story 23 Code Name 「ダンゴムシ」
陽の光が大地に降り注ぐ。
その光はめぐみとなりあらゆる生命を産む。
地には草が生え、やがて森となる。
空には雲があり、やがて雨となって大地に降り注ぐ。雨はやがて川となり海へと流れていく。
その海の底が揺れると新たに山ができる。
そういったサイクルの中であらゆる生命が生まれ、人族だったりエルフ族だったりといった地上で生きる種族から、人魚族や天使族など、陸に限らず空、海あらゆる場所にあらゆる種族が誕生した。
そしてこの世界を支える1番の存在は神である。
あらゆる属性や場所に神が宿っており、時にその姿を生命体の前に顕現する。
どんな神がいるか紹介をするとあまりに話が長くなる故、また今度お話しよう。
今回はとある神にまつわる物語である。
†
大地は、あらゆるものの基盤となる。
大地があるから水の外で生きられる。
大地があるからそこに種族が広がる。
大地があるから植物が生える。
大地があるからもたらされるものがある。
もたらすのは恵。そしてそこにも神がいる
大地の神、名は「ダンゴムシ」
彼も時折下界に降りては奇跡で救う神の1人
彼は少しほかとは違う神でもある。
それは特に人族が好きなのだ。
人族の子が森で遊んでいるところや、寝ているところ、人族の大人が仲間を守るために戦うところ等、色んな場面を見守っている。
そして見守りながら子供たちを守ったり陰ながら頑張っているのだ。
時は1万4998年 帝国アイラン・サイラル。
明くる日に来る大災害から世界を救う救世主として別次元にある地球という星から数十名がやってくる。
そして彼ら救世主が訓練し、成長し戦う姿もまた見守っていた。
自らに存在感を薄める魔術を使っているため
、そばで見守っていても基本気づかれることは無い。
しかしある1人の救世主は違ったのだ。
†
ある日のこと、帝国アイラン・サイラル領より北にある森の中にて、救世主のひとりが地龍と戦っていた。
一振叩きつければ大地がひび割れる力をもつ地龍は、その変わりに動きが鈍重であるため、軽々と攻撃を回避した彼女はその直後、地龍の頭の中へと強烈な音波を叩き込む。
更にその直後、音波により脳を揺さぶられた地龍はその場で動きを止める。
そしてできた大きな隙に、ここぞと言わんばかりにトドメを刺さんとする彼女の魔法が炸裂する。
「私の勝ち、ね。♪」
それは炸裂の直後空中にてさらに弾け、生命の起源を思わせるような壮大なクラシックミュージックへと姿を変えて奏でる。
彼女が実に優雅で見事な宙返りを決め着地をすると、その背後で地龍は音を立てて倒れ伏す。
彼女の名は
物好きなルーナが新たに地球から呼んだ救世主、楓華の友人である。
おもむろに誤は目線の先にある1本の木へと視線を向けた。
「ねえ、そこで見てるの誰?」
「…」
「その木の後ろに隠れてこっちを見てたのわかってるんだよ?」
「ぼ、僕の姿が見えるの?」
「見えるも何もバレバレ。僕の目は黙せないよ。何せ私の使う魔法の副作用出その姿ははっきりと見えてるから」
「はぁ、そこまで言うなら自己紹介するよ、僕の名前は〈ダンゴムシ〉この世界の
大地神、〈ダンゴムシ〉だ。よろしく。完璧な偽装をしてたと思ったのに、こんなふうに隠れてる僕を見抜いたのは君が初めてだ。」
「そ、私は誤。ついさっきこの世界にやってきたメシアだよ。」
と、ここで先に誤のステータスを公開しておこう。
名前 誤(あや)
性別 女
身長 150cmくらい
職業 魔法職〈BEAT Prince〉
Lv. 77
スキル 音楽魔法 空間魔法 料理魔法LvMAX
最高の子守唄
武器 Magic Wand of Music
サブ武器 ムチ
服は白シャツに、Vivid pinkのネクタイ、上には地面に引きずるほど裾の長い深い紺のブレザー、
その下にはVivid pinkのミニスカートと薄手の黒タイツ、とスニーカーを履いている。
指先にはあらゆるものを具現化して使うことが出来る〈具現化の指輪〉をはめている。
更に特徴的なVivid pinkの瞳は、5秒と見つめるのも困難なほど美しい。
「メ、メシア!?てことはまさか…」
「そのまさかだよ。ルーナと名乗る神様が僕をこの世界に召喚したんだ。明らか座標ミスってる気がするけど。」
「ルーナ様…また勝手に問題を…。」
「どうかしたの?」
「実は、ルーナ様は僕の上司なんだ。そして僕の生みの親でもある。この見た目もルーナ様が作ったんだ。」
そう言われ、誤はダンゴムシの姿をまじまじと見つめる。
身長は130cm程で、その身はダンゴムシを思わせるような黒い腰装備に加え、手が見えない程袖の長い服を身にまとっている。
下には短パンと厚底ブーツを身につけている。
目の色は黒く、森のように深みがかった緑色の髪が特徴だ。そして正面から見ればわかるが、髪型はパッツンであり、非常にどストライクゾーンである。もしこれが野球で私が審判ならダンゴムシ側のチームに対して100点を差し上げたいものだ。
そして彼の肩には2匹のダンゴムシが乗っている。
彼いわく、大地神の使い。つまり部下らしい。
見た目は、総括してショタである。
口調やその顔つきから見るにパッと見男の子であるが、声の高さや驚いた時に見える仕草からして男装している女の子であると、既に誤は見抜いているが、それにダンゴムシは気づいていない。
「その…大変な上司を持ったね。ま、頑張って。そういえば、私が召喚される前にもう1人そばに召喚される人がいたから、こっちに来たらまたあっておいてね。名前は確か、
豪汰って言ったかな。忘れたけど。」
「豪汰?てかもう1人?もう、ルーナ様勝手にも程があるよ。あぁ、秘書のフェリスさんに怒られてるといいな。」
「ま、雑談はこんなものにしてと。私さ、この世界に木d…間違えた楓華も来てるって聞いたんだけど、どこにいるん?」
「んぇ、楓華ちゃんのこと?それならとある邪悪な古龍にwood Islandって島に飛ばされたよ。どうしても会いたいってんなら僕が連れてくよ。ルーナ様は干渉できないらしいけど、なんせ僕はダンゴムシ、この世界の
大地神だからね。」
えっへんと言わんばかりに背伸びをして胸を叩くその姿はやはり可愛い。
「へー、ほんとだね?違ったら大地神だろうとなんだろうと容赦しないよ。」
「絶対だよ!」
「じゃあお願いするね。よろしく、
大地神様。」
そして2人はその場から姿を消し、大陸ユーシリウスを出てwood Islandへと飛ぶのであった。
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