第5話 ナニモノ

ピッ・・・ピッ・・・ピッ・・・とゆったりとしたリズムで機械的な音が無機質な部屋の中に小さく響いた。




 アラヤの意識が暗闇の中から浮上する。


 自然と無意識に瞼が持ち上げられ、眼球に光が入ってくる。それに伴って意識も少し鮮明になり、アラヤは自分が目覚めたことに気が付いた。




 「・・・ん?」




 目に飛び込んできたのは、高く、真っ白な天井。


 一瞬、アラヤ自身の部屋であると判断しそうになったが、あまりに天井が高く、そして無機質すぎるということに気が付いた。




 「どこだ?ここ」




 (前にもこの言葉言ったな)




 そう自分で呟くと、思考の中に一つの点が現れた。




 (ここって、あの真っ白な空間か?)




 しかし、その考えは再び別の考察によって掻き消される。


 アラヤが言っているあの空間というのは、一度死んだときに見た距離感がつかめない真っ白な空間のことを言っているのだろう。


 アラヤは、やはりこの空間はその真っ白な世界ではないと考えた。




 (あの世界はこんな限りがある空間じゃなかったしな)




 最終的にアラヤが下したのは、自身が全く知らない場所であるということだった。




 そうなると、この場がどんな場所であるのか把握するために、アラヤは体を起こそうと試みる。


 しかし、ガチャ、と金属が当たる高い音がして、アラヤの起き上がるという行動はそしされてしまったのだった。




 「えっ?」




 突然、外部からの影響で起き上がれなかったために、アラヤは混乱する。




 今度は体を左右に揺さぶってみて、起き上がれないか確かめる。今度も金属音とともに身体が強制的に動きを阻止される。足を動かしてみても結果は同様であった。




 「なんだよ・・・これ」




 なにが起きているのだろうか。


 混乱するアラヤは、取り合えず顔だけを動かして、辺りを確認してみる。




 無機質でただただ広い場所だった。


 広さで言えば、学校にある体育館ほどの広さであろうか。かなりの広さをしていながら、アラヤの辺りには何もなかった。つまり、アラヤのベッド以外この空間には存在していないのである。




 混乱するアラヤをよそに、この部屋に存在してた大きな扉開いた。




 「おー、起きたんだねぇ。具合はどうかな?」


 「おはようございます」


 


 2人の人物が入ってきて、ゆったりとアラヤの方へと近づいて来る。


 その片方には見覚えがあった。


 アラヤが救った少女、ミハルだ。


 そして、もう片方には見覚えはない。ただ、着ているものが少女のものと同じであるため、アラヤはとりあえず不審者とかではないと判断する。




 「ボクは佐藤。君に助けてもらったこの子の上司だ。よろしくね〜」


 「ど、どうも」




 近づいてきたのは、二十から三十代くらいの男性だった。言葉が軽く、飄々とした人物だという印象がアラヤにはあった。




 「私は柊ミハル。今回は助けていただいてありがとうございました。」


 「無事でよかったです」


 「あなたに助けてもらったおかげで生きてます。感謝してもしきれません」


 「いえ、助けられてよかったです」




 お互い、会話がぎこちない。


 これは二人ともが若干の人見知りであるからだろう。




 ミハルはアラヤの方を見て、深々と頭を下げた。長い白髪が波を打つように静かに揺れる。


 自分と同じくらいの年の少女があんな大きな怪物と戦っていたのかと思うとアラヤ中から尊敬の念が浮かんでくる。一度逃げようとした自分が少し恥ずかしくも思えてくる始末だった。




 「まあ、名前以外の自己紹介もはさみながら、ちょっと君に聞きたいことがあるからね。協力してくれるかい?」




 佐藤がアラヤにそう問いかける。




 「あ、はい」




 若干戸惑いながら、アラヤは頷く。


 アラヤはすでに置いてけぼりにされがちである。なにせ、アラヤはいまだに拘束されたままであるし、それがなぜ拘束されているのか、よくわかっていないのだ。その中でアラヤが佐藤の言葉にうなずいたのは、アラヤの疑問がそれによって解消されると思っているからである。




