第6話
岩間は山信が帰るとすぐに津山に電話をした。2億という数字が岩間を焦らせた。
「もしもし津山さん、急な話だが、れいの契約、解除したいんだが」津山は岩間が意外と早く反応したことに驚きながらも冷静さを装って「それは残念です、それではいつ」「早いほどいいんだが、今日でも明日でも連絡くれれば待っている」「それではいまからお伺いしてもよろしいでしょうか」「待っている」津山は流石だなと思った、3000万が手元にある男の声だった。
津山は必要書類を揃えると、はやる気持ちを抑えながら事務所を出た。
岩間は応接間のテーブルに3000万を用意して待っていた。津山はソファーに座ると「それでは法律通り、売主の契約解除ということで手付倍返しで契約解除になります。」津山は一通りの解除手続きを終えると3000万を受け取り深々とあたまをさげた。
津山は事務所に戻ると山信に電話をした。「津山だ、契約解除は済んだぞ」「もう終わったのか、早かったな」山信は想定外のスピードでことが進んだことに少し興奮しながらも「それでは俺のほうも早く済ませてしまおう」
翌日、山信は内容証明郵便で「都合で契約をすることができなくなってしまったことや、せめて早く連絡したことでお許し下さい」と記入して速達を出した。
当然、岩間も黙っていないだろうが、法的に追及することは難しい。まずは買付証明書だが法的な裏付けはないのだ。一方的に断られても何もない。あとは山信を責めることになるが連絡を絶たれるとどうにもならない
2人がつながっていることは知る由もない。解約手付金は山分けだ。
目には目を歯には歯を 小深純平 @estate4086
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