森林記
Story 11 奇跡の出会い
ここはどこだ?
混乱した頭で状況を整理しようと思考を働かせるが全く意味がわからない。
私は、ついさっき帝国アイラン・サイラル近郊の原初の草原でオークロードの攻撃を凌ぐためにIce Dragon Burstを放って…。
なぜこんなところにいるんだ?
周囲を見渡す。
四方八方に木々が見える。
しかも空間魔法で元いた場所に戻ろうと考えても何故か使えない。
試しに「創作魔法、テレポート、作製、実行」と唱えても何も起こらない。
意味がわからない、なぜだ?何故こんなことになった?自分勝手に早く戦いたいと申出て、更には1万を超えるほどの敵に相対して腕試しに挑んだからか?
クソ、早く戻らなきゃみんなが心配するんだぞ。
なんでだよ!………。
はぁ こんなこと考えても分かるわけないよね。
泣いたって誰も助けてくれやしない。
気持ちを入れ替えよう。
少なくとも創作魔法は封じられていないからな。
「クリエイト、Fly、発動」
フワリ
楓華は空へ飛び上がり周囲を見渡した。
しかし四方八方どこを見渡しても木、木、木。
どうしろとぉ
━━
ザッザッザッ
歩き続けて何日がたっただろうか?
どれだけ歩いても森の中。
道中何度か魔獣にあったがどれも手こずるほどの強さだった。
ふとステータスを確認してみた
名前:西園寺・ローズベルク・楓華
性別:女
Lv:20/1000
加護:成長速度上昇Lv.XV 美肌 誘惑 王者の覇気
スキル: 創作魔法 空間魔法(使用不可の呪い1年) 他種族言語理解 全知全能 使役魔法
魔道具 :無限使用可能スマートフォン(不壊)
なにこれ、空間魔法(使用不可の呪い1年)
ってことはさ、1年間どこにも行けないってこと?
突きつけられる絶望、理解から逃げようとする脳、それでもおってくる現実。
この頃何も食べていなかったしちょくちょく襲ってくる魔獣にも手こずって体力を削られしかもその体を休められる手頃な場所がなく体を回復させながらひたすら歩いていた。
いくら体力があったってそんな現実受け止められるわけが無い。
楓華の頬を大粒の涙が伝う。
誰も助けてくれない状況
ルーナ様、本当に助けてと思ったらなにか助けをよこしてくれるって言ってたじゃんか!
この嘘つき!
ザッザッザ
?
その時森の奥から足音と声が聞こえてきた。オーラからして人間であろう。
「おーい誰か泣いてるのかい?」
「いたら返事してね、僕達は敵じゃないよね、仁兄ちゃん」
「は、はい!ここにいます」
手を振る 必死に振る
助けを求めた。
数秒後その2人の姿が見えた。
しかし楓華はとても驚いた。
「え、仁さんとにゃい?」
?????????頭の中が疑問だらけだ。
何故ここに2人が?何故この森に?てかそもそも何故この世界に?この世界に来た理由は?てかなんでアバターと同じ姿なの?
へ?
「え、あ!楓華さん!」
「ん?どゆこと?( ˙꒳ ˙ )」
そりゃこんな状況だ。飲み込めるはずがない。
え、いやど言うことまじで。
こんな奇跡ある?やっぱりルーナ様は最高神だね。
こんな出会いがあるとは。
「えーと、状況がまだ飲み込めないんだけど、楓華さん泣いてるようだね、あ、これハンカチ使って」
ギュ
にゃいは抱擁して心を休めてくれた。
暖かい…更に涙が出た
数分後 伝う涙も止まった
「ごめん、かなり頭が混乱して泣いちゃった」
「気にしないでよローズさん」
「そうだよ楓華さん」
「ありがとう。と、それよりも2人はなぜここにいるの?しかもアバターの姿で」
「それが僕達も分からないんだよね。
ただここに来る前に全次元神統括神 ルーナとか言う神様が僕たちにスキルをくれてね、」
と、2人がステータスを見せてきた。
名前:仁
性別:男
種族:人間
Lv:60/1000
加護:武神の加護
魔法無効(攻撃、防御、バフデバフ全て)
見た目 茶髪に少し髭を生やした兄貴。身長は高く、声はダンディでイケてる。
名前:にゃい
性別:男
種族:半妖人
Lv:60/1000
加護:稲荷神の加護
スキル:妖術師 (あらゆる妖術が使える)
見た目 紫髪で頭の右上には狐の面がついている。身長は低く声はショタボ。圧倒的癒し。
どうやら攻めと回復の構成らしい。
と、おや?種族名が書かれているぞ?
