第7話 捕まった時の感想
「へぇ、病院かぁ。いやぁ、死ぬ前にとてもいいものが聞けた。ありがとう」
蒼はにこやかに言った。そして、今日は最終日。明日ついに蒼の死刑が執行される。
そう思いながら龍樹はそれでと言った。
「最後は、何を話すんだ」
「そうだねぇ。あっ、捕まった時の話をしようか。あれなかなか印象的だったからさ」
「捕まった時、あぁ、お前が警官に殺しがバレて逃亡中にある人を拷問している最中に捕まったんでしょ。それもなぜかあっさりと」
「あぁ。きっとどこかで聞いたんだね。その話。まぁあれは単にもぉ十分に楽しみを感じられた。だから尚更いいかなって思ってさ。あっ、そういえば俺が拷問したやつどうなったんだ?」
蒼は龍樹に聞いた。
龍樹は暗い表情をしながら言った。
「お前が拷問をした人物は、足は繋がったものの。それ以来もぉ口が聞けなくなってしまい、おまけに夢を諦めたらしい。もちろん、親は相当な恨みを持っているよ」
「でしょうね。まっ、どのみち俺は死ぬからね。じゃあ、話そうか」
蒼はニヤリと微笑んで口を開いた。
蒼は同僚のあの日の1ヶ月後、もう1人を殺した瞬間を不幸にも警官に見られてしまい、そのまま指名手配にされてしまった。もちろん、そうされると思った瞬間すぐに家に向かい、必要なものを鞄の中に詰め込むとそのまま夜逃げ同然で逃げた。
そして、開き直るかのようにこれまでしてきた処置などは一切せず、ただ気に入った人物をターゲットにして誘拐をしては廃墟で拷問をしたりしていた。そして、持っている現金を盗むのを繰り返していた。
気付けば5年の月日が立っていたが、今現在していることは、家族の目の前で息子を拷問をシーンを繰り広げている所だった。
選んだ理由はこの息子が差別的なことをされていたからだ。逃亡している途中、ふと公園を見ると1人寂しそうにしている少年がいた。
話しかけて見ると、理由は弟と自分が差別をされているということだった。
そのことに、試してみたいことがあり、その子の相談を優しく聞きながら家族に関する写真などを持ち込ませた。
そして、今、その子供に弟と共に一緒に来るようにいうとそのまま誘拐をして親を呼び出した。少し脅しのために子供達の泣き声を聞かせると本当に2人だけで指定した誰も来ない廃墟に来ていた。
すぐに気絶をさせ、椅子に縛りつけ、現在に至る。
長男の拷問している様子に親は泣きながらやめてくれと叫んだ。
「やめてって、あんたら別にいいんでしょ。この子の話じゃあ、お兄ちゃんなんだから我慢しなさいって何回も言ったらしいじゃないか。それに弟くん。君のおかげで今無事にいられるんだよ。兄がいなかったら君がやられていたんだから。だから尚更いいじゃないか。だって、お兄ちゃんなんだからこれぐらいは我慢しないとね」
そう言いながら蒼は拷問を続けた。その間も弟は「やめて! お兄ちゃんじゃなくて僕をやってよ!!!」と叫んでいたが、お構いなしに続けた。
「やめてくれ、やめて下さい。お金はいくらでも、いくらでも出しますから、どうか、どうか」
「お願い! 私たちが罰を受けるからお願い! その子を解放して!」
両親のその言葉を聞いた蒼は、昔のことを思い出して思わず殴った。
「喋るな。イライラする」
一言そういうと、再び兄に拷問を掛けた。
気付けば兄は目の焦点が合っていない状態だった。
「よし。何かいうことあるかい」
蒼は兄の方に声をかけた。兄はただ、助けてと言った。
「わかった。解放してあげる」
そういうと、持っていたナイフで頭を刺した。その瞬間、母親の叫び声が建物内に広がり、兄の名前を叫び続けた。
父親はその光景に唖然とし、弟はただ泣きじゃくりながら兄のことを叫んだ。
蒼は警察に居場所などを説明し、電話を切った。
「気持ち悪っ。じゃっ。お金はいただくんで。バイバーイ」
蒼は夫婦の財布からお金を抜き取ると、その場を去った。
寒い夜の中を歩き、数キロ離れた漫画喫茶に入って行った。
個室に入り、シャワーを浴びて歯磨きをするとすぐに個室にこもってパソコンを見た。ニュースでの最新情報にはまだあの家族に関することは書かれていない。
