第27話 見える最終日
私事ですが、コロナになってしまったので少し短めですが、許してください。
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「翔真!翔真!もう、朝の8時半だぞ。チェックアウトの時間に遅れると先生に怒られるぞ!」
「んぅ。寝み~。」
修学旅行最終日。
俺は大樹に起こされて、遅刻ギリギリに目を覚ました。
昨日の夜、彩香と別れてから部屋のドアを開けた途端、雄大が
「聞いてくれよ、翔真!!」
泣きついてきたのだ。雄大が泣いている理由は分かっている。多分、俺たちの部屋に来てからずっとその話をしているんだろう。大樹がカメラ片手にげんなりしている。
とりあえず雄大に話したい事を話してもらって、落ち着いてもらうことにした。
「……というわけなんだよ。ヘタレだろ、俺……」
俺は「見てたよ」とは言えず、無難なアドバイスをする。
「谷さんと同じ学校に行きたいからって素直に言えば良かったんじゃあ……」
「それはダメだ!それは俺が天音に相応しい男になってからだ!」
握り拳を作り力説する雄大に大樹が横槍を入れる。
「だけどそんなに悠長で良いのかぁ?谷さんも人気あるぞ〜」
大樹の言葉に雄大は静かに笑い、一筋の涙を流した。
「それで天音が幸せになるのなら、見守るだけさ……。」
それからというもの、日を跨いでも反省会という名のおしゃべり大会が開催され、寝ようにも寝れなかったのだ。
俺は急いで準備を済ませて、集合場所に行った。
ギリギリ集合時間に間に合い、俺たちは飛行機の離陸時間までの間、空港の中のお土産コーナーでお土産を選んでいた。
「なぁ、翔真。麻衣へのお土産なんだが、どっちのシーサーが可愛いと思う?」
「そんなの本人に電話かメールで聞けばいいじゃないか。」
「あいつ、俺にメールの返信してくれないんだよ。家に居るはずなのに。」
「はぁ~。仕方ないな。」
俺は自分の携帯を取り出すと、麻衣の連絡先を探し出すと、電話を掛けた。
呼び出し音が、”プルル”となろうとした瞬間、
「翔真先輩!どうしたんですか!?寂しくて私とお話したくなりましたか?!」
「あ~。元気そうだな麻衣。」
「元気になりましたよ。まさか先輩から電話がかかって来るなんて思ってませんでしたから!」
「お土産の話なんだが、今ビデオ通話に出来るか?実物を見せたいんだが。」
「え?ちょ、ちょっと待ってください。」
その後、ドタドタと少し慌ただしい音が聞こえた後、画面に映し出されたのは相変わらず、綺麗に整った麻衣の顔だった。
「お、なんか麻衣の顔を見るのは久しぶりな気がするな。」
「そうですね。」
「聞きたいのはシーサーの事なんだが、どれがいいとかあるか?」
「ん~、そーですね~。あっ、あの赤いのと青いのが抱き合ってるやつが良いです。」
「これか?」
「はい!」
「分かった。それじゃあ、これは俺が麻衣にお土産として買ってやるから、兄ちゃんからはちんすこうと紅芋タルトで許してやってな~。」
「もちろんです。それじゃあ、修学旅行最後まで楽しんでくださいね~。」
そう言って、手を振りながら麻衣との通話を終えた。
「ありがとよ、翔真。超助かった。」
「でもさ、今日って平日だよな?何で麻衣は家にまだ居るんだ?学校は?」
「あ~、なんか、体調悪いらしくて、学校は昨日と今日は休むって言ってるらしい。母さんから連絡が来た。」
「そうか?元気そうだったけど。」
そんな話をしていると、大樹のスマホの通知が鳴った。
「噂をすれば、母さんからだ。」
『さっきまで大樹のせいで体調悪くて、学校に行かないって言ってたのに、さっき元気よく鼻歌を歌いながら登校して行ったわ。大樹が何か言ってくれたのよね。ありがとう。』
「だとよ。」
「そっか、元気になって良かったな。」
俺がそう言うと、大樹は大きくため息をついて、買い物に戻って行った。
俺は大樹のため息がなぜか分からなかったが、気にすることなく俺もお土産を見て回った。
「ふぅ~。買った買った。お土産はこれで全部かな。」
俺は両手に大きな紙袋を抱えながら、空港内を歩いていた。
そして、沖縄も今日で最後だと思い、俺はもう一度沖縄の空気を味わっておこうと思い立ち、空港の外に出ることにした。
陽射しを受けて、一層熱くなったコンクリート。空調が効いた空港内とは全く違い、モワッと空気が俺を襲ってきた。
少し周りを見渡していると、熱できた蜃気楼の向こうに、長い髪とスカートが風に揺れるのが見えた。
俺はその姿が菜摘である事を確認し、近くまで足早に歩いて行った。
★★★★★
この度は
「LOVE GLASSES ~俺への好感度が0の彼女と別れたら、学校のマドンナ達が言い寄って来た。~」
を読んでいただきありがとうございます!!!!
ついに修学旅行も最終日に突入しました!
お話も最終幕に近づいてきました!
続きが読みたい!など思った方はぜひ、★やコメント、♥などを押していただけると嬉しいです。
みっちゃんでした( ´艸`)
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