その4(夢)
その夜、不思議な夢を見た。
自分は、白いスイレンが一面に咲く池のほとりに立っていた。池の中心には真っ白な五角形の建物があり、そこへ続く純白の橋が私の目の前にかかっている。何かに呼ばれた気がして、私はその橋を渡り建物中に入る。引き込まれるように部屋に入ると、次の部屋へ続く襖がひとりでに開く。次の部屋へ進むと、また同じように襖が開き、そうやって10部屋ほど進んだ先に、簾のかかった高座のある部屋が現れた。よく目を凝らすと、簾の奥には人影が見える。
こちらへ
何故か懐かしく感じる声が簾の中からし、言われるまま近づくと、するすると簾が上がり真っ白な少女がそこには座っていた。彼女は滑らかな光沢のある濃い紫色の振袖を着ており、彼女の輝くような白い髪や肌と衣装のコントラストが美しい。振袖は白と金糸でスイレンの花が描かれ、帯も白地に金糸でスイレンの模様が浮かび上がっている。不思議と靄がかかったように彼女の顔はぼんやりとしか見えないが、うっすらと見える口元は愛らしかった。
彼女はこちらに向かってすっと手を差し伸べ、何かをつぶやく...
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