(まぁ、そう簡単に見つかるはずもないもんな)
そう言いながら深いため息をついて上着で体を丸めて眠った。
目覚ましが鳴り、蒼は目覚ましを止めて起き上がり、シャワーを浴びておにぎりを二つ食べると歯磨きをし、会計を済ませて漫画喫茶をでた。
この後どうしようかと悩んでいると、ちょうど販売されているテレビにあの家族に関するニュースと共に蒼のことが流された。
内容を聞いたご老人は「かわいそうね」と一言つぶやいた。蒼は何も感じずにその場を去った。
人気のない廃墟を見つけ、その中に入ると買っておいたパンにかぶりついた。
甘いのが口の中に広がりつつも、パンが水分を吸っていく。
「はぁ、それにしても、次はどーしよっかなぁ」
蒼はパンにつかぶりつきながら思った。ここにいてもいつかは警察が来てくるかもしれないと考えながら次の場所に行こうとさえ考えたが、あいにく絶賛ただいま指名手配中。会ってしまった以上そこで終わりというなんとも面白くないことには遭遇なんてしたくない。
そう思いながらパンを食べ終え、しばらくの間どこに行こうかと考えた。
マスクを被り、帽子をかぶると廃墟を出て街中を歩いた。
街の中を歩いていくごとに何枚か蒼の顔が貼られていた。蒼はそう簡単に店の中に入ったら警察に連絡されるなと思いながら街の中を歩き続け、食べ物を買う際だって気をつけながらコンビニなどに入って行った。
歩く中、女子高生たちが言った。
「最近あの殺人鬼のニュースばっかだよねぇ」
「うん、そもそもなんで捕まらないんだろ」
「犯人がそれほど逃げ足早いってことだよ。今日なんか、家族の中の長男がその殺人鬼に殺されたっていうニュースが流れているらしんだよ」
その言葉にもう1人の女子高生は「うわぁ、最悪」と一言つぶやいた。
蒼はその話にまぁ少しだけ理由あって殺したんだけどねと心の中で言った。
蒼は今度はどんなやつにしようかと考えながら街の中を歩きながら周りを見渡した。家族、高校生、女性、男子、どれもこれも殺しても面白くなさそうな奴らがいるばかりだった。
そんな時ふと、ある女子高生が横切り振り返った。
見ると、身長は156センチぐらいの大きさ、おまけに幸せそうな笑顔。それを見ていて思った。
殺したい。
そんな感情が沸々と湧き上がっていき、気づけばその子の後を追っていた。ICカードには上限を達しないほどのお金が入っているためひっかかることはない。彼女のことを見つめがら後を追い続けた。
その子は友達と離れると1人で家に向かって行った。数分歩くるとその子の家についた。
大きさはそばにある電柱の大きさ、屋根は茶色で壁は薄い茶色とした家。すごい家だなと思いながらもこの場所の印をつけておこうと思いながらそばにある植木鉢の横に赤いテープを貼った。
そして、辺な目で見られないようにその場を早めにさっていった。
今日の分の食を買い、人気がない廃墟に向かった。古びた屋上に上がり、キラキラとひかる街を眺めながら買った食べ物にかぶりついた。このキラキラと光る街の中にどれだけの幸せと共に不幸な人生を歩んでいる人もいるのだろうかといつも考えた。
食べ終え、歯磨きもすると寝床を探した。5階建てのマンションを眺めた。ここらへんが良さそうだと思いながらナイフをポケットの中に入れた。
2階に行き、光が付いている部屋のインターホンを鳴らした。
「はーい」
中から女性の声が聞こえた。
「宅配便です」
蒼はそういうと、女性は警戒なしに扉を開けた。その瞬間に口を押さえ、床に押し倒すと喉を切り裂いた。
扉を閉めて鍵をかけると、まだ微かに息があるのか「がはっ」と言いながら首を押さえている。
蒼はお構いなしにナイフを心臓に刺すと、すぐに息倒れた。
「よし」
蒼は部屋の中を探索した。可愛らしい小さい机、ベット、友達と撮った写真がいくつか並べられていた。
タンスの中を探すと、大きいキャリアケースが置かれていたため、その中に女性を詰め込んだ。
「ふぅ、これは後でお風呂にいれよう」
