Story 12 メンバーの消失。
魔法が打ち消されその場には楓華の姿は見えない。それどころではなく、目の前には先程まで対峙していたオークロードの姿はなく代わりに強大で凶悪なオーラを垂れ流す古龍がいた。
否、そこには邪龍がいた。
そして数秒後口を開き
「グハハハ!!!私の罠に引っかかったな下等生物共!彼奴さえ何処かに飛ばせばもはや貴様らに勝ちはない!畏怖しろ!絶望しろ!さぁ貴様らの国に帰るが良い!来る時までおねんねして待っていろ!」
喋り終わった直後古龍の前に竜巻が現れ数秒後龍の姿はそこになかった。
「おしまいだ…」
「クソ、楓華はどこに?」
「ローズ、あいつは空間系スキルを使えたはずだが?」
「なぜ戻ってこないんだよ!」
全員がその場に立ち尽くし、何が起きたかも理解することが出来ず仲間を失ったことに理解が追いつかなかった。
━━━━━空を見上げなさい
「「「「「?」」」」」
その場の5人全員が空を仰ぐとそこには亀裂が走っていた。空にである。
そしてその亀裂から光が溢れ出し、全次元神統括神 ルーナが現れた。
━━━━あなた達と会うのは久しぶりですね。元気にしていましたか?救世主達。
全てを統括する私でも今の出来事は予測できませんでした。が、あの邪龍はおそらくドンバスカに生息する奴でしょう。
そして西園寺・ローズベルク・楓華を飛ばした先は未だ発見がされていない大陸、
wood Islandでしょう。
その大陸には名前の通り木が大量に生えている大陸でそのサイズはあなた達がいた地球の3分の1の面積をほこります。そしてそこには恐ろしく強い魔獣が跋扈しています。
あなた達が彼女を助ける方法は…無いでしょうね。
その場に再び沈黙と絶望、後悔が生まれた。
「ですが」
突如声が実物のものとなり、5人の前に両手を上にかざしたルーナが姿を現した。
その手の間には異空間があった。
「私個人の気持ちで、あなた達に手助けがしたいのです。」
と言いながらルーナはその異空間からひとつの神聖な光を放つ純白の衣、無機質だが紺色のオーラを纏った巨盾、全てを裂かんとする鋭利な短剣と真ん中にルーナのシンボル〈異空間〉の紋章が入った小盾、あらゆる拷問器具が入った黒縁の箱、豪華な金の装飾と中心に〈異空間〉の紋章が入った大きな旗を取り出した。
それらは全て神が作り上げた〈神器〉と呼ばれるものである。それは所持すればステータスがとてつもなく強化されるものであったり、ひとたび震えば全てを薙ぐものだったりと効果も様々である。
「これは?」
5人を代表して燈威が発言した。
「それは見ての通りあなた達への贈り物です。それさえあれば彼女がいない間も問題なく戦うことが出来るでしょう。私は他にやることがあります。では。」
ルーナは光の粉となりて空へと舞い上がった。
6人は動揺していたがしかし覚悟を決めていた。
「「「「「やるぞ…やるぞ!楓華がいない間またあのような襲撃が起きてももう被害は出させない!」」」」」
意気投合していた。
そして5人は報告を急ぎ帝国内へと帰って行った。
██████████████████
時は夜、場所は昼間6人のいた場所。
そこには軽装だが闇のオーラをこれでもかと垂れ流す真黒の装備を纏った男が1人。
彼の固有幻器【万物を屠りし斧】を振り回す度巻き起こる風が彼の纏うマントを靡かせる。
彼の名は「Tetuma」
同じく今回の召喚でこの世界へとやってきた地球人。
しかし救世主と呼ぶには相応しくないほどの姿。ちなみに彼が受け取ったスキルは狂戦士。明かされていなかったが実は楓華と同じく転生者。
彼はもう1人の転生者と行動を共にし、高みの見物を楽しむ強者である。
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