 優しい眼で見つめられたアラヤは、少しであるが心の余裕を取り戻す。


 アラヤが頷いたことに満足そうにはにかみながら首を前に傾けた。




 そうして、佐藤は言葉を紡ぎ始めた。




 「まず、君の名前から教えてもらおうか。近くに持ち物はあったから、それで名前くらいは調べさせてもらおうとおもったが、生憎血獣との戦闘でボロボロになっていてね。


 持ち物に関してはあとで弁償させてもらうよ。」




 あたまを軽く下げながら佐藤は言う。


 言葉は軽くはあったが、きちんと誠意が伝わってくることで、アラヤの気は悪くない。それどころか、アラヤは好感を持った。




 「あ、ありがとうございます。


 えっと、俺は香月アラヤです」


 「アラヤ君ね。改めてよろしくー」




 一呼吸の間を佐藤がはさんでから次の話題へと移る。




 「そうだな~、先ずは僕たちに何か質問はないかい?こちらも協力してもらうんだ、できるだけこたえさせてもらうよ」


 「えっと、じゃあ、佐藤さんとミハルさんは、いったい何者なんですか?」




 「うん、ボクたちはね、政府直属血獣対策本部局の構成員だよ。まあ、あの夜にミハルちゃんがアラヤ君の目の前で戦ったことで、大体察しはついてたかな?」


 「まあ、大体は。でも、改めて二人がそうだって聞いて、すごいと思いました。」




 これはアラヤの心の底からの言葉だった。


 自分のことを優先にせず、まず他人を思えるその姿にアラヤは素直な称賛をお送りたいと思っていたのである。




 「そう言ってもらえてこちらとしてはありがたいよ。命がけの仕事だけど、誰かに直接感謝を言われることは少ないからね。ありがとう」




 にこりと笑顔を作って、佐藤はそう言った。




 「ほかに何か聞きたいことは無いかい?」


 「えーっとじゃあ、一番聞きたいことを」


 「なんだい?」




 「なんで俺って拘束されてるんですか?」




 少し、佐藤の雰囲気が変わる。


 怖いものではない。かと言っては穏やかな雰囲気ではない。


 少しの不気味さを孕んだ優しい笑顔の裏には、アラヤを品定めするかのような意思があった。




 「そうだな~。君の言葉をできるだけ信用したいけど、此処は血獣を対策するところだからなぁ」


 「・・・??」




 口元の笑みは絶やさない。しかし、確かに鋭い眼光がアラヤを射止める。




 「質問に質問で返させてもらうよ」




 アラヤは辺りが一気に静かになった気がした。




 「君は一体何者だい?」




 異様な雰囲気に、アラヤの本能が警鐘を鳴らす。下手なことを言えば、殺される。そう、直観で感じる。


 そして同時にアラヤが理解する。その殺気は佐藤により感じさせられたのだと。


 アラヤの首元にはナイフが突きつけられているも同然だった。




 恐ろしい人物である。


 アラヤは、佐藤の評価を一新した。やさしくはあるが、油断などひと時もしていない甘さの一切ない人物だと。




 「君、あの夜に血獣を吹き飛ばした本人でしょ?違うかい?」


 「・・・はい」


 「うん。はっきり言って、生身の人間にそん芸当できるはずがない。さらに言えば、ボク達討伐員は強化スーツをしているが、それでも血獣に大穴を開ける、なんてことできないからね」