蒼はそう言うと、お風呂場に向かい、シャワーを浴び、タオルで濡れた髪を拭きながらテレビを見た。テレビにはお笑い番組が流れている。
冷蔵庫の中身を見てみると、ビールやお野菜、そして肉など軽いおつまみなどが置かれていた。
おつまみとビールと取り出し、ベットの上に腰掛けてビールの蓋を開けて、口にした。
久々のお酒と共に美味しいおつまみはとても殺人の疲れに癒されてしまった。
(ふぅ、しっかしやっぱ人殺すのも楽じゃないな。体力は結構使うけど)
蒼はそんなことを思いながら口にした。飲み終えると、歯磨きをした。
ずっとテレビには客の笑いと有名人の笑いで溢れかえっていた。
「うーん、特に何も面白くもないなぁ」
蒼はテレビのチャンネルと変えると、次にはニュースがやっていた。見てみると、蒼に関することが出ていた。
「おー! 立派に顔が出ているなぁ」
蒼はテレビに出ている自分の姿に関心をしていた。
「さぁてと、あの女の子、どのように殺そうかなぁ」
そう思いながらテレビを消し、洗い場の方に置かれているキャリアケースをお風呂場に置くと、そのままベットの上で眠ったのだった。
翌朝、蒼は歯磨きをして身支度を整えると部屋を出た。部屋を出るとちょうどマンションに住んでいるのか女の子が立っていた。
「おにーさんおはようございます!」
女の子は純粋な笑みで挨拶をした。蒼は微笑み返しながら同じく挨拶をした。
蒼はその横を通り、エレベーターに乗って一階まで行き、そのままそのマンションを去って行った。
カバンの中に入れていたパンに齧り付きながら歩き、あの女の子の家に向かった。流石に、平日なためあの女の子はいない。もし共働きをしていたら家にいるため、夕方の3時ごろに部屋に入り込もうと考えた。
その間にどこで暇を潰そうかと考え、とりあえず街の中を歩いた。
街を歩くと、保育園の子どもたちが先生とお散歩をしていた。笑顔で歩きながら外の風景を眺めている。
蒼は歩きながら考えた。公園の近く、店の近くなどを歩いていくうちに思わずお腹が空いたためレストランに入った。入ると、ちょうどお店の中にあるテレビには殺した家族のことがテレビに流れていた。
「警察からの証言によリますと、家族は自分のせいと言葉を繰り返し言っているため、その他の発言はありませんと言うことです」
蒼はそれを眺めて壊れたんだなと口にしてメニュー欄にあるぱんとスープを頼んだ。もちろんその時は顔を見られないようにとメガネなどで誤魔化しながら。
食べ終え、お金も払い終えるとそそくさと外に出た。腕時計を見ると、12時になっていた。
「おぉ、もぉこんな時間か」
蒼は行ってみるかと口にすると、最初に修理店の中に入った。様々なものがたくさんある中どれにしようかと思っていると、チェンソーが目に入った。
「これいいな」
蒼は小さめのチェンソーを手に取り、会計を済ませて、その家に向かった。
あの子の家に向かい、周りを見渡してインターホンを鳴らした。
「はーい」
「宅配便です」
蒼はそう言うと、「えっ? 何も頼んでいませんけど」と口にした。
「ですが、こちらの住所宛に書かれているので、できれば確認してくださると嬉しいです」
「はぁ、わかりました」
奥さんらしき人は多少警戒をしていたものの、扉を開けてくれることを承諾してくれた。蒼は扉の前でナイフを持つと同時に扉が開かれた。
すぐに奥さんの口を塞ぎ、ナイフを首元に当てた。
「騒がないでくださいね」
蒼はそう言うと、奥さんは必死に首を縦に振った。蒼は奥さんの口を塞いだままリビングに行った。
リビングにあるのはテレビ、ソファ二つ、テーブルに椅子が四つ、目の前に大きな窓に白いカーテンが飾られている。
天井には一つの大きいライトがつけていた。
「ねぇ、ガムテープはどこにある?」
蒼は奥さんに聞くと、震える手で指を指した。指したのはキッチンの方。そこまで行くと、棚の扉を指差した。
開けると、そこにはガムテープがいくつもあった。蒼は一個だけ取り出し、奥さんの口を塞ぎ、手足を縛り上げた。
一応ためカーテンを閉めた。
「よし。これでOKだな」
蒼はそう言うと、再び奥さんの方に近づいてナイフを首元に置いた。
