story20 創世記 長い平和

時はサイラルが建国を始め、数千年がたった頃。


かつてアイラン村があったこの大陸

「ユーシリウス」には今や高度な発展遂げた国、「帝国アイラン・サイラル」がある。


この国を統治する王の名は「サイラル」

建国者であり帝王でもある彼は長い時間を生まれ変わってはやり直しながらこの国を支えてきた。この秘密を知るものは数える程もいない。帝国の最上層に立つ3人だけだ。

彼らはサイラルに忠誠を捧げ、ルーナの祝福により仮初の不老不死の力を手に入れ、今日も3柱として生きている。


この帝国に住むものは皆、伝説によりサイラルの功績を知っている。中には彼に、この帝国にクーデターを起こそうとするものもおり、実際に過去には何度もクーデターが起きていた。しかしサイラルはその度に自らの力で自らに刃を向ける者に理解をもたらし平和をもたらしてきた。


帝国の中心部、平民が住む地域の広場にはサイラルの像が建てられている。


しかしそんな彼は最近悩みがあった。

このまま何千年後もこの国には平和があり続けるのか。

あの日ルーナから授かった力は今や転生の力のみを残して存在している。

それに、いつかに倒したあの古龍、〈ギン〉とてまた襲い来るのだ。

しかも次回は数え切れぬほどの古龍を連れて現れる。

その時、私だけで対処できるのか?

無理である。

「彼らに、伝えよう。私は転生を行う。とな。」


サイラルは以前古い文献を読んでおり、そこで転生と似た行動を知っていた。本の1文には、「彼女の体が光り輝き、抜け殻となったソレはその場に倒れ伏した。そして輝きが収まったあとソレの上には魂があり少しづつ空へと上がって行った。直後、魂のさらに上に反時計回りに針を動かす巨大な時計と妖しい紫の裂け目が現れ吸い込まれるように消えていった 彼女の名はローズベルク。」


「話はここで終わってる。転生…か。この国を作り出したサイラルはかのアレクサンドロス大王のように勇敢で輝く存在だったのかな。過去に精神が保てなくなるほどのトラウマと、そして死を味わい、誰よりも平和を願って村を守った漢。会ってみたかったな。

……と、気がついたらめちゃくちゃ時間経ってない?えーと、ん?朝?ちょっと司書さんに聞いてみっか。」

創世記を読みこの国の知識を得た代わりにとてつもなく長い時間を過ごしていた彼女。

聴くところによるとどうやら1ヶ月がたっていたようだ。


「やばーっ!…お腹空いてきた。料理長さんにご飯作ってもらおっかな。にしても…」

彼女の頭には心残りな名があった。

〈ローズベルク〉

何度復唱してもそれは、突如現れた邪龍に遠い大陸へと飛ばされたクラスメイトの名である。

「やはりなにか関係が?あるよね。うん、あるに違いない。とはいえ、本人に聞けないしなあぁ。また文献読み漁ってローズベルクさんが誰なのか調べるか。」


(これ以上はまたご飯食べて寝て、明日考えよう。時間は有限、されど私の体力も有限。夢は夢幻だが無限ではない。なんだこれ。)

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