ポッキーゲーム

「ねぇ、ポッキーゲームって知ってる?」


1本のポッキーを両側から少しずつ食べてくの。

最初に目を逸らしたり、逃げたりしたら負けだよ。


「へぇー、言っとくけど俺は負けないよ?」


ふーん、言ってくれんじゃん?

それじゃあ、レッツスタート!



付き合って1ヶ月経ったけど、まだ貴方とは一度もキスしたことがない。

友達にも、時々言われるんだよね。

『まだキスしてないの?』って。


「そんな事しなくても愛し合ってるからいいの!」


なんて言って誤魔化してたんだけどね。

本当は貴方の唇に触れてみたかったの。

優しいピンクの、柔らかそうでプルプルのそれに。

貴方はどう?考えたことあるのかな。



「ねぇ、このゲームの末路って知ってる?」


ポッキーがだんだん短くなって、顔が近くなるの。

でも、貴方も私も負けず嫌いだから、逃げも逸らしもしないよね。


「どうでもいい。ほら、お前が喋るから折れちゃったじゃん」


「ごめんって。もう一回やろ」


怖くなってわざと折った、とか言えるわけなくて。

貴方は意識しないのかな。

だって今、キスしようとしてるんだよ?


大好きな貴方の目に映る冴えない私の顔が、段々近づいてくる。



「……!!」


「あははっ、なに照れてんの?」


触れちゃった。ついに触れちゃった。

あぁ、やっぱり想像通りの感触だった。

レモンの味って聞いたけど、それは違かったね。


「あーあ、俺から誘いたかったんだけどな」


「え、ポッキーゲームに?」


「俺はお前みたいに回りくどいことしねぇよ」


そう言って貴方は私のうなじに手を伸ばして、さっきのとは比にならない熱い口づけをくれた。


「好き。もっかいしていい?」


「んー、また今度ね」


これ以上やられたら、恥ずかしくて死んじゃう。

なんて、言わないけどね。



残ったポッキーどうしようかな。

普通に食べちゃう?

それとも……。

ねぇ、君ならどうするかな?

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