 「・・・」


 「それを踏まえて聞かせてほしい。




 君は、ナニモノなんだい?」




 戦慄が走る。


 自身が何者であるか、アラヤは逆に問いたいと思っていた。


 つまり、聞かれても答えることなどできない。アラヤはこれから起こる事態を予測することが不可能になっていた。




 「わかりません・・・」




 そう答えるしかなかった。それ以外の言葉が出てこなかった。


 しかし、発した小さな言葉が、きっかけでアラヤの気持ちが溢れ出した。




 「俺が一番わからないんです。一度死んで、生き返って必死で戦って、自分でも理解できない力が出て、もう、何が何だか分からないんです・・・」




 苦しそうに吐き出す言葉がとどめなくあふれる。それと同時に瞳から涙が溢れ出す。




 「自分がナニモノであるのか、わからないんです。




 教えてください、俺は、ナニモノなんですか?」




 いつの間にか、アラヤが理解する以前に言葉が出ていた。


 悲痛な叫びのような言葉が、だだっ広い空間に木霊して空しく消える。


 静かになった空間で、一人、アラヤの鼻をすする音がする。




 「君のことはよくわかった。うん。」




 泣いているアラヤを後目に佐藤は話を進める。




 「実を言うとね君の正体について、君よりも此方が把握している」


 「え?」


 「自分の身に何が起きているか、聞く覚悟はあるかい?」




 品定めをするような眼はもはや影も形もない。今度はアラヤのことを信じ、その覚悟を問う眼だった。


 口元の優しい笑みが、アラヤの心労を和らげるような雰囲気を醸し出している。




 「・・・はい」




 眼は若干の赤みを帯びながらも、決意を示す。


 それに満足げにはにかむのは佐藤だ。




 「いい眼だ。




 じゃあ、単刀直入に言おうか。君は




 『半血獣』だ」




 「半血獣・・・」




 アラヤのつぶやきが辺りの空気を揺らす。


 今まで、何も口を出してこなかったミハルが何も反応を示さないことを見るに、アラヤが半血獣であることは知っていたのだろう。




 「そう、君を拘束している理由。それが、君が半血獣であるためだ」


 「そうだったんですね・・・」


 「ああ。つらいだろう。今はすべてを受け入れなくてもいい。だが、ゆっくりと、確実に自分に何が起きたのかを理解はしてほしい」


 「わかりました」




 力が抜ける感覚があった。


 もはや自分は人間ではなかったという事実が、否応にもアラヤにつらい現実を打ち付ける。


 そのなかで、アラヤには疑問が浮かび上がる。




 「俺はこれからどうなるんでしょうか」




 質問に対し佐藤が口を開く。




 「そうだねぇ。難しい質問だ。


 君の気持ちや行動によって変わってくるって言った方がいいね。


 はっきり言って、初めてなんだよ、君みたいな『半血獣』ってのは。だからこちらとしても、上層部で意見が割れてる。


 今ははっきりと答えを出せなくてごめんね」




 「いえ、ありがとうございます」


 


