第3話 天国の花嫁(陽side)①

 誰か呼んだ?


 私は突然、まどろみの中から揺り動かされた。


 ゆっくりと起き上がってみると、羽を瞬かせて空を飛ぶ天使が手招きしている。


 静かに立ち上がって歩き出そうとして、洋服の裾を踏みそうになった。


 長いドレス……綺麗!


 まるで天使の羽でできているんじゃないかって思うくらい、フワフワでキラキラな純白のウェディングドレス。


 うわぁ! 嬉しい。


 くるくると裾を翻して一回りしてみれば、天使がふふふっと笑った。


『みんなが呼んでいますよ。だから、特別』



 いつの間にか周りの風景が変わって、緑と青空に囲まれた白亜のチャペルの前にいた。


 目の前に続く美しい花々に彩られたアーチを辿って行く。


 知ってる。ここ。


 だって、天国ここへ来た時一番最初にくぐりぬけたから。


 その陰から、ヒョイっと懐かしい顔が飛び出した。


 茜ちゃん!

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