いっそ息の根が止まるまで
「……んっ」
大好きな貴方からの、初めての口づけ。
やっとここまで来れたって、素直に嬉しかった。
だけど、上手く息ができなくて、苦しい。
「……可愛い」
貴方がそう言うために、一瞬唇を離すタイミングで、必死に酸素を取り込んでること、知ってるのかな。
「ねぇ……苦しいってば……」
どうしても辛くて、SOSを出してみた。
貴方は悪戯げに笑った。
「嫌だ、離さない」
うん、分かってたよ。
むしろ、そう言われることを望んでいたのかも。
苦しいはずなのに、幸せで不思議な感覚だった。
ゆっくりと舌が入ってきて、私のと絡む。
あぁ、もっと苦しくなっちゃったな。
「ねぇ好き、大好き」
私を必死に求める貴方は、まるで寂しがりやの子犬みたいで、とっても可愛くて愛おしい。
こんなに幸せな時間を味わえるなら、ずっとこのまま唇を重ねてようよ。
もしそれで本当に死んじゃっても悔いはないし、むしろ幸せだから。
初キスで逝けるなんて、素敵じゃない?
「苦しい、ちょっとストップ」
「嫌よ、離さないから」
離れようとした貴方を引き寄せる。
貴方の言葉を真似して、また舌を絡ませる。
「そんなキャラだったっけ?」
「貴方がそうさせたんだよ」
ねぇ、死ぬまでしよう?
なんてね。
さて、この後一体どうなっちゃうのかな。
本当に死んじゃう?
それとも……。
どこまで深まるか、君の想像に任せるよ。
ところで君は初キスで逝くって、アリ?ナシ?
好きな人の愛を貰いながらって幸せかも。
それも冥土の土産になりそうだよね。
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