59.マイテルガルド上空戦!!
「シールドへの被ダメージ大きいです!! 敵大型飛行爬虫類、さらに増えました!!」
イデスちゃんの叫び声が、外部からのダメージに揺れるブリッジに響く!!
「おのれ!! 風の魔導司祭、マルテロ!! 魔導皇様の許可を得た我らの、魔導の都への針路を妨害するとは!! どういうつもりかっ!!」
続いて怒声を放つのは、アーヴァナさん。
「アーヴァナさん!! あの大きな空飛ぶトカゲみたいなのは!! 何ですか⁈」
口から凍結ビームを吐く、その空飛ぶ翼付きのトカゲの攻撃で。揺れるリジョリア・イデス号の様子にたまりかねて、僕が叫ぶと。
「あれは、翼竜というものだ!! 風の眷属の魔族でな! 本来、風の眷属の者の言う事しか聞かぬ!! となれば、風の魔導司祭のマルテロの奴がこのことを知らん筈はない!! あの男、幾ら私を気に食わんとは言え……。やってくれたな!!」
なんだろうか? アーヴァナさんのいうには、六大魔導司祭というものは、魔導皇のニール君の下に並列に並ぶ位だそうな。
そう言う事なのかな? これはひょっとして、ニール君の寵愛を競う、六大魔導司祭同士の争いと。言う事なのだろうか……?
「ちっ!! ユハナス! 俺とマティアが出る!! アームドアーマーのセッティングは、イデス殿のお陰で万全だからな!! 行くぞマティア!!」
「了解、にい!!」
そう言葉を吐いて、アームドアーマーの格納庫に向かう、レウペウさんとマティアさん。
「お願いします、二人とも!! 危なくなったら船内にすぐに戻ってください!!」
僕がそう叫ぶと、二人はこちらに手を振って船内の廊下の曲がり角を曲がった。
「アームドアーマーが二機出て。近くにいる翼竜とかいうあの翼トカゲを倒してくれれば。イデスちゃん、残りの敵はやれるね⁈」
イデスちゃんの方に振り向いて、僕はそう聞いた。僕らの主兵器、ツイントロン砲は。敵の突然の奇襲を受けたために、射程距離の問題でまだ火を噴いてはいない。
「行けます、シミュレーション、演算終了!! あとは、順を追って実行することで80%の確率で敵の群れを殲滅可能です!!」
頼もしい。イデスちゃんが8割成功と言ったら、それは8割成功なんだ。
* * *
「ミサイルポッド、マイクロミサイルを一斉に放て!!」
『了解』
マティアはアームドアーマーのサブOSにそのようなワードアクションを入力した。
そのとたんに、深紅の装甲を持つアームドアーマーが反応。ミサイルポッドから無数のマイクロミサイルが発射され、翼竜の身体に叩き込まれ爆発。その身を砕いて命を奪う。
「マティア!! お前はまだ慣れていないから、サブOSのオートルーチンを使っていたほうがいいぞ!!」
無線通信で、レウペウがマティアにそう伝えると。
「うるさいな、にい!! 言われないでもやってるよ!!」
マティアはそのように返して、次のターゲットの処理に移る。
「ふん! まだほぼ初心者なのに。親父殿の血は恐ろしいな。立派に戦えているじゃないか、マティア!!」
レウペウはそう言葉を放つと、腰のビームスピア発生装置を右手で取り出し、ビームの槍を発生させ。
「らぁっ!!」
アームドアーマーの推進能力を使って、翼竜の群れに突っ込み!!
「俺達の船にたかるなっ!! このトビトカゲどもっ!!」
そう叫んで縦横無尽にビームスピアを振りかざし、突き刺し。
どんどんと翼竜の命を奪っていく。やがて。
『レウペウ様、マティア様!! 射程距離問題クリアー!! ツイントロン砲の斉射に移ります!! お疲れさまでした、左右両翼に散開して、後側部からリジョリア・イデス号に帰還してください!!』
イデスのメッセージが、レウペウとマティアのアームドアーマーに飛び、それに従って二機のアームドアーマーが左右両翼に散開すると。
『ツイントロン砲、20、20、32の斉射始めます!!』
と、いうイデスの宣告通りに、凄まじい破壊光を放つ72本の光線が、翼竜の群れに叩き込まれ蹂躙をする。
「……凄まじい破壊力だな……。中型のサイズがあるとはいえ、これが商船の攻撃力だとは……。何度見ても信じられん」
レウペウはそのように呟き。
「あっはっはー!! いいぞイデスちゃん!! どんどんやっちゃえー!!」
敵が殲滅される様子を見た、実戦参加がほぼ初めてのマティアが興奮する。
* * *
「処理終了。前方の空間、ほぼクリーン。前進に問題ありません」
敵の掃滅が終わった後に、ケロリとして言い切るイデスちゃんに、アーヴァナさんが驚いた様子で声を放った。
「どうなっているのだ? この船は凄まじいな……。見たところ、空を飛ぶゴーレムのような物を繰り出し、行動の自由が出来たら超高出力の光魔導術のような光線攻撃を凄まじい数同時に繰り出す……。呆れたぞ? 君たちの世界のこの船を作る技術。私のような土の眷属にも興味が持たれる……」
うん。リジョリア・イデス号は、強い良い船だからなぁ……。
僕だって、最初にこの船の力を目の当たりにした時、本当に。
呆然とするぐらいの凄まじいスペックだって、思ったもんだ。
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