 佐藤から視線を外しながら、アラヤは感謝を言葉にする。しかし、言葉に力はなく、不安な様子がうかがえる。




 「僕個人としては、君は信用できるよ。


 さっき試したのは君も理解できてたと思う。


 自分の正体を隠してなにかしでかそうとする『人間』はあんな純粋な涙は流さない。後極めつけに、君のことは聞いたよ、ミハルちゃんにね。


 勇敢だったそうじゃないか。僕はそんな人間をできるだけ信用したいよ。


 人間は信用してこそ、その真価を発揮できると僕はおもうしね」




 「ありがとう、ございます・・・」




 アラヤの眼に熱いものがこみ上げた。


 信用してもらえることが今は最高にうれしかった。




 「アラヤさんは、信用できる。私もそう思います。


 アラヤさんが私を助けたことは事実です。その事実があるだけで、私はアラヤさんをしんようします」




 ミハルがアラヤにそう声をかける。


 なにより、一番初めにアラヤのことを信用したいといったのは他でもないミハルだった。




 「本当にありがとうございます・・・」




 アラヤの喉から絞り出されるように声が溢れた。それは本人には止めようがなく、心の底から自然と飛び出したものだった。




 しばらくアラヤが落ち着くまでの間言葉は紡がれなかった。そして、アラヤが落ち着いたのをみると、佐藤が再び空気を揺らした。




 「こちらからの質問いいかい?」


 「はい」


 「君は、あの時、あの場で『半血獣』となったのかい?」


 「そう、だと思います。あの時はたぶん一度ちゃんと死んでたと思うので。目を覚ますとそうなってました」


 「その言葉は私が証人になります。確かにあの時アラヤさんの身体は血獣の爪により、見るも無残な死骸になっていました」


 「ええ・・・」




 見るも無残って・・・。と言葉を出しそうになったが、心の中にとどめておく。


 そんなアラヤの気持ちを察することもなく、ミハルは続ける。




 「アラヤさんは生き返ったといった方がいいです。あれは自己再生とかの域を超えていると思います」


 「んー。アラヤ君のことに関しては謎が深すぎるね。何が原因なのか、わかりかねる」




 そういえば。とアラヤが続ける。




 「どうやって俺を半血獣状態であるって判断したんです?」


 「あー、それね。君の身体をちょっと調べさせてもらった」


 「解剖とかですか?」




 にやっと、佐藤が悪い笑みを浮かべる。




 「どうだろうねぇ」


 「え・・・」




 アラヤが絶句する。




 「ふふふ。君の身体に勝手にメスを入れて、内臓とか全部ひっくり返したり・・・


・・・あいた!?」




 すぱーーーんっと非常に心地のいい音がして、佐藤が頭を押さえる。




「こら、佐藤隊長。あんまり民間人をからかわないでください」




音を立てたのはいつの間にか佐藤の後ろに立っていた人物が原因だったようだ。


 翡翠色の軽くウェーブを揺らしながら近づいてくる。身長は女性にしてはかなり高く、すらりと線が細い。プロポーションは抜群で、出るところはでて、細い部分はすらっと細い。眼鏡を掛けたその顔はキリっとしており、クールな雰囲気を漂わせる綺麗な女性だった。




 「どうも、こんにちわ。私は、血獣対策本部技術研究開発所所属、九条ヒスイです。よろしく。」




 にっこりと笑顔を作り、アラヤに話しかける。アラヤは美人に見つめられ少し鼓動が上がるのを感じた。


 目の前の女性はミハルとはまた別の魅力が或る女性だった。




 「君の体のことについては私からお話するね」




 そう言って、ヒスイはタブレット型端末を持って説明を始めた。




 「まず、お二方から聞いてはいると思いますが、今の君は『半血獣』という状態です。


 半血獣であると判断した材料は、アラヤ君に巡っている血液です。半血獣と言うように、アラヤ君の血液は全てが血獣同様の血が流れています。ただ、肌の色や、髪の色から察するに完全に血が浸透しているわけではなさそうです。


 理性も完全に残っているようですし、完全な血獣とは言い難いんです。あとは、体組成も変わっていませんでした。そこは少し肌の一部を取り除かせて頂きました。すみません。


 これらを総合して判断すると、アラヤの体は半血獣という状態が一番適切かと思われます」


 「なるほど、ありがとうございます」




 半血獣。


 自分の体が全く別のものになったという実感はなかった。何せ、力が強くなった程度でなにか自分の中身とか、意識とか、あるいは体の一部とかそう言ったものが変化したことは全くないのだ。


 それが故に実感など湧くはずもない。


 ただ虚しくその現実を受け入れるしか今のアラヤにはできないのである。


 アラヤは三人から視線を外し、真っ白な天井を眺めた。




 (ほんとに、どうなるんだろ俺)




