、薬屋でも売っているほか、冒険者組合でも購入することができる飲み薬だ。


打撲や出血などのケガによる体の倦怠感や長時間に渡る戦闘などの疲労感を軽減させてくれる効果を持っており、駆け出し冒険者からベテラン冒険者に至るまで誰もが常備していておかしくはないメジャーな薬品である。


……とはいえ、だ。


「なっ、なんで精力剤が酒瓶に入ってるんですかっ!」


問題はそこだ。普通はもっと軽量で持ち運びの利きやすい小ぶりな瓶に入れて常備しておくのが普通だ。一升瓶に入れておくものではない。


「まあそれは超有名な薬剤師に一気に50回分の精力剤を調合してもらってたからですねぇ。まとめて保管するためにソコに入れたんですよぉ」


マリアがゲラゲラ笑いながら解説してくれる。


「まさかソレを一気飲みするとはねぇ」


「酒かと思ったんですよっ!!!」


「いやいや、にしたって普通、度数98%の酒を一気飲みするなんて思わないじゃないですかぁ」


「うっ……」


それはそうだ、なんも言い返せん。中身が入れ替えられていたのが予想外だったとはいえ、普通瓶から直飲みする方がおかしいのだ。


「くっ……とはいえ紛らわし過ぎるじゃないっすか……飲み会の時は仕舞っておいてくださいよ……!」


「でっへっへぇ~、忘れてたんらよ~……しまってくるから返してぇ?」


ベルーナが俺にもたれかかったまま酒瓶を取ろうとして……グラリ、その体勢を崩した。


──グニュリ。


「うぅ……コケた……」


ベルーナが寝そべるように転げていた……俺の膝の上で。


「ちょっ……!」


「ああ、ゴメンゴメン、テツトきゅん。わらひ別に酔ってないよ?」


「酔ってる人が言うセリフだよソレ……」


「すぐどくからさぁ……」


──グニュリ。


「っ!?!?!?」


ベルーナが動くと同時、その体の前面が柔らかく形を変えて俺の下半身へと押し付けられた。体の前面……つまりベルーナのその豊満な胸が、だ。


「ちょ、ちょっと待って! いま、動かないでっ!」


「えっ……? ありぇ、なんか硬いモノが……」


ベルーナが上体を起こした瞬間にあらわになったのは──


「っ!?!?!?」


「わぁっ♡」


「ふぇぇ?」


──ベルーナ、マリア、ナーベが三者三様の反応で俺の【ソレ】との対面を果たす。


ソレ、すなわち……俺のズボンの中央、その下にニョッキリモッコリと春を迎えたタケノコのことである。


「テ、テツトきゅん……?! こっ、これは……?!」


「い、いや違うんです! これは精力剤を飲んだから……!」


そう、精力剤には倦怠感の回復と疲労回復の以外にもうひとつの効能がある……それは精力回復、つまりは性力充填チャージ効果だ。


ただでさえ精力剤を飲んでやり場のない気力が満ち溢れていたというのに、そこにトリガーを引くようなハプニングが起こってしまうと……俺の理性の抑えなどガン無視して生理現象が起こってしまうというもの。


俺はそのあられもない惨状を慌てて隠したが……時はすでに遅し。


「あらあらぁ……テツトさん、ずいぶんとご立派なモノをお持ちで♡」


マリアがニヤニヤと、獲物を追い詰めるオオカミのような瞳で俺を覗き込んでくる。


「リーダーの体を味見した感想は上々のようですねぇ?」


「ちがっ……これは、その……精力剤のせいで……」


「いやいやぁ、テツトさん……精力剤の効能があるとはいえ、キッカケは我らがリーダーの女体との触れあいでしょお?」


「そっ、それは……!」


「熟れ時の女体はどうでしたぁ? リーダーは筋肉質ですけど、それでいてちゃあんと出るところは出てる素晴らしい体の持ち主なんですよお……どうです? ひと晩、ゆっくり味わってみません?」


「──にゃっ、にゃにを言ってるゅりらぁっ!?!?」


呂律の回らない口でベルーナがマリアに詰め寄るが、マリアはイジワルそうな笑みを絶やさない。


「まあまあリーダー、ここいらが処女の捨て時なのではぁ? みさおを立ててる相手が居るわけでもなしに」


「しょっ……! しょJho※$:Gぽ%^@ッ!?」


「呂律が回らないの次元を超えてますよ、リーダー」


……マズい。これはマズいぞ?


