story 19 創世記 建国

ルーナにより与えられた力と生まれつき持っていた頭で冷静に動き邪龍を討ったサイラルは肉塊に姿を変えられたはずの家族、そして村人達と再会を果たした。


サイラルは今後、同じような緊急事態に陥っても大丈夫なように全力で対策を練った。

ちなみにサイラルは今回の事件の後村全体の意見により村長へとなった。

サイラルはこの立場を全力で活用し家族を守るため、村を守るために村を再建し、村自体の拡張を提案した。

特別この意見に反対するものは居らず、即決で再建が始まった。


サイラルは効率増加のためにこれまで統制などしたことがなかったが、ルーナの与えたスキル「統制王」により、とてもスムーズにことが動いた。


再建完了までの時、まさに一夜城の如し。


驚くべきスピードで破壊された建造物を修復し、村を守るための高さ10メートルにも及ぶ壁をシュクルという頑丈な鉱石で作り上げた。そこにサイラルが結界魔法を重ね、じゃな気持ちを持つ者の手を弾き決して内には入れぬ頑強な巨壁が誕生した。


再建が終わり仕事終わりに新しくできた大衆酒場にて村人達が酒を飲んでいる頃、

サイラルは村長宅に増設された地下室にて今後の方針を練っていた。

左手には1本の万年筆、手元には1枚の羊皮紙。

「これで少しは防御も固くなったかな。…しかしこれではまだ足りないな。あぁそう言えば窮地を救ったあの女神ルーナは建国を想定して私に統制王をさずけた。うん、これを利用しよう。まずは…そうだな、富国強兵の強兵から始めよう。富国も並列で行うとしよう」

サイラルは手に持つ万年筆で考えた内容を書き綴り、纏めた紙を持ち席を立ち上がった。


目的は大衆酒場。先程練り上げた方針を村人たちに伝えるのだ。


途中出会った村人達から感謝と共に1輪の蒲公英や手縫いのぬいぐるみ等を受け取りながらサイラルはゆっくりと大衆酒場へと向かう。


「着いた。完成図は私が書いたが完成系を見るとなんかこう、感激だな。しかし…光は灯されているのに静かなのは何故だ?まぁいいか入るとしよう」


ギィ…


サイラルが酒場入り口の巨大な両開き扉を開けると待っていたのは村人たちからの熱い視線。そして真ん中には妻のアンリー。その手には荘厳なワイングラスに注がれた葡萄酒がある。


「災厄の撃退、そして新たな村人に乾杯!」


「「「「「乾杯!!!!」」」」」


拍手喝采に包まれサイラルは喜びと安堵の涙を流した。


「村のみんな…ありがとう。今日は、みんなのためにとある方針を練ったんだが聴いてくれるか?」


「あぁもちろんだ村長」「当たり前だろう?」「もちろんさ!」「くぅぅあやつ、立派になりおって」


「では…」

徐ろにサイラルは両手を広げ水魔法でミストを生み出した。

そこにはサイラルの練った方針が色つきの絵としてミストのスクリーンに投影されている


「「「「おぉ!」」」」


「みんな、私は今回の災厄の襲来を全く予期していなかった。もし私に勇気がなければかの邪龍を討ち滅ぼしみんなを救うことが出来なかっただろう。しかし勝つことが出来た理由は勇気だけではない。実は私も邪龍との戦いで1度命を落としたんだ。私もとても驚いたことなんだが、命を落とした直後視界が赤ではなく白に染まり、目の前にルーナと名乗る全次元神統括神が現れたのです。その際にルーナ様から色々な能力ちからを授かり今こうして修復を終えてみんなの前に五体満足で立っている」

「今回のような災厄から村を守るため、知りうる限りの最強の鉱石で壁を築いたがこれで足りるとは1ミリも思ってはいない。そう思い策をねっていた時ルーナ様の声が聞こえたんだ。」

「どうやら私が討ち滅ぼし塵と消えた邪龍、【ギン】は5000年後にまた訪れるのだという。」

「5000年後に私が生きているかは分からない。更にはこの村が存在し続けるかも分からない。しかし、私は全次元神統括神 ルーナより100回までの復活を可能とする不死鳥の力を授かった。この命尽きるまで私はこの村を守り続けたい!そこで考えたのがこれだ!この村を強化する!目指すは大国!その中心はこの村!この村は永遠に成長を続ける!私はそれを望む!みんな!どうだろうか!!!」


暫しの沈黙が大衆酒場を包み込む。

やがて村人のひとりが口を開いた


「いいじゃないか、それ!いい案じゃないか!僕は賛成だ!」

「わしも賛成じゃ。わしを育ててくれたこの村を、愛するこの村を思う気持ちがある」

「私も賛成よ。この村を国に、それも大国にしたいと言うのが面白いわ。随分と大見得を切ったようだけれど、私は全力で支える」


先程までの沈黙が嘘だったかのように次々と賛成の言葉が響き渡る。


最終的にサイラルは胴上げされ、酒に弱いサイラルも気分が上がり樽ひとつ分のウィスキーを飲み干した。


数時間後。目が覚めたサイラルは少しふらつきながら大衆酒場2階のテラスへと向かった。

辿り着いた先にはどこまでも広がる闇の中に輝く3つの星があった。子供の頃よく聞いた昔話によると3つの星それぞれに異なる神がおり、星を統括しているらしい。

その話を思い出しながらサイラルはまた涙を零した。


「私は、この力を手に入れたばかり。まだ使い慣れぬ力に慌てることもあるが私は皆にこの村を大国にしたいと言ったのだ。それは願望であり夢。この村がどんな時代になっても残り続け記憶から決して消えないようにするのだ。疲れた時はまたここへ来よう。。

しかし……景色を見るだけではつまらぬ。1人で酒を飲めるようにここは私専用の席としよう。壁を作り完全個室にな!ハッハッハ!楽しくなってきたじゃないか。さ、まだまだ先は長い。明日に向けて体を休めるとするか。」

するとサイラルはどこから取り出したのか天蓋付きの荘厳なベッドを取り出し、横たわった

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