第3話
数日後、津山は岩間に電話をした。「もしもしQ不動産の津山です。実はお宅の売地の件でお話があるんですが」「どこの売地だ」ふてぶてしい声が返ってきた。津山は一瞬ムっ、ときたが抑えて「駅前の土地です」「あ、あれか、もう先客がいるよ」岩間は突っ張るように答えた。案の定、売主は大抵こんな風に三味をひく。結局、岩間は後日会うことを承諾した。
1週間後、津山はマンション計画の企画書を携えて岩間を訪問した。
岩間は革張りのソファーに深々と座りながら津山を促した。短髪で白髪の日焼けした顔はどこか威圧的で人を圧倒していた。津山は深々と頭を下げると少し呼吸を整えて企画書を広げた。「実は今度、自社でマンションを企画しまして、場所の検討していたら岩間様の土地が目に入りましたので」津山は企画書の図面を広げながら「今回は分譲マンションの予定ですので価格についてはかなりいけると思いますが」岩間の目が一瞬ゆるんだ。津山は商売柄その瞬間を逃さなかった。津山は続けた。「土地の面積は150坪で市の評価額は約1億くらいですね。弊社の分譲価格から原価計算しますと1億5千万までいけます。」「これがリミットです。」津山は自信をもって言い切ると腰を上げながら「是非、ご検討ください」と言い頭をさげながら岩間の顔をうかがった。岩間は先ほどと打って変わって笑みをうかべながらペコリとした。
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