第2話 茜の祈り ②

 物心ついた頃には、もう一緒に遊んでいた。

 幼稚園から高校まで、毎日ずっと一緒。


 正義感が強くて直ぐに行動に出るあかねとは対照的に、のんびりふわふわした語り口のよう

 でも、物事を見る目は確かで、いつも的確な一言を言って背中を押してくれる。

 

 だから、茜は安心して前に進めたのだった。


 そんな大好きな友がいなくなってしまったのは、高校三年の夏のこと。

 

 病のために、帰らぬ人となってしまった―――


 未だに信じられなくて、いつも心の中で語りかけてしまうけれど、もっと傷ついているであろう、陽の恋人、あおいを思ったら寂しいなんて簡単に口にすることもできず……


 でも、最近ようやく、葵も前を向くことができたようだ。

 

 だから、私も、ちゃんと寂しいって良平の前で吐き出せたのよね。


『その言葉を、待っていたよ』と、良平は言ってくれた。

 どれほど彼に心配をかけていたのかと申しわけなくなったのと同時に、それだけ愛されていたのだと幸せな気持ちにもなった。



「陽ちゃん、私、幸せだよ」


『知ってる。だって、ぜーんぶ見ていたもん』

 隣で陽が、嬉しそうに笑っているのを感じる。


 やっぱり、陽ちゃんは今も一緒だよね―――



 ふと思った。


 陽ちゃんと葵も結婚できたらいいのに。


 もし、天国の入り口で結婚式を挙げられたら……


 私だって、二人のウェディングを見たい!


 茜は祈るように胸の前で手を合わせた。

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