「娘さんは5時過ぎに帰ってくる? はいだったら頷いて。もし違かったら横に首をふって」
蒼の言葉に奥さんは首を縦に振った。
「ほぉ、何か習い事はしているか?」
また首を横に振った。
蒼は立ち上がり、辺りを見渡すと家族写真が掛けられていた。
手にとって見てみると、写っているのは3人だけだった。
「3人家族、父親は6時すぎか?」
母親は蒼の質問に頷いた。
「そうか、ちなみにー」
蒼はそばにあったスマホを見ると、ロックされていた。
「スマホの番号は? 俺が指を一つずつ動かすから頷いてね。もし、嘘ついたら殺す。いいね」
蒼は首元にナイフを置くと、母親は必死に頷いた。
指を一つずつ動かし、母親はそれに従って頷いて六桁の暗証番号を教えた。
母親の教えてくれた通りにするとスマホの画面は様々なアプリが表示された。
「よし、これで何回か確認はできるな」
ニヤリと微笑んで言う蒼の言葉に母親は何か言っていたがガムテープ越しでわからない。
「あー、ちょっとお宅の娘さんを昨日お見かけいたしまして、すっっっっごい幸せそうだったんで、選ばせてもらいました」
蒼は笑顔で言うと、母親は殺されると察したのか暴れ始めた。
「あー、少しの間だけ、寝てて」
蒼はそう言うと、スタンガンを首元に当てた。
動かなくなり、そのまま寝たことを確認すると冷蔵庫の中に入っている飲み物を頂戴した。
「よし」
蒼は飲み物を置くと、2階に上がった。
2階に上がると扉が三つあり、そのうち一つには
(もしかして、あの子の部屋かな?)
蒼は扉を眺めながら思うと、ドアを開けた。部屋の中にはベットと勉強机。お友達と撮った写真や右端には本棚に服の棚があった。
「ふぅん、これがこの子の部屋か」
蒼は引き出しの中を漁ったり、本棚の中にある本を眺めたりなどをして時間を潰していく中、あることを思い出した。
(あっ、廃墟でショーを行う際に運ぶための何かあるかな)
すぐに本を読むのをやめて次の部屋の中に入った。中には大きなタンスが二つと夏の服と思われるものがパンパンに詰め込まれていた。探すと大きめサイズのキャリアケースが三つ置かれていた。
(この中に入れるか)
蒼はそう思いながら三つのキャリアケースを一個ずつリビングの方に置くのであった。
数時間後、約束通りの時間帯になったが遅いのかまだ来ない。
(どこかによっているのか?)
そう思っていると、玄関の方から「ただいまー」と言う声が聞こえてきた。
(きた!!)
蒼はすぐに身を隠した。
「お母さーん。ただいまー、今日も疲れたよぉ」
真希の足跡が徐々にリビングの方に向かっていくのを感じる。その瞬間に母親が目を覚まし、ガムテープ越しで娘に声をかけていた。
真希はその声に駆け足で近づくと、母親の姿に驚愕の声が出た。
「どっ、どうしたのお母さん!!」
真希がそう叫んだ瞬間、蒼は背後からスタンガンを首に押し付けた。
「んーーー!!」
「よし、あとは父親か」
蒼はそういうと、もう一度母親を眠らせた。
真希の手足を縛り、口元にガムテープを貼り付けた。
「ふー、お父さん帰ってくるかなぁ」
蒼はそう思いながらスマホにコードを刺し、
2時間待っていると、ついに獲物が家の中に入って行った。
「ただいまー、真希ー。かあさーん」
父親は愛する2人の名を呼びながらリビングに向かった。蒼はその瞬間に背後を回ると父親をスタンガンで眠らせ、ガムテープで両足を縛り上げて口を塞いだ。
カバンの中を漁ると、車のキーを見つけるとポケットに入れた。父親をキャリアケースの中に入れると車の後部座席に押し込み、次には母親の方をと思うと再び目を覚ましたためすぐにスタンガンで気絶をさせて父親を同じ場所に。
娘の方はバックドアの方に押し込んで車を走らせた。場所はこの前とは違う場所の人気のない廃墟の中。その中でショーを行おうと考えた。
車を運転していると、ガサゴソと音を立てながらキャリアケースが揺れ、声も聞こえてくる。
「目が覚めたか」
そう言うと再び車を走らせた。
