第4話 天国の花嫁(陽side)②

「陽ちゃん!」


 ぎゅっと抱きしめられて、私もぎゅっと抱きしめ返した。


 私たちの間に、言葉なんかいらないね。


 ただただ、二人で抱き合って、長い空白の時間を埋めていく。


「ずっと見ていたよ」

「うん、知っていたよ。陽ちゃんがいっつも隣にいてくれたこと」

「茜ちゃん、おめでとう! 良平君だったら陽も安心」

「良平、陽ちゃんのお墨付きもらえて喜ぶね」

「うふふ」


 二人で微笑みあって、また抱き合う。


 触れ合える。


 それだけのことが、こんなに幸せに思えるなんて―――


「ずっとこうしていたいけれど、陽ちゃんに会いたい人はいっぱいいるからね。どんどん行こう!」


 いつもの元気な茜ちゃんになって、私の手を引っ張ってくれた。


 また、花々の間から大好きな顔が現れた。


 パパ! ママ!


 先に死んじゃってごめんね―――そんな言葉が最初に溢れそうになったけれど、ぐっと堪える。

 

 だって、今日は幸せな日だから。

 悲しいことはいらないから。


 会えた喜びだけを両手に抱えて、二人の胸に飛び込んだ。


「パパ、ママ、ただいま!」


「「おかえり」」


 二人の笑顔は、やっぱり今日も優しかった。


 

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