47話
「ブッヒイイィィッ!」
「…………」
面倒だから通訳しなかったけど、オークキングが僕からオグっていう名前を貰って凄く喜んでるのは伝わってくるので、何言ってるかわからなくてもいいや。
「豚ちゃん、よろしく~」
「きゃうきゃう!」
「こんの、汚らわしい豚めが……我はよろしくなんぞ言わんぞ!」
「ブヒィッ!?」
ははっ……オグがクリスと和解するのは大変そうだ。
それより、巨体のオグが加入したことで電話ボックスがさぞかし窮屈になるだろうなあと危惧してたら、一向に復活する気配がない。
どうしちゃったんだろう? テイムしたんだからモンスターを倒したことになるわけで、消えていた電話ボックスが出現するはずなのに……って! まもなく、僕たちの目の前にいかにも豪華そうな煌びやかな宝箱が登場した。これって、まさか……。
名前:ゴージャスミミック(小ボス)
モンスターランク:A++
特殊能力:(3)
《サプライズ》《デッドリートラップ》《無敵》
おおおっ、強いモンスターばっかり倒してきたとはいえ、こんなにも早くボスが登場するなんて思わなかった。プラスが二つも付いてるってことでSランクモンスターよりも少し劣る程度だから強力だけど、これを倒せば【スライムの呪い】も解除されるはず!
宝箱を開けなければ安全だろうってことで、引き続き【開眼】スキルを使って今度は特殊能力を調べてみるか。
《サプライズ》は、箱を開けたときに色んな仕掛けが飛び出すもので、完全にランダムなんだとか。ってことは、ロードしても同じ仕掛けが出てくるとは限らないってことだね。
《デッドリートラップ》は、箱を開けたときに誰かが死ぬ可能性があるんだそうだ。なんか怖いけど僕が死んでも死に戻りできるし、仲間が倒れたらロードすればいいだけだ。
《無敵》は、箱が閉まっている間は、スキルや特殊能力を含む、あらゆる攻撃を受け付けないというものだった。いかにも頑丈そうな箱だから納得。
あっ……イベントボードにスキルを獲得できる状態って出てた。何々――
『現在、このダンジョンではURスキルが獲得できる状態です』
ア……アルティメットレアスキルだって!?【異次元開拓】以来の激レアじゃないか。一体どういうスキルなんだろう? というか、どうやって手に入るんだか。習得条件を要チェックだ。
『ゴージャスミミックの特殊能力の一つ《サプライズ》によって、箱を開けたときにどんな仕掛けが飛び出すのかを、あらかじめ口に出すか内心で予想して5回連続で的中させることです』
こりゃ簡単……のように見えて、意外と大変かも? だって、完全に無作為だっていうからね。ロードして何度もやり直せるのはいいけど、《サプライズ》は何が出るかは完全にランダムってことで、その時点で箱から何が飛び出すかはわからないわけだから。
「箱箱箱~♪ 箱を開けたい~」
「あけたひっ」
「むむっ。一体、何が入っておるのぢゃ!?」
「ブヒイィッ?」
リサ、ミリル(人型)、クリス、オグも気になるのか、目を輝かせてそわそわしてる様子だし、そろそろ始めるか。その前にセーブして、何が出るかを予想することに。
《サプライズ》っていえばびっくり箱だし、パンチが飛び出すイメージだってことで開けてみると、赤いものが視界に入った。
「うわっ!?」
その瞬間に飛び退いたので難を逃れる。ボヨヨヨーンとバネの力で巨大な赤いグローブが飛び出してきたんだ。予想は的中したけど心臓に悪すぎ。というか、【神速】がなかったら回避するのが不可能なレベルのスピードで飛び出してきたような。普通なら顎が砕けて5メートルくらい吹っ飛ばされてるレベルだ。
「――ふう……」
あれから、僕は【セーブ&ロード】を何度も繰り返して、無害のように見せかけて鉄球をブンブンと振り回すピエロの人形、美しい花が咲いたと思った途端食べようとしてくる巨大な食人花、蜂の大群を見事に言い当てて、遂に五回目までやってきた。
2回目以降、何が飛び出すのか当たらなくなって苦労したけど、具体的にじゃなくても人形、植物、虫、といった具合に予想すればいいと気付いたので、そこからはある程度スムーズにいった。
途中で何回か《サプライズ》のほうじゃなくて《デッドリートラップ》っていうのを踏んじゃって、死に戻りしたりクリスが昇天したりしたけどそこは気にしない。あと、甘い匂いがするからって箱を覗き込んだオグが、蜂の大群に追いかけられてみんなで爆笑したのも良い思い出だ。
「最後は……鳥だ!」
今のところ、《サプライズ》で同じものが二度出たことはないし、それ以外でランダムになってるっぽいので当たりやすいはずだ。
恐る恐る箱を開けると、真っ白な小鳥のヒナが飛び出してきた。ビンゴだ! 飛び立ったかと思うと、オグの頭上に乗って消えていった。その際、スキルボックスが落ちてきたので早速拾って開封する。
『URスキル【ビジョン】を獲得しました』
【ビジョン】だって? どういう効果なんだろう?
『その場所において、過去や未来を視ることができる。今後の戦闘状況はもちろん、自分が過去に体験したことや、10年後の未来等、その場面を見たいと思えばそこまで自動的に視界のみがタイムリープする』
こ、これは……過去も未来も見通せるなんて、さすがアルティメットレアなだけある。近い未来を視ることができるのなら、戦闘にだって役立てられるわけだからね。そこは【セーブ&ロード】でも代用できるけど、いちいちロードしなくてもいいから便利だ。
さて、あとは小ボスのゴージャスミミックを倒すだけだってことで、僕は箱を開けた瞬間に素早く2メートル離れるとともに【殲滅】スキルを使って一瞬で終わらせてやった。
うあっ……そのあと僕たちは復活した電話ボックスに入ったわけだけど、オグの巨体のせいでぎゅうぎゅう詰めになってて滅茶苦茶苦しかった。さ、さて、呪いが解除されたかどうか、スキルボードを確認しなきゃね。
名前:時田翔
ハンターランク:E★★★
所持スキル:(12/23)
LRスキル【セーブ&ロード】
URスキル【開眼】【殲滅】【異次元開拓】【ビジョン】
SSRスキル【神速】【魔物使い】【大食漢】【強欲】
SRスキル【フェイク】【料理】【テレパシー】
称号:《当然のように呪われた男》
ヒエッ……称号を見てちょっとビクッとしたけど、名前の隣にあった(呪われています)の文字が消えててホッとした。
さて、あとは僕を呪った張本人が誰なのか、どういう理由で呪ったのかを調べるだけだ。
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