獣王国 前編(4 / 5)
「ふぅ、やれやれ……」
翌朝。
「にゃっ──!?」
俺が再び獣王国の玉座の前へ姿を現すやいなや、ミーニャは愕然とした表情を浮かべた。
「テツにゃん……!? さ、三獣士はいったいどうしたにゃっ!?」
「まだ寝てるよ……俺の部屋で、疲れ果ててな」
「そんなバカにゃ……!!!」
「疑ってるなら部屋を見てきたらいい。3人とも白目を剥いて気絶していたぞ?」
昨晩、俺は三獣士の夜の相手をした。だが……正直相手にもならなかった。どうやら俺は【強者】たちの相手に慣れ過ぎてしまったらしい。
──昨日の夜。
『ちょっ……ちょっと待ってくだされ、テツにゃん殿っ! 我らはいま、果てたばかりで──』
『フンフンフンフンフンッ!!!』
『──かはぁッ!?!?!?』
そんな具合に俺がひとりずつ相手にした三獣士だったが、あらかじめマヌゥに
……やっぱり俺の仲間たちはすごいんだなと改めて感じる。昨晩相手にした三獣士の誰よりも、シバの方が体力があったし、ジャンヌの方がテクニックがあったし、ロジャの方がパワーがあったし、マヌゥの方がムチムチだった。
「──ほっ、報告ですっ!」
凄然とする玉座へと、慌てた様子でひとりのウサギ耳の獣人が駆け込んでくる。
「ひとつ、むせ返るような性のニオイが立ち込めたテツにゃん様のご客室で、三獣士様たちが白目を剥いて気絶をっ!!!」
「マ、マジか、にゃ……!」
「そしてもうひとつ、昨晩行われた【黄金郷奪還タイマン戦】の結果ですが……我ら獣王国が誇る最強の
「……ッ!!!」
ふたつ目の報告を聞くや、玉座の空気が打って変わって緊張感に満ちる。
「……これで9敗目。後が無くなったにゃ……」
ミーニャのこぼす呟きに、この広間に集まった獣人たちが表情を不安げに曇らせた。
「なあ、そろそろ事情を説明してくれてもいいんじゃないか?」
「…………確かに、そうだにゃ」
俺の言葉に、ミーニャはコクリと頷いた。
「テツにゃんはみぃからの無理難題に対して強さを証明してくれたにゃ。昨日の非礼を詫び、改めてこちらから協力の申し出をさせていただきたいにゃ」
「ああ。元よりこっちはそのつもりだったんだ。それで、今この獣王国では何が起こってるんだ? 単純に魔王軍の襲来に遭ってるだけじゃないよな……そもそもさっきの報告にあった【黄金郷奪還タイマン戦】ってなんなんだ?」
「もちろん、イチから説明するにゃ」
ミーニャは玉座から立ち、バルコニーまで出る。そして広がる森の先を指差した。
「この獣王国の西の森、そこには獣王国が代々守ってきた黄金郷があるのにゃ」
「黄金卿……」
「みぃたち獣人にとって黄金にそれほどの価値はにゃい。でも……この獣王国は、かつてこの森へフラリとやってきた【金の精霊】によって形作られたもの。みぃたちの今の文明はその精霊あってこそ。ゆえに、みぃたちにとって金の精霊の居た名残りのある黄金郷はとても大切な場所なんだにゃ」
「思い出の地……ってことか」
「そうなのにゃ。でも、10日前……魔王軍の幹部を名乗る者にそこが占領されて居座られてしまったにゃ」
「居座られて……? 攻められたんじゃなくて?」
「そうなのにゃ。ヤツ……魔王軍幹部を名乗るメイス・ガーキーは黄金郷の前でこう言い放ったにゃ。『黄金郷を更地にされたくなければこれより10日の間、1日につきひとり、
「……寄越されたその強者を……メイスはどうするんだ?」
「戦うのにゃ。
なるほどな、だからこその【黄金郷奪還タイマン戦】という名称か。なんて俺がひとりで納得していると、
「ふざけたヤツなんだにゃ。『
ミーニャが悔しそうに歯噛みした。
「今日までの9日間、獣王国選りすぐりの戦士たちを黄金郷に派遣してきたけれど、その全員が惨敗を期しているにゃ。そして、今日がラストチャンス……」
「ラスト?」
「そうにゃ。10日経ってもメイス・ガーキーの納得する強者が現れなかった場合、黄金郷は破壊──魔王軍による一斉攻撃が始まってしまうんだにゃ」
「……!」
「魔王軍はともかく、もうあのメイス・ガーキーとまともに戦える戦士はみぃだけにゃ。でも、恐らくみぃでも敵わにゃい……そこで、にゃ」
ミーニャがギュッと、俺の手を握ってきた。
「三獣士たちをひと晩でゴボウ抜きした
「えっ?」
「みぃに協力できることならなんでもするし、お礼もするにゃ! だからテツにゃん……どうかみぃたちの代わりにメイス・ガーキーを倒してくれないかにゃっ?」
……信頼のされ方がなんだかおかしかったが……でも、結果オーライだ。
元より、俺たちの目的のひとつは魔王軍に立ち向かうにあたって、帝国の仲間となってくれる戦力の確保。最終的には獣王国と同盟関係を結ぶことだ。こちらに協力を惜しむ理由など無い。
「もちろん」
俺は即答した。
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