優雅な花畑

story21華やかで広大な庭園

楓華が古龍との戦いを終えた一方、土砂降りで1寸先も見えぬ夜を明かした一行は目を覚ました。


空には雲ひとつなく、あるのはルーナの微笑みを思わせる暖かい太陽の光。


支度を済ませ続々と洞窟を出た一行は昨晩とは打って変わって清々しい朝に伸びをした。


遊田「ふぅ。空気が上手いな。馬だけに」

美帆「は?」


遊田が面白さの欠けらも無い言葉を口にしたのはわけがあった。

何と一行の目線の先には五頭のペガサスがいたのだ。


燈威「目が覚めたらペガサスがいるだと?」

中鳥「ペガサスか…」

アイリス「ペガサス?誰が呼び込んだのかしら。周りに見えるのは高い木々だけ。もしかして…そうよね。ねぇみんな、1人づつペガサス1頭と友達になって名をつけるのはどう?」

満帆「いいね。なら私はアマルテアにするわ。よろしくね、アマルテア。」

ペガサスは頭を下げ嘶いた。


遊田「じゃあ俺は、かっこいいしエピメテウスで。よろしくな」

ペガサスは少し不満げに嘶いた。


アイリス「じゃあ私はトリンキュローで。よろしくねペガサスさん」

ペガサスは喜んで嘶いた


中鳥「お前らみんな太陽系の衛星から選んどるんか。なら俺も。よろしくアルビオリックス」

ペガサスは勇ましげに嘶いた


燈威「最後は僕か。ならみんなの名付け元に倣ってディスノミアで。これからよろしくなディスノミア。」

ペガサスは辺りに響き渡る優美な声で嘶いた。


遊田「こういっちゃあなんだけど移動手段が手に入ったのは嬉しいな。さ、みんな、庭園を目指して進もう!」

「「「「おう!」」」」

こうして一行は徒歩ではなく空を飛ぶことで移動を再開した


遊田「涼しいなあ!すげえよエピメテウス!」

元気そうにエピメテウスは嘶く

満帆「本当ね!こんな景色初めて見るわ!」


一行の眼下には広大な森林と草原が広がり、遠く後方を見れば帝国アイラン・サイラルの城も微かに見える。

対して眼前には幻想的で雄大な姿を見せる浮島があった。


アイリス「確かルーナ様、5つある浮島のうち中央にある1番大きな島が庭園だって言ってたよね!」

燈威「そうやったな。よし、みんな!あの浮島へ急ぐぞ!」


そうして足早に(ペガサスが)浮島へと向かう一行。

スピードを上げて進んでいると突如とても可愛い声が聞こえた。

「ねぇみんな!この世界を救いに来た6人の救世主でしょ?ルーナ様が呼んでる!僕の案内に着いてきて!」

と言うと目の前にその姿を現した。

頭上に輪があり、顔は幼く、どちらかと言うと女の子に近い。

髪は黒色でぷくりと丸い鼻と白い歯が輝く口元がトレードマークだ。

身長は低いが細く触れるだけで折れてしまいそうなほど繊細な体つきである。

そして背中には純白の大きな羽が生えている。

典型的なキューピッドといった外見であるが、顔に反して男の子だ。

栗饅頭のような大きさの可愛いナニが着いている。


燈威「君は?名前はなんと言うのですか?」

「僕はイスラフィル!さ、着いてきて!」

流れされるようにイスラフィルの案内に着いていくとそこにはルーナが言っていた華やかで広大な美しい庭園があった。

ペガサスの背中から降り、その庭園の入口に一行はたっているのだが、目の前には石造りの巨大なアーチがある。まさに至高天と言ったところだ。あまりに現実離れしている上言葉に表しきれない景色に一行は自然の歓喜の声をあげる。


「「「「「「おぉ!!!」」」」」」

中鳥「ん?なんか今1人多かった気がするんだが?」

ルーナ「てへっ(ノ≧ڡ≦)☆バレちゃった。やっほー全次元神統括神 ルーナデーす!」

満帆「えぇ…。」

アイリス「ギャップ萌えェ!」

遊田「…。」

ルーナ「ありゃりゃ、前会った時と違って性格が違うから驚いちゃったかなー?」

「はぁ。またですかルーナ様。いくら自分の庭園にいて好き放題できるからって気を抜きすぎです!もっと気を張ってください!ほら、5人も混乱してますよ!、はじめまして救世主様方。私はフェリス、ルーナ様の秘書です。よろしくお願いします。」

遊田「ど、どうもよろしく…。」

燈威「よろしくお願いします。」

満帆「よろしくお願いします…ところでルーナ様の扱い凄いですね…尊敬します。」

中鳥「あ、よろしくっす。」


ルーナ「んんん。さ、気を取り直しまして。前にも伝えたかと思いますが、私のk…いや、皆さんと一緒にこの世界に来た西園寺・ローズベルク・楓華さんが、あなた達の相対した邪龍によってwood Islandへと飛ばされてから早いものですが1ヶ月ほどたっています。不思議なことにあの島には私ですら鑑賞することができていません。もしかしたら私に使える天使の内1人に適性があるかも、という話までは出ていますが分かりません。そこで、こちらからあなた達にはお願いがあるのです。どうかあの子が戻ってくるまでは自分たちの訓練に勤しんでは頂けませんか?彼女の損失は大きく皆がショックを受けているのは分かります。しかしあなた達残された5人が力を合わせることが出来ればあの子の力の数倍の力を出せる。だから時間の無い今はひたすら訓練に集中して欲しいの。もちろん特別に訓練に集中できる空間も用意しました。どうでしょうか?」


燈威「僕はいいけどみんなはどう?」

満帆「私はまぁ、ええよ」

アイリス「楓華ちゃんのことすっごく心配だけどおーるおっけー」

中鳥「あいつなら大丈夫やろ」

遊田「楓華なぁ…こっち来てからはあれだけやってるけど元の世界では頼りなかったんだよなぁ。俺は少し心残りだけどまぁいいや。」

燈威「そっか。ちなみにルーナ様、その訓練に集中できる空間というのはどこに?」

ルーナ「ここです。この浮島群こそその空間なのです。」

中鳥「さっき時間無いです言うてたけどそこはどうなん?あとどうやってここ来るんよ。」

ルーナ「そこはご安心ください。私が空間魔法によりこの浮島にいる限り、元の時間の

1秒=1年の空間を生み出しました。それとここへの移動手段ですが、あなた達に授けた神器に空間魔法を表す渦を巻いたシンボルがあるでしょう?その部分に手をかざしてください。」

「そしてΣτο πλωτό νησί. と唱えるのです。するとここへいつでも来ることができます。加えてそれらの神器は無くしてもすぐあなたたちの手元に戻るようになっています。だから心配はいりませんよ。」

満帆「へー。あ、てかさ、空間魔法のおかげで1秒=1年の空間を生み出したのはすごいんだけどその中での私たちって老化はあるの?老化って言うより成長の方が正しいか。」

ルーナ「そちらの方も心配はいりません。ただあなたたちのスキルだったり身体能力が上がるだけで体そのものが時間が立ち過ぎて老化しないために不老を付与してあります。」

満帆「なら安心だわ。」

「では、問題ないということで。よろしくお願いします。ひとまずはあなた達の元に送ったペガサス諸共帝国に送ります。またお会いしましょう。」


そして一行は返事をする間もなく帝国の城内にある馬小屋の前に移動していた。


遊田「Wow…」

満帆「何その反応。おもろすぎ笑」






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