第9話 天国の入り口で結婚式(陽side)③

 幸せ過ぎて、何も言わずに見つめ続けていたら、耐えきれなくなったようにあおくんが顔を赤らめた。


「な、何だよ」


 恥ずかしそうに眉間に皺を寄せたあおくんの顔も好き。

 本当は、どんな顔のあおくんも好きだよ。


「ありがとう! 嬉しい」


 二人で腕を組んでゆっくりと、花や蝋燭で飾られた白い祭壇へ向かって歩く。


 周囲には、あおくんのご両親とみちるちゃん、茜ちゃんと良平君。私のパパとママ。


 そして……初めてだけど、初めてじゃないくらい気持ちが通じ合っている友。



 陽人君!



「滝川さん、陽さん、おめでとうございます!」


 心からの笑顔で祝福してくれる彼に、私は感謝を込めて深く頭を下げた。


 いくら言葉を尽くしてお礼を言っても足りないね。


 だって、私の気持ちをいっぱい代弁してくれて、あおくんに伝えてくれた人。

 私とあおくんを繋げてくれた人だから。


「陽人君、初めまして。いつも、ありがとう」


 それ以上、何にも言えなくて、でも陽人君は嬉しそうに、安心したように笑ってくれたの。


 あおくんも「陽人のお陰だよ。ありがとう」って頭を下げた。

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