この人たちは酒で記憶を失わない性質タチだ。このまま酔いどれマリアさんに場を乱されて行くところまで行きついたら……今の俺には断る自信がないぞ? 精力剤のせいで、理性のストップが効かなくなっている。


「スー、ハァ……ッ!」


ベルーナとマリアが話している間、俺は鍛え上げられた精神によって呼吸の安定を図る。無限の世界やあらゆる死線をくぐり抜けてきた俺だ、自分の心になぎを呼ぶことくらい朝飯前だ。これでタケノコも引っ込むはず──




「──ああ、この大きな背中はいいね。立派な盾みたいだよ」




──ムニュリ。突如、俺の背中に柔らかなふたつの双丘が押し当てられる。


「っ!?」


「ふっふっふ……油断したなぁ、テッツん」


俺の背後から抱き着いて耳元で呟いたのは伏兵、ナーベだった。


「ナ、ナーベさんっ! いつの間に……! さっきまで俺の太ももに抱き着いて寝転げていたハズなのに……!」


盾役タンクの私はヘイト管理の能力に長けている……つまり、存在感を出すことも消すこともできるってことさ……!」


ナーベはニヤリとほくそ笑むと、俺の背に胸を当てながら羽交い締めにしつつ叫ぶ。


「ほら、リーダーこっちを見ろ! 我らが恩人のタケノコ様がこんなにもニョッキリと!」


先ほど平穏な精神を取り戻して引っ込めかけたはずのタケノコが、しかし再びその存在感を示していた。


「あらあらぁ♡ リーダー? クロガネイバラとしては恩人のタケノコ様をそのままにしておくわけには」


「そうだぞリーダー。こんなに育ってしまったからにはアク抜きをしてやらねば」


「うっ、うぅっ……!」


ベルーナは今にも火が出そうなほどに真っ赤な顔で、しかしその視線を俺の一点へと釘付けにして離さない。


……なんなんだこのシチュエーションは。背後から体を取り押さえながら妙齢の女性3人にタケノコ様をガン見されている……めちゃくちゃ奇妙な状況、しかし、精力剤の効能もあってか俺のタケノコの強度はグングンと上がっていく。


「もうカチコチだ、このままじゃ爆発するぞ……!」


「リーダーっ! ご決断をっ!」


ナーベとマリアのふたりに急かされて、ベルーナはゴクリと生唾を飲み込んだ。


「てっ、テツトくん……! くっ、苦しいのよね……?」


「ま、まあ……」


ぶっちゃけ、今にもズボンとパンツがはち切れそうである。痛い。


「わ、分かったわ……その、テツトくん、こんな筋肉質な女じゃダメかもしれないけど、その……」


ベルーナが上着を脱いだ。引き締まった腕と肩、そして肌着の下に透けて見える凹凸のハッキリとした身体……俺のタケノコは、否応なしに反応してしまった。


──ビリィッ! と、タケノコに貫かれ、俺の下着が破ける音が響いた。


「てっ、テツトくんっ!? 今の……!」


「す、すみません、ベルーナさん……俺、もう限界です……そんな綺麗な身体見せられたら、もうベルーナさんのこと女の子としてしか見れないっす……!」


「っ!?!?!?」


ベルーナが浮かべた驚愕の表情に、マリアとナーベは肩を竦める。


「まったく、我らがリーダーは本当に自己評価が斜め下で困ったものですね」


「良いモノ持ってるって自覚が無いんだよ……でも、ようやく気が付いてくれたみたいだな。自分の魅力に」


言いながら、ふたりもまたその服を脱ぎ始める。


「ナーベさんっ!? マリアさんっ!?」


「【我らの恩人】って言っただろ?」


「そうですよ……なら、みんなでお世話して差し上げないと」




そして、3人の体が絡みついてくる。


──酔いどれ三女傑とタケノコ男のくんずほぐれつによる酒蒸し調理は、その夜を通して続いたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る