夜を過ごす(with マヌゥ)(2 / 2)※性描写あり

「──マヌゥ、マヌゥは本当に綺麗になったな。すごく可愛くなった」


「え……えぇっ……!? い、いきなりどうしたのですかぁ……!?」


「いきなりじゃないさ。再会して、マヌゥだと分かってからずっと思ってたことだよ」


密着してきていたマヌゥの背中に手を回して、俺はゆっくりとその体をベッドへと倒す。


「テツトさん……?」


「大丈夫だ。俺に任せて、目を閉じて」


「は、はいぃ……」


素直に、マヌゥは目を閉じた。俺はそのマヌゥに覆いかぶさるようにすると、その唇を静かに重ねる。


「テ、テツトさん……今の……!?」


「可愛いぞ、マヌゥ」


「ひゃっ……ふ、服を……!」


俺がシャツを脱ぐと、なぜだかマヌゥが顔を真っ赤にして背けてしまう。下も脱ぐ。さらに恥ずかしがられるものの……逃げようとはしない。嫌がる様子もない。それどころかマヌゥの視線は俺の下半身に固定されている……ふむ、やっぱりOKってことのようだ。


「マヌゥ、触るぞ……」


「えっ、えっ……!? んむっ……」


キスをしながら、俺は服の上からマヌゥの体に優しく触れた。小さな頃の面影は薄い。それはもう立派な大人の女性のものだった。


……もうダメだ、めちゃくちゃ興奮する!


俺がマヌゥの服の内側へと手を入れると、「ぴぃっ!?」という小鳥の悲鳴のような、ひと際甲高い声がマヌゥから上がった。感度が高いのだろうか?


「えっ、えっ、えっちなのですぅっ!?」


「へ? えっち?」


「男性が女性の胸に触るのはえっちなことだとお母さんが言っていましたぁ……! にっ、人間の大人は【お喋りを楽しむ】ときにえっちなことをするのがお作法なのでしょうかぁ……?」


「え……? お喋りを、楽しむ……?」


「こうしてテツトさんのお側まで来れたから、きっとまた5年前のあの日のようにいっぱいいっぱい色んなことを楽しくお喋りできると思って、こうしてお部屋をお訪ねしたのですがぁ……」


「ん? えっ!?」


「ごめんなさいなのですぅ……! 私、えっちの特訓まではしてこなかったのでぇ、どうやってお相手したらいいのか、知識が足りてないのですぅ……」


「ちょ……ちょっと待って? アレ? じゃあ、ということは……」


……俺は、純粋に会話を楽しみにして部屋に来てくれた女の子を、ベッドに押し倒して、一方的にキスして、ストリップを見せつけて、いっぱいお触りしたって……そういうコトッ!?


「ご、ごめんっ! まさか、そうだとは知らず……!」


顔から蒸気が出そうなほどに恥ずかしがっているマヌゥに覆いかぶさったまま、俺は必死に謝る。


「俺、マヌゥがエッチするつもりで部屋に来てくれたもんだと勘違いしてて……って、ゴメン。言い訳なんてするよりもまず、上からどけって話だよな……!」


俺はマヌゥの上からどこうとして……しかし。


「あっ……体を、離しちゃうのですかぁ……?」


「……っ」


切なそうな顔を向けてくるマヌゥに、俺は動きを止めてしまう。


──長いまつげの奥から俺に向けられる、星々が散らされたかのように輝かしく美しいその瞳。


──健康的なピンク色に染まり、ふっくらとした可愛い唇。


──俺の体の下にある、温かで柔らかなマヌゥの体。



……エ、エッチしてぇぇぇっ!




心の中、叫ぶ。ダイレクトな獣欲がフツフツと芽生えてくる。が、しかし。


「く、ぅ……!」


辛うじて、耐える。俺はガマンのできる男。鉄のように意志の硬い人間、テツトだ。相手の同意もないままに自分の欲求に屈するようなことは……!


「テツトさん、その……よろしければ私に教えていただくことはできないでしょうかぁ……?」


しかし、そんな俺の背中を押したのは、他ならぬマヌゥ。


「3000年の時の中で、これまでえっちなことに……性行為に興味を持ったことはなかったのですぅ。でも……テツトさんとであれば、それに意味を見出せる気が……そんな気がするのですぅ」


「マ、マヌゥ……それって……」


「テツトさんに、えっちを教えてほしいのですよぉ……ダメ、でしょうかぁ……?」


照れながらもマヌゥは俺の肩を軽く引っ張って、自分の体へと引き寄せてくる。


「い、いいのか……? 俺で……」


「もちろんですぅ。むしろテツトさん以外に興味はないのですから……あっ」


マヌゥはそれから思い出したかのように、


「で、できればでいいのですがぁ……優しく教えていただけると、嬉しいのですぅ」


そう言って目を閉じた。




──据え膳食わぬは男の恥(2回目)。




よって、もちろん俺はマヌゥを抱いた。できる限りの優しさをもってして、ひとつひとつを教えるように丁寧に。




──マヌゥの不思議な光の粒子の力によってか、俺たちの体力はまるで無限に続くようで、行為は数時間に及んで行われた。




* * *




そして行為を終えて、深夜。ベッドにふたり横たわりながら抱き合って眠りに就く。


「……好きだよマヌゥ」


「……はいぃ。私もですぅ」


「これからも、ずっといっしょに居てくれ……」


「もちろん、【誓い】ますぅ。私、もう絶対にテツトさんから離れません」


ものすごい充足感に、意識をフワフワとさせながら寝落ちしようとして──しかし、その時だった。


「えっ……!?」


マヌゥの体が光った……かと思えば、マヌゥは俺の体へと吸い込まれるようにして消えた。そして、わずかに俺の体に輝く粒子のようなものが宿った。


「えっ?」


『えっ?』


「『……えぇっ!?!?!?』」


深夜の部屋に響く俺の声は、俺の頭の中の疑問符と綺麗にハモるのだった。




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ここまでお読みいただきありがとうございます。


読者のみなさまに応援いただき、本作、週間総合ランキングが7位まで急上昇しておりました! 嬉しいよー! 

重ねてありがとうございます。


今回まとめ更新した分の続きである【逸脱者たち 後編】は来週中に投稿できるようにがんばります。投稿日は近況ノートにてまた告知します。


おもしろいと思っていただけたら☆評価やフォローをしてくれたら嬉しいです。


それではっ!




※内容修正について

修正日 :2023/04/20

修正内容:性表現の省略

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