目的の廃墟に着くとキャリアケースから一つずつ外に運び出し、最初に真希のキャリアケースの蓋を開けると、涙を浮かばせながら震えていた。
「あっ、やっほー真希ちゃん。こんばんはーなのとおめでとうございまーす。なんと貴方さまは僕のおもちゃになることに決定致しましたーーー!」
蒼は拍手をすると、真希は体を暴れさせながらガムテープ越しで泣き叫んだ。
娘をどうしようかとあたりを見渡すと、古びた椅子が転がっていた。
すぐにその椅子を真希の前に置き、蒼は真希をガムテープで縛り付けた。そして、ガムテープを剥がすと娘は震えながら助けを懇願した。
「おっ、お願いします、こっ、殺さないでください」
次には父親と母親のキャリアケースを開けた。2人は警戒の眼差しを向けながらも娘がなぜだか椅子に縛り付けられていることに疑問を感じていた。
蒼は父親の口につけているガムテープを剥がすと、父親は怒鳴りつけた。
「おい、頼む!! 娘に何かするのであったら俺にしろ! 娘に痛い思いはさせないでくれ!」
父親はそう叫んだが、蒼はただ笑みを浮かばせて「嫌だ」と言った。
「じゃあ今からたのしーたのしー解体ショーの時間だよー!」
蒼はそういうと、カッパを着て買ったチャンソーを取り出して動かせた。
「おい、まさかお前、やっ、やめてくれ頼む!! 娘には手を出さないでくれ!!!!」
父親は何をするのかを察したのか蒼に懇願をした。
「嫌だなぁ。俺はそう簡単には殺すなんてことはしないよ。じっくり、ゆっくりとね」
蒼はそう言うと、チェンソーを起動させた。
そして、娘に徐々に近づいていき、早速足にチャンソーの刃を入れた。血飛沫が吹き飛びあたりを真っ赤に染め上げていくなか、超絶な痛みに真希は叫んだ。
その声を聞くごとに全身が興奮に満ちた。
(あぁ、いつ聞いてもこの興奮は治らない)
切っていく中で、父親も悲痛の叫びをした。
「うぁぁぁぁぁぁぁぁ! やめてくれ! やめてくれぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
父親がそう叫んでも蒼はやめず、そのまま真希の足はポトリと外れた。
「よし! さぁ次々ー!」
蒼はそう言ってもう片方の足も切り落とした。真希は壊れてしまったのか白目を剥きながら涙を流している。
「ふぅ。さぁて、次は」
と言いながら腕を切り落とそうとすると。
「おい!! 手を挙げろ!!」
横から光と共に男の叫びが聞こえ、見ると警官2人が銃を突きつけていた。
「マジか」
「動くな!! 動くと撃つぞ!!!!」
蒼は深いため息を着くと、手を挙げてそのまま地面に座った。1人の警官はすぐに蒼を取り押さえ、手錠をかけた。
もう1人は早々と父親に結びつけているガムテープを取り外すと、父親は服を脱いで娘の足を押さえた。
母親の方も外すと、母親も服を脱いで足から出る血を押さえつけていた。
そしてもう1人の警官は救急車と応援を呼んでいるのか携帯を耳に当てながら叫んでいる。
蒼は地面に押し付けられながら思った。
(あぁ、これが捕まると言うものか)
そう思いながら他の警官が来るまでとり押さえつけられていた。
「あれはいい経験だった。なかなかの体験でもあったし、何よりも押さえつけられる感覚が中々良かったよ。でもまさか、不審な車を持ったのを見つけて連絡をされるとはなぁ。さすがだ」
蒼は捕まったことに悔しがるどころかむしろ楽しい体験ができた子供のように語るためが更にイライラした。
「お前、殺そうとした相手は夢だったバレーボール選手を諦めた他に、心を壊して今も病院通いだ。お前が、あの子に」
龍樹は拳を握りしめながら心の中で思った。
今すぐ、目の前にいる奴を殺したいと。
「ははは、それは悪いことをしたな。でも、これで話は終わったから、次に気になることがあるだろ。なぜ俺が先生を呼んだかを」
蒼は笑みを浮かべながら言った。
(あぁ、そういえばこいつ、最後に話すって言っていたな)
龍樹は思い出しながら、なぜ自分を呼び出したのかを蒼は話だした。
「俺がね、龍樹先生を呼び出した本当の理由はねぇ。昔一度だけあった、いわば同級生なんだよね。一年間だけだったかな?」