 「ああ、そういえば、佐藤隊長」


 「ん?なんだい?」




 漠然としているアラヤは放って置いて、会話は進んでいく。




 「アラヤくんの拘束解放許可が出てます。ただし、監視要員の討伐隊員が2名以上必要だそうです」


 「おー、いいねぇ。ボクのオネガイを聞いてくれて上層部はいいひとばかりだね」


 「・・・」


 「ん?2人ともどうしたんだい?」


 「「なんでもないです」」


 「気になるな〜」




 コホン、と咳払いを佐藤が一つついた。


 そして一呼吸の間を置いて、口を開く。




 「という訳だ、アラヤ君。君の拘束を解くよ。まあ、この対策本部からは出すことはできないし、僕とあと誰にしよう・・・まあ、もう一人隊員がつくから、それは了承してくれ」


 「い、いえ。解放して下さるだけで十分です。でも、俺って危険じゃないですか?いきなり拘束を解くとか・・・」


 「ん〜。はっきり言ってしまうと、君の存在は初めてでさ。君みたいのをどう扱っていいかもわかりかねてるんだろう。人なのか、ケモノなのか。ま、そこは僕の提案お願いを聞いてくれたみたいだしね。


 とりあえずは理性があるから人として扱うんじゃないかな。まあ、対策本部に何が不利益を働いた時点で処分されるだろうけどね」


 「そうですか・・・。まだ、人として扱って頂けるんですね」


 「うん。この場にいる三人は少なくともそう思うよ。君は良い人間だ。僕たちが胸を張ってそう言おう」


 「ありがとうございます・・・!」


 「それじゃ早速拘束を解こうか」




 アラヤのそばにあるタッチパネル型の制御端末に佐藤が手を翳す。


 電子的な音声が鳴り響き、それに従うように佐藤が操作を行っている。




 『生体認証・・・確認。


 Secret


 サーバーに接続。


 解除認可・・・確認


 対血獣捕縛装置スレイプニルを解除します。


 対象の行動に留意してください』




 プシュゥゥゥと気体が抜ける音がして僅かな揺れとともに拘束が外されていく。


 かなり厳重に拘束されていたようで、外されるのは一瞬ではなく、段階的に解除されて行った。


 待つこと十数秒、アラヤの体は足を地につけ、完全に立ち上がった。




 「お疲れ様〜。


 こちらの都合で拘束しててごめんね」


 「いえ、得体のしれない俺を解放してくれるだけありがたいです」


 「そう言って貰えるとこちらも助かるよ」




 佐藤がアラヤと言葉を交わす。




 「あ、そういえば、さっきヒスイちゃんが言い損ねてたけど、アラヤ君、自分の胸見ておいた方がいいよ。実感が湧くから」


 「え、はい」




 そう言うと、アラヤは着せられていた真っ白なポンチョのようなものの胸あたりを開く。




 そこには、光を受けて深紅に輝く宝石が埋まっていた。




 「これって・・・」




 自身の胸に埋め込まれた赤い宝石にはひどく見覚えがあった。


 大森先生に押し付けられたあの宝石と酷似していた。否、アラヤの胸に埋まったこの宝石はすぐに先生に押し付けられたものだと判断できた。




 「どうだい?自覚は持てたかい?」




 アラヤは自分の目の前の光景に目をそむけたくなる。




 「君には厳しい話だが、自分の置かれた立場をしっかりと理解してもらわなければならないからね」




 現実は冷淡にアラヤの心を焼く。


 ようやくアラヤは自身がヒトでないことを理解したのであった。




 「現実を見て、悲しむこともわかるだけど、もう一つ言わせてくれるかい?」




 佐藤はアラヤの心理を察することが出来る。人間の心を察することは佐藤にとって特異なことの一つであったからだ。


 しかし、佐藤は気持ちを察したとしても、その気持ちを汲むような甘い人間ではなかった。その冷淡さを自身で呪うこともあるのだが、其れはまた別の機会に。


 佐藤は口調を軽くして言う。




 「アラヤ君。君、働かない?」




 力が抜けそうになるほど軽く発せられた声が、辺りに響いて空しく消える。


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