第4話 それぞれの道

律は高校3年生になり、バスケ部最後の大会を3位の成績で終え、部活動を引退した。

女の子にはもちろん、男の子にも信頼と尊敬をされていたので、バスケ部引退はガッカリする生徒が多かった。

律は将来は数学の教師になりたかった。祖父母に相談し、大学進学を許してもらう為、頭を下げた。

「何言っているんだ。みずくさいじゃないか。オレたちは律の親代わりなんだぞ。律が大学に行くことは大賛成だ。金のことは心配するな。これからも律が思った道を進めばいい」

「そうよ。私たちのことは気にしないで自分のことだけ考えて」

「ありがとう。おじいちゃん、おばあちゃん。また世話になります」

律はそう言い、大学に進む為、必死に勉強した。

時々体がウズウズした時は、頭をスッキリさせる為にランニングをし、頭の切り替えをしていた。

そして冬、寒さの厳しい中大学受験をし、見事合格。

3月、春と言うにはまだ肌寒い頃、進学する為に上京し、田舎街から離れて行った。


✤✤✤


一方奈々も翌年に高3になり、部活動最後の年となった。

奈々は律がいなくても、律が応援してくれていると思い、精一杯バスケ部を盛り上げ頑張った。

バスケの地区予選大会では5位になってしまった。県大会には出場出来ず、悔いが残ったままの早々とした引退となった。

律のことを想い続け、告白し、奈々にとっては忘れられない高校生活だった。

律との思い出も、中学からバスケを頑張ってきたことも、律を追いかけこの高校に入学したことも、友達、先生、全てにおいて充実した学生生活を過ごした。


そして奈々はエステティシャンになり為、高校卒業後東京の専門学校に進んだ。


乃々が中学1年生の時だった。





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