第9話 ライトと魔王
僕は先程の夢の内容を皆に共有する
「恐らく、その黒い物体は僕で間違いない」
「そして、それは僕のスキルに関係する」
「スキルですか?」
「あぁ、先程眠っている時に、ある夢を見た」
「その夢の内容は魔王と名乗る人物と僕のスキルについて話すという内容だ」
―――――
僕は、スキルの事を話す
・僕のスキルは、感情が極限まで昂ると、昂った感情に人格を支配されるということ
・このスキルの目標
・魔王という人格の存在
―――――
「つまり、ライトの魔王という人格が表に出てきた結果、あのような強大な魔力になったと?」
「その通りですセリナさん」
「うーん、でも強大な魔力をライト様が操作することは出来ないって事ですか?」
「あぁ、スイ」
「面倒くさいスキルだな」
「餓鬼さん、僕もそう思うよ」
「餓鬼、お前なぁ....言っていいことと悪いことがあるだろ」
「仕方ないだろ、面倒くさいスキルなんだから」
「いや、お前はもう少しオブラートに包む話し方をしろって言ってるんだ」
「言いたいことは端的に早く言うべきだろ」
「だから、礼儀を知れって言ってんだ」
ウーさんと餓鬼さんが言い合い始めようとする。
相変わらず仲が良さそうだ。
「・・・まぁ、発動条件と効果が大変なのは本当だ、ただスキルが発芽したのは良いことだ、おめでとうライト」
「ありがとうセリナさん」
ウーさんと餓鬼さんが言い合いをしているなかでセリナさんが褒めてくれる
「私からも、おめでとうございます!」
スイも褒めてくれる
やはり、褒められるのは嬉しいと感じる
「ただ、名前が無いのが不便だな」
「何かの名前を付けますか?」
「あぁ、そうしよう」
「はい!は~い!魔王なんてどうでしょう!」
「いや、安直すぎるな....そのスキルは、その“魔王”の話だと歴史のあるスキルなんだろ?」
「はい、そう言ってました」
「じゃあ....“人格”なんてどうだ」
「え、セリナさん....私とあんまり変わらないんじゃぁ....」
「スイ?なにか言ったか?」
セリナさんの口元は笑ってこそいるが、目元はスイを睨んでいる。
正直怖い
それに気付き、スイは椅子から勢いよく立ち上がり敬礼をしてしまう
「はい!なにも言ってないです!」
スイは敬礼しながら大声で言う。
綺麗な敬礼だ
ただ、その大声でウーさんと餓鬼さんが、こちらを向く
「あー....、つまりライト様のスキルは“人格”って名前で良いか?」
餓鬼さんが確認する。
「あぁ、それで構わん」
セリナさんが、嬉しそうな表情をしながら即答する。
僕の決定権はどこに行ったのだろうか?
―――――――
「そうだ、ライト」
「何ですか、餓鬼さん」
「実はな、頼み事を一つ聞いてくれないか?」
餓鬼さんは申し訳なさそうに言う。
餓鬼さんが僕に頼み事をするのはこれが初めだ。
正直、とてつもなく嬉しい。
だからこそ僕の答えは....
「分かりました!」
これに尽きる。
「ありがとう、ではリビングに来てくれ紹介したい」
「....紹介?」
「あぁ、頼み事っていうのはな、ある奴等を仲間に入れてほしいんだ」
「すっごく、良い子達なんですよ!」
スイが目をキラキラさせながら言う。
とても気に入っているようだ。
「....成る程、だからさっき俺“達”って言ってたんですね。」(8話参照)
「いやぁ、俺も最初はあんな良い子達が餓鬼みたいな野郎に、懐くとは思えなかったですけどね」
「あ?」
また言い合いを始めようとする、ウーさんと餓鬼さん
「まぁ、でも餓鬼さんは子供に懐かれる性格だと思いますよ」
フォローを入れる。
が、逆効果だったのか今度は餓鬼さんから仕掛ける。
「ふん、ライトは分かってるようだな、“人を見る目の無い野郎”と一緒に生活してて、ライトに悪影響が無いか心配だ」
「なんだと!」
「あーあ、ライトが“こんな野郎”に鍛えられてて、ライトの腕前が下がってないか心配だ~」
「餓鬼テメェ!表出ろ!」
「上等だ!コラ!」
「第一、テメェ....“人”じゃなくて“鬼”だろうが!」
「間違えた、鬼を見る目の無い馬鹿牛だった」
これは餓鬼さんとウーさんが一緒に居たら良く見る光景だ、仲が良い証拠なのだろう。
しかし、久しぶりなのもあってか今日は少し激しめだ。
二人の喧嘩が収まりそうではなく、僕はセリナさんに注意される。
「ライト....あの二人に変なフォローを入れるな」
「すみません....」
忘れていた、ぐうの音もでない....
「まぁまぁ、お二人とも取り敢えずライト様に餓鬼さんのお仲間を紹介しましょ」
スイが二人をなだめる。
「フッ、それにしても....」
セリナさんが笑う
「どうしました、セリナさん?」
「いやな、懐かしいと思ってな」
「そうですね、またこの光景が見れて嬉しいです」
―――――――
ウーさんと餓鬼さんの喧嘩も一段落し、皆で外に出ようとする。
「そういえば、ライト」
後ろからセリナさんに呼び止められる。
「私の知る限り、ライトのスキルは聞いたことの無い能力だ」
「本とかにも載ってないんですか?」
「あぁ」
「しかも、この時代に新しいスキルの系統が発見されるのは、99%あり得ない」
「成る程....」
「自分のスキルを強くするためにも、まずは自身のスキルの事を理解しなくてはな」
「しかし、どうすれば?」
「スキルの歴史について調べてみるといいかも知れん」
「分かりました、そうしてみます」
僕はセリナさんの助言に感謝し、部屋を出る。
(紹介文がおかしいことに先程気付きましたね、笑えます。さて、次回は3月3日に更新予定です)
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