Story 28 ああ、これまじか。最高だな
「流石天界、どこもかしこも幻想的な景色が見れて最高だねぇ、酒の肴にしたいもんだよ」
歩きながら、自身の筋肉を見せつける仁。
その横にはどこから取り出したのか、大きな綿飴を使い魔の狐達と食べて微笑むにゃい君。
これがメルヘンと筋肉のコラボレーションである。
「上空からは光が刺し、地面と言えるものはなく代わりに雲で構成されたこの幻想的な世界。透き通る水の流れる巨大な滝。あぁこの美しさ、私に新しいメロディを教えてくれるのね、奏でようか〈演奏〉」
四方八方を幻想的な景色で包まれ、うっとりとする誤は、武器であるステッキを取り出して音楽魔法を行使している。
そのメロディは一瞬にしてさらに異なる世界に連れて行ってくれるような、そんな代物だ
一方楓華はと言えば、地上にいた頃は服を纏わず羽で包んでいたその体を露わにし、一身に光を浴びている。
その姿はまさに真の天使。
未発達の部位すら崇拝の対象になり得るような美しさである。
そして4人それぞれが心の底から楽しんでしばらく歩いていると、目の前に巨大な建物が現れた。
「デカーーーーい!」
「説明不要だ〜これ。」
「「!!!!…」」
各々がそう口にする。
しかしそれは訓練所の大きさにでは無く、その前に仁王立ちしている天使に対してだ。
【HAHAHAHAHAHA!!!】
突如その天使から発せられた声は空間ごと破壊するほど大きな笑い声であった。
【お前らがあの〈落ちこぼれ〉のアンジェラを連れて行った奴らか!!!!】
「そうだけど…〈落ちこぼれ〉?聞き捨てならない言葉が聞こえたんだけど?」
【HAHAHAHAHAHA!!!!んな細かぇこたァどうでもいいんだよ!!!お前らがここに来た理由は、強くなるためだったなァ!大天使サターシャリアから聞いてるぜェ!だがよう、そこのチビ、「ちょっくら」とか言わなかったか?それこそ聞き捨てならんなァ!トレーニングを舐めんなぁ!この俺が特別に貴様らを鍛えてやる!〈marionette!〉】
「クッ!なんだ!体が勝手に動くんだけど?!」
【HAHAHAHAHAHA!!!!】
「なんで笑ってんだよこいつ!てかこのボタンなんだよ!むむむむ!指が勝手に!」
ポチッ
((((?!))))
【おっとぉ、簡単にかかったなぁ。てめぇらそんな簡単に操られるんなら雑魚じゃねえかそんなんでちょっくらとか言ってたんだな。まぁいい。これからしばらく長い時間を4人のみで過ごすことになると思うが、俺の見込みによると必ず最強になれるぞ。だから、この俺を信じて行ってこい。ホレ!】
「クッ!」
私は手を伸ばして立ち上がろうとするも、先程誤が操られて押したボタンのためか、力が入らない。
必死の抵抗で目を開けるも、最後に見たのは自分の体がホログラムのように崩れ、何らかの魔法によって別次元に転送されている様子であった。
†
少しして全身の転送が終わり、不思議なものを目にした。
4人が飛ばされたのはどうやら異空間。
どうやら、花畑を一望することの出来るテラスのような場所にいるようだ。
しかも4人ともそれぞれの椅子に座っている。
中心にはテーブルがあり、武器や道具なんかはご丁寧にそれぞれの背後へ置かれている。
「綺麗な花だにゃー」
にゃい、可愛くなる。
「本当に綺麗な花ね、香りを嗅ぐ度体が癒されるようよ。もしや花に何か効能があるのでは?」
「よっ!御明答!そこのお嬢ちゃん」
「誰だ?」
「私は庭園案内人です。この次元についての説明や質問への回答役をになっています。」
「案内人ね。説明って言うとどういうものがあるの?」
「そうですね、この空間に存在する施設、物、装置やルール等です。皆さんよろしければこのまま説明を始めますね」
「いいぜ。初てくれ」
†
庭園案内人の話をざっくりまとめるとこんな感じだ
・ここは一応天界であるらしいが、広さが天界よりもはるかに広大である。
・ここを出るには10億年の時を過ごさなくては行けない上、基本的に自らの意思で出ることは出来ない。
・私たちがさっきいた天界にある施設は基本的に全てある。しかし、人数に合わせたサイズで存在している
・ここで10億年を過ごすことになるが、現実では10時間しか経過しない。
・一般に聞く5億年ボタンやらなんかとは違い、寝ることが出来る上基本的な三大欲求は問題なくある。
・10億年間ずっと同じ景色はつまらないので、一応四季が存在している。
・ま、頑張れ
ということだ。
「え、10億?長いよー!」
泣き出すにゃい。
「( ˙꒳˙ )」
変な表情の誤。
「10億ってことは延々とこの肉体を鍛え上げられるってことじゃないか。やったぜ!」
いつもより元気な筋肉。
その後もなんやかんや説明を聞くやら質問やらをして3時間過ごした後、庭園案内人は別れを告げ、ついに4人だけになった。
「んー10億年か。ま、そうは言っても刻一刻と時間は過ぎていくわけだし、時間は有効に使おうよ!私はまだ手に入れたばかりの2本の槍をどうやって戦いに持ち込むかひたすら考えることにするよ」
「なら僕はこの拳であらゆるものを砕けるまで鍛え上げるよ」
「なら僕はこの妖術と回復術を極めることにする!」
「私はこの音楽魔法とやらを使いこなそうかな。」
「よし、みんな目的は決まったみたいだね!10億年、長い付き合いになるけど喧嘩もせず争いもせず誰よりも仲良く、そして強くなろう!」
「「「やるぞ!」」」
士気も高まり、4人は修練へと励むのであった…
‡
その一方、ダンジョン攻略に勤しむ一行にも異変が起きている人物がもう一人いた。
その名は中鳥。伍現の1人にしてタングステンを操り攻撃をする「鎢の巨壁」の使い手である。
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