「は?」
突然何を言い出すのかと思えば、同級生と口にした。
俺とこいつが同級生、どうゆうことだ。
唖然とする龍樹の顔に蒼は
「あれ? 俺のことに関する資料あんまり見なかったのかな?」
蒼は不思議そうにしながら龍樹に言った。
龍樹は我に返り、思わず怒鳴りつけた。
「はぁ!! ふざけるな! 何を言って」
「〇〇高等学校」
「!?」
龍樹は高校の名前を聞いてとまだった。
それは、一年だけ通っていた高校だったからだ。
一年だけかの理由は父親の仕事の転勤。そのために学校を転校したのだった。
「う、そだろ。そもそも」
「龍樹くん、部活でバレーボール選手だったでしょ。それで全国大会まで行って、それで君が体育館の舞台の上で名前を呼ばれ、受賞の紙を受け取ってね、ねっ。ここまで重要に知っていたら信じるでしょ」
体育館での受賞の様子を事細かく説明してくる時点でこれで自分はこいつと同級生だったことを感じさせられた。
「中々とても真面目そうでさぁ、見た時中々真面目そうだし、おまけに殺し甲斐もありそうだったし、殺そうかなぁと思ったんだけど、このまま殺してもいいのかな? 面白いことがこれからも起こりそうなんじゃないかって、そう感じさせられたんだよねぇ。でもまさか、こんな運命なことがあるなんて思いもしなかったよ」
蒼は高笑いをして言った。
「じゃあ、お前が俺を呼んだってことをは同級生に直でこの話をさせて、どんな恐怖を感じさせられるのかを見るのが楽しみそうだったからなのか」
龍樹は考えたことを言うと、「うん!」と蒼は笑みを浮かべたまま返事をした。
「でも、サイコーに良かったでしょ。生の殺人鬼の成り立ち、同級生についてさ」
蒼の言葉に龍樹は「黙れ!!!」と叫び、立ち上がった。
「それ以上、同級生など口にするんじゃない!! お前なんか同級生なんかでもなんでもない、ただの異常者だ!!!」
龍樹の叫びに、蒼は頬を膨らませた。
「ひどいなぁ。それからね、なんで君が転校したのかをわかったのは先生から聞いたんだ。確か」
「もぉ、いい。これでなんでお前が俺を呼んだかの理由もはっきりした。お前の願い事も終わりだ」
龍樹はそういうと、カバンを持って早々と牢屋を出た。
外で待っている喜之が心配の顔をしながら近づいた。
「1週間ご苦労様だった。大丈夫か? すごい顔色が悪いぞ」
「……すいません。喜之さん、できたらあいつの経歴見せてもらいませんか?」
「えっ。いいが、どうした」
「言いたくありません。けど、見せて欲しいんです」
龍樹の言葉に喜之は理由も聞かず、「わかった」と一言言って一度警察署に向かった。
警察庁に行き、犯罪歴の保管場所に向かった。保管担当の警察官らしき人はく喜之の言われた通りに蒼の犯罪歴を検索した。
「出ました」
警官の言葉に龍樹は蒼の経歴をみた。
そこにははっきりと龍樹が一年だけ通っていた高校の名前が書かれていた。
(マジかよ、)
龍樹は内容を見て愕然とした。
「だっ、大丈夫か龍樹くん」
「はい、大丈夫です。それから、ありがとうございます。見せてくれて」
「構わんが、本当に大丈夫かね。さらに顔色が」
「本当に大丈夫です」
龍樹は喜之にそう言うと、調べてくれた警官にお礼を言うと警視庁を出た。
喜之は車を運転しながら龍樹に質問をした。
「龍樹くん、ちなみになんだが彼がなぜ君のことを指名したのかを聞けたかい?」
「……これ、他の人には黙っててくれますか?」
「あぁ、いいが。なんだったんだ」
喜之は龍樹の言葉に異変を感じながら返事をした。
龍樹は蒼と同級生だって言うことを話すと、喜之は驚愕の顔をした後に「なるほど」と口にした。
「あいつが君にだけ昔の話をしたと言うのは、同級生に自分の成り立ちについて語ってどんな表情をするのかを見たかったから君に話したと言うことか」
「はい、そうみたいです」
「……つくづくいかれている野郎だ」
喜之はそう言ってハンドルを強く握った。
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