ふと私のステータスも見直してみた
名前:西園寺・ローズベルク・楓華
性別:女
種族:人間と天使のハーフ
Lv:20/1000
加護:成長速度上昇Lv.XV 美肌 誘惑 王者の覇気
スキル: 創作魔法 空間魔法(使用不可の呪い1年) 他種族言語理解 全知全能 使役魔法 神建築
魔道具 :無限使用可能スマートフォン(不壊)
ん?人間と天使のハーフ?
それに神建築ってなんだ?
???
再び頭に疑問が押し寄せる。
「ふぁ?」
暫し思考停止…
その頃ルーナは
「ふふふ。」
「またですか…」
「ふふふ、やっぱり楓華ちゃんは天使よね、だからこっそり種族名を天使にしても誰も驚かないわよね、えへえへえへ」
「そういうイタズラは程々にしてください!ルーナ様がなにかやらかす度にこっちも大変なんですから!」
「ひぇっ」
「わかりましたか?!わかったなら返事!はい!」
「ご、ごめんなさい許して!わかりましたから!」
「ならよし。」
「で、でも楓華ちゃんは天使よね!」
ギロリ
「なんでもないです…あ!代わりにさ、楓華ちゃん混乱してるみたいだから思考型の加護あげてもいいかな!」
「はぁ…いいでしょう。ただし!まともなものにすること!」
「おっけーあ、これも(ボソボソ)」
「?」
今日も天界は平和だ。
場所は楓華たちのいる森の中に戻る
突如楓華が状況整理を済ませ平静を取り戻した事で3人は今後をどうするかを考えるため、とりあえず2人が拠点としている洞窟へと向かった。
「わぁ」
─それは洞窟と言うには厳しいようないえなようなものがあった。否、家である。
白い岩壁にいくつかの窓をつけ、右下には金属の縁が着けられた堅牢そうな木材でできた扉がある。
その家には御札が書いておりあらゆる敵対生物の侵入を防ぐ結界がにゃいの妖術によって張られている。
そしてその結界の前には大きな鳥居と2匹の狐の像が置かれている。
「これが拠点?えー…」
「驚いた?やっぱりか…」
「まぁ僕達この世界に来て感覚にして3年経つし、当然と言えば当然の完成度だよ。」
へへん。とにゃいが背伸びして胸を叩く。
「まぁ驚くのは、外だけじゃないぜ。さ、なかにはいって」
兄貴が重い扉を開ける。
うわぁ。これはすごい。広い、広いわ。
これが拠点?冗談でしょ…
こんなの、「こんなの城じゃん!?」
拠点(?)の中に入るとそこには整理された石畳の床の広間に金縁の赤いカーペットが敷かれ、その先には大きな玉座、長テーブルを挟んで少し小さな玉座が向かい合って置かれていた。
そしてそこにつくまでの両サイドの壁にはドアが2つずつ着いていた。
「空いた口が閉じないようだね。
説明しよう!まず正面にあるのが玉座。そして右にある1つ目の扉を開けると寝室がある。中にはダブルキングベッドがひとつあるよ。そして右の2つ目の扉を開けると前世の一般的な家庭のリビングをイメージして作った部屋がある。そして反対側1つ目にはトイレやお風呂、2つ目には訓練所がある。」
「凄い!」
これはもうここに住んでるとしか言い様がないよ。
これで拠点?2人が本気で家作ったらどうなるの?
「とりあえず夜も老けてきたことだしご飯食べよ」
「さ、こっち来て」
右の二番目の扉を開ける。
そこには明るい色の木の床の上に洋風のテーブル
木でできた椅子
そして白い壁紙に天井にはまさかのLEDの照明付き。
これヤバー
さっきからセリフこれしか出ないんだけど。
「さ、好きなところに座って」
「クッキング オムライス、ハンバーグ、 調理開始 成功」
「ジャーンさ、食べて」
「ゴクリ。いただきます!」
口の中に入れた瞬間広がるケチャップと白米、そして上にかかった卵のハーモニー。
ふうかの目から再び涙が流れた。
「うぅぅおいじいぃ」
もぐもぐ パクパク
2人も食べながら暖かく楓華を見守っていた。
そして食べきった楓華は疲れからか座ったままで寝てしまった。
「寝ちゃった。それにしてもすごい食べっぷり。嬉しいね」
「そうだねにゃい、とりあえずベッドへ運ぼうか。」
兄貴によってお姫様抱っこされた楓華はダブルキングサイズベッドの真ん中に寝かされ、上から毛布をかけられた。
スヤスヤと眠っているその寝顔はまさに天使。
天使と人間のハーフというのはその通りの事実のようだ。
「ふにゃぁもうたべれにゃいー。」
どんな夢を見ているんだろうか、すごくヨダレが垂れている。
「「可愛い」」
「一生見てられる」
「僕も」
「とりあえず寝るか」
「そうしよっか。」
そして2人は部屋の電気を消し、眠りについた。
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