【閑話】すべては愛ゆえに※性描写あり
帝都へと向かう道中、立ち寄った町で1泊することになった。そんなに贅沢をする必要もないし、普通の宿を所望していたのだが、
『ややや! あなたは最近ウワサのSランク冒険者テツト様ではっ? 今この町は討伐適正ランクSのモンスターに脅かされ(中略)! もしこちらの討伐依頼を果たしていただけるのであれば、当町一番の宿をご用意いたしましょう!』
と冒険者ギルドに着くなりギルド長に捕まって依頼されてしまった。
……もちろん、人助けはするに越したことはないからな。受けたとも。
というわけで早々に片づけて連日の豪華な宿の大きな部屋をあてがってもらえたわけだが、またもやそこにあったのはキングサイズのベッドだったわけで、そうなると何が起こるかというと──
「よぉーしっ! エッチだ! エッチしようご主人っ!」
当然の帰結としてそうなるわけである。ちなみに女神イオリテは、
「はぁ……聞いてはいたが本当にハーレムな状況じゃのぅ……」
呆れた声を出しつつも俺たちのそんな状況を許容してくれた。イオリテはセミダブルのベッドが付いた別室で寝てもらうことになった。
「まあいくらでもアンアンパンパンやっているがよいわ。我の【ゴッドバリア】には防音性能もあるゆえ快眠まっしぐらじゃ」
「イオリテさんは参加しないのですかぁ?」
「あっ、あったりまえじゃっ! こんな体じゃまだできぬに決まっておろうが!」
イオリテがマヌゥの言葉にプンスカと返事する。
……まあ、俺としても当然手は出す気はないよ。ロリコンじゃないもの。でも今のイオリテの言葉、『まだできぬ』って、つまりできるようになったら俺との【そういった行為】も視野に入れ──いや、今は考えないでおこう……。
「しっかしのぅ、4人いっぺんに相手するとは……。テツトお主、もしや抱ければ誰でもいいとか考えておらぬだろうな……?」
「失敬な! んなこと思ってるわけない!」
「本当かぁ?」
「もちろん。愛あってこその行為だとも!」
疑わし気に覗き込んでくるイオリテに、俺は胸を張って応える。
「例えば……俺とシバはもはや性行為のみで会話が成立するんだ。シバはどうすれば俺が興奮するかを押さえているし、俺もシバのスポットは全部押さえている。行為を通じて互いの体調を把握できさえする……すべて愛ゆえのことだ」
「うんうんっ、ご主人とのエッチの最中はボク、いっつも嬉しくて楽しいもんっ! 間違いないよっ!」
嬉しそうなシバの頭を撫でると、その尻尾が千切れんばかりにブンブン振られる。
「テ、テツト様っ! 私はっ? 私はっ?」
「ジャンヌの特筆すべき点は柔らかなボディタッチだな。ジャンヌはいつも、まるでご神体にでも触れるかのように優しく丁寧なんだ。だから俺はそれに対していつも感謝の気持ちを言葉と行動で示すようにしているよ。愛ゆえに」
「はいぃっ! いつもテツト様に『可愛い』『上手い』『ありがとう』って仰っていただけてそれだけでも私は……ぐふっ、ぐふふぅっ! テツト様大好きですぅ~~~!」
ジャンヌが腰に抱き着いてくる。ただ即座にズボンを降ろしてこようとするのは止める。……いや、まだイオリテがいるからさ、自重しましょうね?
「それでロジャは……とにかく俺に注いでくれる愛の量がすごいんだよな」
「……」フンス!
「キスがね、もうすごい。テクニックもさることながら、【大好き】って想いが全部込められてるんだよな」
「……!」フンスフンスッ!
ロジャは誇らしげに胸を張っている。やはり、自覚してのことなのだろうか。
「……シショー、キスすると、嬉しそうにしてくれるから。いっぱい頭ナデナデしてくれる……」
「ロジャからの愛に、より多くの愛で返したくてな……愛ゆえに」
ロジャもまた俺に抱き着いてくる。いや、吸いついてくる。唇に。
「いやいや、タンマタンマ、始めるにはまだ早いって……」
「あっ、あのあのぉ~! テツトさんっ! 私にはっ、マヌゥに対しては何かありませんかぁっ?」
「んっ? ああ、もちろんあるさ」
吸いつくロジャを一時的に離して、俺はマヌゥのことを抱き寄せる。
「マヌゥの良いところ、そして俺が誠心誠意に愛を注いでいるところはな……」
「はっ、はいぃ……!」
「ズバリ──その【肉感】、だ……!」
ホント、これに尽きる。マヌゥは体付きがものすごく良い。単純に巨乳というだけじゃない。巨乳なのはシバとロジャもそうだが、マヌゥを抱いているときはよりいっそう【肉ッ!!!】って感じなのだ。
……あ、もちろん太ってるってことじゃないよ? ほどよくしっかりと弾力のあるお肉がお尻やお腹やお胸にムチムチとついていて、俺はそれが大変素晴らしいと思っている。
「やはり大事にすべきは長所。ゆえに俺はその【肉感】をしっかりと堪能するため、マヌゥの体にはこれでもかってくらい抱き着くことにしている。愛ゆえに、な……!」
──ピシィッ!!! と、空気が凍り付く音がした。
「……ん? あれ……?」
なんだか、シバやジャンヌ……それにロジャまでもが、俺のことをどこか責めるような目で見ているみたい……?
「ご主人……それは女の子に言っちゃダメだよ……」
「……テツト様、女の子に【肉感】というのは……」
「……」コクコク
「えっ、ダメだった……!?」
俺としては完全に褒め言葉のつもりだったのに……あ、でも確かに、女の子って異様に自分の体付きに厳しかったような……? 前世でも、充分に細いのに『ヤバーイ、太ったぁ~ダイエットしなきゃ~』とか言ってる女子がけっこう居たような……!
「マ、マヌゥ……?」
「……」
「マヌゥ、ごめん……! 俺、傷つけるつもりはなくて……」
マヌゥが俯かせていたその顔をスッ──と、上げる。
「【肉感】──ですかぁ~っ! 具体的に好いてもらえる点があるというのは、とても嬉しいことなのですぅ~~~!」
「えっ?」
マヌゥが浮かべていたのは、ひときわパァ~っと輝く満面の笑みだった。
バンザーイ、バンザーイ! と、マヌゥがはしゃぐ。俺とシバたちはポカーンとそれを見ていた。
……肉感とか、そういうワードはぜんぜん気にしてないみたい……だな? うん、傷つけないで済んでよかったよかった。
イオリテはひとり、
「お主らはまったく……恥ずかしげもなくどんな話をしとるんじゃ……」
めちゃくちゃ重いため息を吐いて、別室へと引っ込んでいくのだった。
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今週は短いですが1話だけ、閑話でした。
絶対安眠のゴッドバリア、欲しい・・・
ここまで読んで楽しんでいただけましたら、ぜひ☆評価などよろしくお願いいたします~!
次回は本当に第3章です。
タイトル(仮)は【オグローム奪還作戦】
投稿予定日は4/21(金)です。近づいてきたら近況ノートで報告します!
それではっ!
※内容修正について
修正日 :2023/04/20
修正内容:性表現の省略
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