第7話
私の自己紹介にみんな興味を持ってくれた。そう私はよく喋る。静かな時は静かだ。心得ている。
アリアが、娼婦で、罪を疑われ処刑されるからではない。
エリスが、うつくしく生きようとしていたからではない。
私はとにかく、独唱という意味の在有という名前を汚すわけにはいかない。父もストーカー対策で車で送り迎えをしてくれる。彼氏だっていつかは、まだ身体を交わらせたいとかは考えないが。初めては彼とだと思う。
彼もおそらく初めてだ。
従業員の全ての人間とそつなく会話ができた。例の小説のことを彼にだけはかいつまんで話し、理解を得、
たいせつにする
そう告げてもらった。
誰も私の名前、恋、大学生活、性について脅かさない日々を望んでいる。私は自慢の五年も伸ばした唸りのない美しい髪を。
いつも、うなじでゆい、彼の前でいつか裸で扇形に広がる日を待っている。
そんなことばかり考えているわけではない。考えていたのは目障り、と感じるほどのあの、フリーター女ことである。
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