第3話大学を中退する
僕は、ある大学の法学部に在籍していた。
実家からの仕送りと奨学金、バイト3つ分のお金でも教科書もろくに買えずに、先輩からもらったり、教科書をコピーしていた。
ホントにある程度、家庭に余裕がないと大学は卒業出来ない。
今は色んな救済措置があるが、僕の頃は保護者の経済力で卒業までの道のりを歩まなくてはいけなかった。
遊ぶお金は、全部バイト代で賄ったし、夜遅くまで働き、翌日講義に向かった。
ある日、自宅の電話が鳴る。
母親が子宮ガンになった、と。ステージは3らしい。
僕は覚悟した、親が病気しても何百万円もかかる大学なんて、辞めてしまえ。と。
当時、就職超氷河期で大卒で就職が決まらない人間が溢れていた。
僕は、悲しくなるからサークルのメンバーや、クラスメイトに別れを告げず帰郷してアルバイトを探した。
肉体労働だが、仕方あるまい。大学中退なんだから、直ぐに就職先が見つからないのでガードマンのアルバイトを始めた。
そこで、社会の汚い所や理不尽さを学んだ。
僕は警察官を目指していたので、働きながら地元県警を3回受けたが落っこちた。
うちの県警は、青田買いをしているのだ。
だから、柔道部や空手道部の奴らは県警から声がかかる。
ここから、僕の人生の始まりであった。
一つ、喜べるのは彼女と同棲し始めた事である。
母親は入退院を繰り返し、もっと給料の高い介護施設で正職員になり2年働いた。
母親も回復し社会復帰をしたので、彼女が就職した名古屋まで出る決心をした。
地元よりも、名古屋の方が給料が倍以上高い。
1ヶ月間、彼女のマンションに居候して肉体労働で金を貯めてから自分の賃貸マンションに移り住んだ。
そして、求人雑誌に載っていた貿易会社に興味を持ち、入社試験を受けた。
二週間後、合格の知らせが届く。
僕は心から喜んだ。勉強は大学だけではない。場所なんて関係ないと。
喜んで入社した会社がブラックである事を僕はまだ気付く由も無かった。
詳しくは次回。
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